#13 ハイブリッド人間
数字だけを追いたくない。
アスリートらしからぬ、こんな想いを抱えていることを否定はしない。
数字は副産物であって、成長の延長線上にあると思うから。
いや、あって欲しいから。
立て続けに綺麗事を並べてみると、数字のためなら何だってする。
という考えに、違和感だって感じる。
内容にこだわった試合、プレーをしたい。
シミュレーションで得たセットプレーで、得点したいとは思えない。
けれども最近、数字だけを求め走る場面は、少なくないなと思うこの頃。
結局のところ、ケースバイケース、バランス、ハイブリッドみたいな都合の良い言葉で着地するに違いない。
数字が出せなかったらクビですよ。
そんな圧がある中で過ごすシーズン。
モンゴル1年目のシーズン。
2ヶ月で20試合の連戦の最中、筋肉系のトラブルを多く抱えた。
中1日なんて無理じゃん。
さすがにフルは不可能。
この心中とは裏腹に、僕らの顔色は気にならないボス。
「今日はノーゴールだった。」
「また負けだ。」
ボスからのストレートな言葉は、本当にその通りでぐうの音も出なかった。
勝たせるために呼ばれた僕ら。
勝てなかったら外国人のせい。
それも露骨に見えた。
代償の大きい、ガチガチのテーピングに頼って出場。
明らかに100%の力は出なかった。
僕の哲学、ポリシーなんて度外視。
内容なんてこだわってる場合じゃなくて、とにかく3ポイント。
とにかくゴール、アシストが求められた。
発破をかけられ続けた僕ら外国人3人の数字は、間違いなく良かった。
チームの8割近くのゴールを占め、ただそれでも多くの勝ちへと導けなかった。
数字だけに拘らなかったら、この結果を下回っていた。確実に。
今継続してるTikTokも、数字を直視する時間が増えた。
再生数はもちろん、動画継続時間、いいね、ブックマーク、フル視聴率。
言ってしまえば、狙わずして得られるモノではない。
最初の2秒で飽きられず、立ち止まってもらえるように、オープニングはこうしよう。
できるだけ多くの国に広がっていくように、非言語な動画にしよう。
こういうのは信用稼ぎも重要だから、リアクションしてくれたアカウントを見に行って足跡を付けよう。
全部、伸ばすため。
バズらせるため。
数字じゃん。
で、結びになるのだが。
僕に足りないモノなんだと思う。
数字を追う姿勢、そのものが。
上に行くには、生き残るには目に見える結果が必要だし、影響力を持つには数字も必要。
過程を見せたり、僕自身を貫くことは得意。大の武器。
どっちも持ってた方がいいって。
ほら、結局ハイブリッド。
渡邉 宰
◇ Goal sports agency
所属しているエージェント会社です。
◇ Training Club
アンバサダーを務めています。
サッカー経験者を対象とした、トレーニングをするためのコミュニティです。