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金融講座v4「信用創造とは?銀行が日銀から借入するときは『担保適格手形』の差入れをする」
信用創造(英: money creation)とは、銀行が貸し付けによって預金通貨を創造できる仕組みを表す。簡易には準備預金制度のもとで、銀行が有する「貨幣を生み出す」機能を指す。創造される信用貨幣の量は準備預金制度に依存し、家計や企業の資金需要と借り手の返済能力の影響を受ける。銀行が貨幣経済において果たしている重要な機能のひとつであり、預金創造とも呼ばれる。現代のほとんどの経済機構では、マネーサプライの大部分は銀行預金の形をとっている。中央銀行は、いわゆる通貨(金融)総量monetary aggregatesを測定することにより、経済機構内の貨幣量を監視する。
吾輩は経済活動における債権・債務のために振出・引受・裏書された手形こそ企業間の信用創造(credit creation)の証ではないのかと、一般論の「銀行貸し出しが預金として滞留残金となり、その滞留残金がまた貸出の原資として使われるという」預金創造とは意見を異にする見解を持つ。
皇紀2682年1月23日
さいたま市桜区
金融・相続コンサルタント 田村 司
預金創造(: money creation)の預金と信用創造(credit creation)の有価証券(手形)の新見解
企業活動における付加価値の商品の代金として、現金の代わりに有価証券を受け取る。商品の売掛債権が手形に振出人(引受人)の署名の振出行為により、有価証券され、これが裏書などで期日の決済日まで流通するのである。当然、買掛債務は手形に記載された支払期日に、額面金額分の支払いを約束して振出されたものであり、取引企業間を流通する有価証券である。これこそ企業間の信用創造(credit creation)に他ならないと思うのであるが・・。
貨幣の三つの役割と手形の共通点
このように、本来は手形に記載された受取人が、支払期日に現金を受け取れるという仕組みのものですが、裏書をして第三者に譲渡すれば、そのまま支払いに利用することも可能です。これらの機能は、貨幣の三つの役割の
交換手段(medium exchange)、価値尺度 (standard of value)、価値の貯蔵手段 (store of value)に他ならない。
商品債権と手形債権の交換、同通貨単位(価値尺度)、支払期日まで(価値の貯蔵)であり、有価証券と言う名称の通りに、企業間においての債権債務が具現化(信用創造)した結果と考えることができる。経済が活発化して有価証券が大量に流通して、それに伴う信用決済資金の需要が増すことで、今度は決済のための貨幣が必要になるのである。貨幣の役割に「信用決済手段」が増えて、「貨幣の四つの役割」に表現できるのである。
日本銀行の貸付の担保適格手形
日銀は銀行に担保を取らずに貸付はしないのである。後述するような手形(条件に合致した適格手形)の差し入れを求める。この貸し付けられた資金は、形を変えた(当座へ)貨幣発行に他ならない。前述のように経済が活発になると企業間の手形発行(振出・引受・裏書)でその決済の前に企業は資金が必要になり、資金需要が旺盛になる。
担保適格手形とは
中央銀行で再割引を認められる一定の要件を備えた手形。
日本では、金融機関が割り引いた商業手形のうち、日本銀行で適格と認めて再割引される手形が再割引適格手形である。これは販売の目的で買い入れた商品の代金決済のために振り出された約束手形または為替(かわせ)手形であって、再割引の日から3か月以内に満期が到来すること、割引依頼人(金融機関)のほか支払能力確実なもの1名以上の裏書のあることが必要とされている。また、原材料購入や輸出物資の製造・集荷などの資金調達のために振り出された輸出入関係手形が「商業手形に準ずる手形」として日本銀行の貸付の担保適格手形になっている。
商業手形は商人以外の者によっても,また運賃・保険料等の決済のためにも振り出されるが,日本銀行ではこのうち,販売の目的で買い入れた商品の代金決済のために振り出された約束手形または為替手形で,買手を振出人または支払人とするものを再割引適格商業手形としている。また,上記以外の手形も一定の要件のもとに商業手形に準ずる手形として,日本銀行貸付けの担保適格手形とされる。
「手形(約束手形・為替手形)を何故、振出すのか」について簡単に解説する。
製造業を例にすると、材料(原料)の仕入れ資金が必要になる。加工する従業員の給料が必要になる。完成した商品の納品する。納入業者は販売して現金化するまで日数がかかる。そのために製造業者には手形で決済することになる。通常の決済手段には小切手・現金支払い・振込・手形などがある。
通常、商品の引渡しのときと同時に代金を頂く(同時履行)というのが原則である。信用のある取引先には売掛・買掛の帳簿のみの処理となる。
商品が渡されてそれが売却されて現金回収になるまで、業種によって差がでる。取引先間の商売上の力関係で期間が決まる場合もある。お互いの企業間の企業体力(資金力・資本力)や、金融機関との良好な関係がある企業は潤沢な資金で取引決済ができるのである。
振出日から支払日までの期間が長い手形は、信用力が疑われるので振出日は白地にするケースが散見される。
手形・小切手の実務については参考資料・参考文献欄をご確認ください。
破産・倒産について
企業経営者にとって辛い場面が破産・倒産である。
実業家として会社を4回も倒産させながら、その度、復活した人、アメリカ元大統領のドナルド・トランプ氏である。彼の考えの基盤となっているのは、”Positive thinking”積極的思考、プラス思考と言われる。破産法の目的は制裁ではなく、再度再生する事を目的としている。
破産法第1条 この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。
企業経営者には是非とも頑張っていただき、日本経済を活性化させていただきたいと強く願っている。
参考資料・参考文献
適格担保取扱基本要領 : 日本銀行 Bank of Japan (boj.or.jp)
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