#27 ただいま。
こんなにも居心地の良い所を発つんだなー。
ルアンパバーンに渡る1週間くらい前、心の通った仲間と、あぁだこうだ持論を駄弁りながら、横浜の夜景を見て思った。
まあ別に横浜で生まれ育ったわけでもないし、友達にあやかりまくって、タワマンの屋上に行かせてもらっただけなんだけどね。
どのシーズン、挑戦にも意気込んでるし、今回こそがまじで勝負なんです!って鼻息を荒げてたわけでもない。
サッカー選手であるならば、いつ何時も懸けるべきだし、出し惜しみをするくらいならやめた方がいい。
ただ、結果的にエモーショナルな時間が多くなったし、濃い時間を過ごした。
(まだ前期が終わっただけなんだけどね。)
激動…とはまさにで。
去年と同じクラブ、監督の下の契約を選んだわけだけど、開幕1週間前に監督が変わった。
予め持ってた先行者利益みたいなのは微塵ほどになって、単なる自己紹介くらいのものにしかならなかった。
事実に加えて、被害妄想も乗せて話すと、当初は構想外だった。
リーグ第2節の前々日まで、スタメン組に名前がなかったことは紛れもない事実。
当日のミーティングで、スタメンに自分の名前があった時、生き残った…と思った自分が一瞬いた。
試合に出れる、出れないという、圧倒的にストレスのかかるシビアな2択に怯えたけど、毎日自分を使い切ったことに嘘はない。
開幕前から1週間ほどヴィエンチャンに滞在したけど、生きた心地がしなかったな。
何食べても美味しくなかったわ。
あぁそれは嘘だ。
サムギョプサル食べて、温泉入ったあの日は、確かに至福のひとときだった。
登録に不備があって、我らの全外国人を欠いた開幕戦は0-2の敗戦。
出たい。クラブを何とかしたい。
そう思う反面、めちゃくちゃ怖かった。
毎年中位を彷徨いながらも、今年は5人の外国人を獲得し、例年以上の勝負に出ることが伺えるクラブからの見られ方は、
お前らが入ってどんだけ変わんねん。だ。
だからこその興奮だったのかな。
格上とされる相手に対して4-0の勝ち。
絵に描いたようなドン引きからのカウンター。
内容だけを見たら、4点差で負けててもおかしくはなかった。
全部布石だったか。
僕は単純な男だから、1つの勝ちで過去を美化できる。
謝られたら許しちゃう系の男。
勝ちが呼んでくるポジティブな副作用っていうのは、そう長く続かなくて。
まもなく、また負の感情がやってくる。
3.4節と完敗を喰らったのは、更にそれを加速させた気がする。
特にホームで4失点目を献上した時、ゾロゾロと帰宅する観客が横目に入って、胸が痛くなった。
相手にいる同じ国籍の選手が、4得点をして試合を握ってる姿を見て、自分の価値ってなんだろうって思った。
スーパーマンになれない非力な自分を呪いたくもなったし、貯蓄してたクラブからの信頼を切り崩してる感覚にもなった。
貯蓄があったかは別としてね。笑
毎トレーニング前、ドキドキするんだ。
スカッドを組むために、監督が歩く。ビブスを渡して回る。
これをもらいたい、どうしても。
むしろこっちから手を出してる。それも喉からね。
いや、お前は違う。と渡されなかった時、全身に電流が走るんだけど、そもそもスタメン組はビブスを着なかった、とか。
僕は超絶小心者。
1回掴んだものが手から離れると、結構揺れる。
だから離したくない。
こういう性格だからこそ、身体のコンディションは良かった。だからこそ。
やらないことが怖くて、落ちるのが怖くて、肩を叩かれるのが怖くて。
常に100。いやそれ以上のものを出すために、自分と交わしてきた約束は守った。
毎日ワラーチで走って、自分の身体を触って、対話して、食べて寝た。
90分も持たなかった去年の身体。
その延長線上に、今のこの身体があるのが信じられないくらい。
第6節の週で、人生最大とも言える体調不良に陥った。
その試合こそ80分の出場だったけど、他はフル出場。
それでもなお、試合後にワラーチで走れる状態だった。
ちなみにこの体調不良は、第5節の後に食べたムーガタの影響と、同じポディションの日本人選手が来たことによる、ストレスみたいなのはあったと思う。
その選手に嫌なことされたとか、嫌いとじゃなくて!
同じポディションの選手が来るってことは…俺アウト?みたいな単純な考え。
これには1ミリも無視できなくて。
正直な奴は本当に困る!笑
我がクラブから、半径5メートルくらいの強さの3クラブとの3連戦。
中2日でアウェーもあり、移動もありと。
ここでの3連勝、9ポイントは、後期に向けて非常に、非常に大きい。
体調不良でトレーニングを3日もパスしてしまって、出れないことも覚悟はしてた中で、それでも信じて使ってくれた監督には感謝してるし、
当然だし、自分でいうのもだけど、チームの利益から逆算してプレーしてきたからこそ、必要なピースになれてたのかなって。
正直に白状すると、来年3月までの契約を守れるのか分からなかった。
それは中断のタイミングで、僕自身が残りたいと思えるのか。
それと、クラブに必要としてもらえるのか。
たった今、前者に関しての懸念はないし、後者に関しても、きっと大丈夫。
現在4位。
3位との勝ち点差1。2位との勝ち点差4。1位との勝ち点差9。
どこまで捲れるのか。
もちろん、すぐそこに負の要素はあるけど、繰り返し言うと、僕はそれがあるから成立してる。
2021年8月12日に、モンゴルでデビューしたあの日から今日の今日まで、1度たりともそれが消えたことなんてないよ。
次から次へと色んなものが量産されて、僕を取り巻いていくけど、生きてる心地がして中々悪くない。
躊躇することなく、ここまで指を走らせたけど、どうやら僕はワクワクできる挑戦をしてたみたい。
この投稿にどう落とし所を付けようかと思ってたら、そろそろ羽田に着くらしい。
少し前に見下ろしたのと同じような景色が広がってるわ。
僕はできるだけ高く、遠くに行きたいし、そのためならこういった痛みも不安も許容する。
ただ、帰って来たって思える場所がないのはあんまりだし、寂しいし悲しいから。
1ヶ月ちょいいます。
再会を楽しみにしてます。
渡邉 宰