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金融講座ⅴ2「貨幣の定義と貨幣価値(財産)を守るための方法」

貨幣を保有する者にとって一番の恐怖は「インフレ」である。「あっ」という間に財産の価値を下げるのである。通貨・貨幣の価値の低下は歴史が示すところである。汗水流して働いた「汗と血と涙」の結晶(貨幣)が一瞬で吹き飛んで価値の低下を招くのである。この貨幣の目減りを防止するために、よく解説されるのが「ポートフォリオ」と言う手法である。それでは、不動産投資は安全化というと、日本のバブル崩壊の事実が示すように、不動産の価値の暴落も起こり得る。詰まるところ安全な資産運用はないと心得て、財産のポートフォリオが必要である。今回は財産防衛手段としての「ポートフォリオ」と表題に沿って解説する。

        皇紀2682年’(令和4年)西暦2022年1月21日
        さいたま市桜区
        金融・相続コンサルタント 田村 司

はじめに

日常用語として使われる「おかね」という言葉は、その意味することは、場合により、多々ある。価格だったり、収入だったり、所得だったり、資産だったりいろいろな意味を有する。
今、丁度、確定申告書で還付請求の手続きを終了した。蛇足であるが、先ほどの収入と所得について解説する。それは、次の式が成り立ちます。
収入-必要経費=所得

給与収入の場合

収入金額(年収)からサラリーマンの必要経費に該当する給与所得控除を差し引いたものが所得金額になる。
その所得金額から所得控除(社会保険料控除など)を差し引ける。医療控除はこの所得控除(これは年末調整ではなく確定申告で申告が必要)に該当する。
所得金額から所得控除を差し引いたものが課税所得になる。
この課税所得から算出された所得税からさらに税額控除(住宅ローン控除)されます。所得税から差し引けない税額部分は翌年の住民税から差し引きできる。(初年度は確定申告により住宅ローン控除後翌年からは年末調整で手続きできる)

後述するが、ポートフォリオで資産運用するには、税務の知識が十分に必要である。

暗号資産(仮想通貨)に課される税金

ビットコインをはじめ、暗号資産取引初心者の方が見落としがちな要素が、暗号資産に課される税金です。
また、暗号資産取引を資産運用のひとつとして考えている方にとっても見逃せない知識でしょう。
暗号資産で得た利益は確定申告を行わなければ無申告加算税か重加算税が課され、悪質と認められると脱税とみなされる可能性があります
確定申告が必要なケースや必要ないケースがある他、節税できる場合もあります。ここでは暗号資産の課税について簡単に解説する。

※本稿で記載している内容は一般的な解説となります。税務申請の詳細に関しては、必ず税務署または税理士へご相談ください。

暗号資産(仮想通貨)の利益は「雑所得」として課税される

ビットコインなどの暗号資産は、売買や買い物、他の暗号資産との交換など何もせず保有しているだけでは課税対象になりません。
個人の場合、暗号資産の取引などで得た利益(所得)は、原則として日本の所得税の課税対象となります。そして、総合課税の「雑所得」として確定申告を行い、納税する必要があります。

暗号資産が該当する「雑所得」は、給与所得・事業所得・利子所得などほかの所得区分に含まれないものとなっています。 例えば、副収入や公的年金、作家業を本業としていない人が受け取る原稿料や講演の謝金などが該当します。

また雑所得は税率が設定されていないため、ほかの所得区分と合算した所得金額に課税されます。得税の課税率は累進課税となっており、最高で45%所得額が4,000万円を超える場合)を税金として支払う必要があります。

所得税の税率(目安) 課税される所得金額 195万円以下 税率 5% 控除額 0円 課税される所得金額 195万円を超え330万円以下 税率 10% 控除額 97,500円 課税される所得金額 330万円を超え695万円以下 税率 20% 控除額 427,500円 課税される所得金額 695万円を超え900万円以下 税率 23% 控除額 636,000円 課税される所得金額 900万円を超え1800万円以下 税率 33% 控除額 1,536,000円 課税される所得金額 1,800万円を超え4,000万円以下 税率 40% 控除額 2,796,000円 課税される所得金額 4,000万円超 税率 45% 控除額 4,796,000円
課税計算方法としては、以下のようになります。

・「所得金額 × 税率ー控除額 = 所得税額」
例えば、所得金額が800万円の場合は以下の通りです。

・800万円 × 0.23 ー63万6,000円 = 120万4,000円(所得税額)
また、住民税についても注意が必要なことを覚えておきましょう。住民税は1月1日時点で該当の市区町村に住所がある方に対して課される税金で、所得税の計算で算出した額に一律10%が住民税として課されます

暗号資産(仮想通貨)に関する所得の計算方法

前述したように、暗号資産は単に保有しているだけでは課税対象になりません。では、どのような場合に課税対象となるのでしょうか?6つのケースとそれぞれの計算方法について紹介します。

暗号資産(仮想通貨)の売買差額による利益

暗号資産で利益を獲得するのにもっとも一般的なケースとして、日本の金融庁に登録済みの「暗号資産交換業者」を利用した「暗号資産の売買(取引)」が考えられます。この場合、暗号資産の購入額と売却額の差が利益となります。ここで重要な点は、「売却」が「日本円などの法定通貨への換金」を指していることです。暗号資産交換業者から出金した時点ではなく暗号資産を日本円などの法定通貨と交換した時点で利益が確定したとみなされ課税されます。「ビットコインを売却して日本円に換金したけど、預けたままだから課税されない」ということはありません

また、毎年1月から12月までに成立(約定)した取引が課税対象となります。

暗号資産(仮想通貨)に関する評価方法の届け出が必要
暗号資産は、売買のたびに「総平均法」と「移動平均法」というどちらかの評価方法で所得を計算し、この1年間の合計を所得額として申告する必要があります。国税庁では、どちらを評価方法とするか選択する届出書([手続名]所得税の仮想通貨の評価方法の届出手続)を配布しており、この届出書により評価方法を選定しなかった場合には、総平均法によって評価する旨が示されていることに注意しましょう。

「総平均法」と「移動平均法」

「総平均法」は、1年間に購入した暗号資産の合計数量と購入金額の合計(=取得価額相当額)を元に総平均単価を計算するという方法です。また「移動平均法」は、暗号資産を購入するたびに、取得価額を算出し、1年間の平均取得単価を計算する方法です。実際の売却時の平均取得単価に近い単価で損益を計算する場合は、「移動平均法」による計算の方が正確に計算することができます。

ビットコインで商品やサービスを購入


ビットコインなどの暗号資産で、商品やサービスを購入した場合、課税の対象となります。

保有する暗号資産で商品を購入した場合、保有する暗号資産を売却したとみなされる。

ビットコインと他の暗号資産(仮想通貨)の交換

保有するビットコインと他の暗号資産を交換した場合は、ビットコインで他の暗号資産を購入したことになります。前述した「ビットコインで商品・サービスを購入」と同様に、課税の対象になります。以下のケースを考えてみましょう。

マイニング(採掘)で暗号資産(仮想通貨)を取得

マイニング(採掘)により暗号資産を取得した場合は、個人の場合所得税(雑所得)として課税対象となります。また、この時暗号資産の価格は、マイニングによる取得時点の時価で計算します。電気料金やパソコンなど、マイニングにかかった費用は必要経費として計上できる可能性があります

ハードフォーク(分岐)で新規暗号資産(仮想通貨)を取得

暗号資産のハードフォーク(分岐)により新たに誕生した暗号資産を獲得した場合は、課税対象となる所得は発生しません。分岐時点での新規暗号資産の取得価格は「0円」です。しかし、この新規暗号資産を後々売却したり、商品の購入に使用したりした場合は課税対象となります。

所得税法上、経済的な価値があるものを取得した場合には、その時点における時価を基に所得金額を計算します。しかし、ハードフォークにより誕生した新たな暗号資産は、分岐時点においては取引相場が存在していないため価値を有していない状態となります。

相続・贈与による暗号資産(仮想通貨)の所得

被相続人からの相続・贈与などで暗号資産を取得した場合は、相続税または贈与税が課税されます。相続税法では、金銭に見積もれる経済的価値のある財産を相続または贈与により個人が取得した場合、相続税や贈与税の課税対象となります。

損失の扱いについて

暗号資産の取引で発生した損益は、暗号資産と同じ雑所得の中で通算できます。雑所得以外の所得区分の所得から損益通算(差し引くこと)はできません。また暗号資産の取引による所得は、総合課税の対象となる雑所得であるため、その損失を翌年以降に繰り越すことはできません

経費を計上し、節税対策を行う

ビットコインなど暗号資産を売却し利益を出した場合、そのすべてが課税対象になるわけではありません。取引に要した経費に関しては控除対象となる可能性があるため、きちんと申告しましょう。

例えば、売却した暗号資産の取得価格、暗号資産交換業者に対し売却時に支払った手数料、インターネット関連費用、暗号資産の取引を行うパソコンなどが、暗号資産の売却に必要な経費として認められる可能性があります。また、これらは暗号資産の取引に100%使っているわけではない場合、使用頻度に応じて按分します。

損益通算の有効活用

暗号資産の取引で得た利益や損失は、1年間の間であれば差し引きできます。ビットコインで利益が出ている一方、別の暗号資産では損失が出ているという場合は、損失の出ている暗号資産を日本円に換金することで、納税額を少なくできます。

貨幣の三つの役割

専門書や教材には次の事が書かれている。

交換手段(medium  exchange)
価値尺度 (standard of  value)
価値の貯蔵手段 (store of  value)

しかしながら、金、銀、銅などの金属は耐久性や価値の安定性の利点を持つこと、貯蔵するのが便利であり交換も容易であり、貨幣の地位を占めることとなった。政府はこれらの貨幣を標準的な大きさの鋳貨として鋳造し、その名目的な価値を固定したのである。しかし、鋳貨には不便な点があった。それは、元来商品としてもつ価値が変動し、政府が決めた価値と離れて、貨幣の役割が損なわれることもあった。
そして、取引が拡大すると重くなる鋳貨を持ち歩くことが不便になってくるのである。この段階で新しいタイプの貨幣である紙幣が登場する。
次に決済手段となったのが要求払い預金といわれる小切手の利用である。
最近、法定通貨とは違う暗号資産(仮想通貨)での決済方法も現れているようである。そして、暗号資産(仮想通貨)は日々相場で変動して価値の尺度としての通貨には程遠い。貨幣の役割ではなく、投機資産の様相を呈しているように見える。それは、価値が担保(保証)されたものではなく、需要と供給によって変わる価格であるからである。

暗号資産(仮想通貨)での運用の行く末

国家の金融政策の貨幣価値に疑念を持ち、「ポートフォリオ」として資産分散を検討の方には暗号資産(仮想通貨)は選択肢になり得るであろう。今、「マネーロンダリング」の監視が金融機関では厳しくなっているので、その「マネーロンダリング」に暗号資産(仮想通貨)が活用されていると聞く。でもその内に追求の手が伸びていくであろう。豚は太らせてから食う。ブロックチェーンは帳簿の改善できない手法のようであるが、一端投入した資金の記録は完全に記録されるので、国税査察や税務署の追求の手は伸びていくのであろう。

「ポートフォリオ」についての解説

ポートフォリオは、基本的な意味として、「書類カバン」や「折りカバン」、「携帯用書類入れ」などをいいます。
世間一般で広く使われる用語で、元々は、英語の"Portfolio"の「紙ばさみ」に由来し、それが転じて「ひとかたまりの意味や目的を持った書類の束」となり、今日では、金融用語やビジネス用語、クリエイティブ用語、など沢山の用語として使われている。

金融用語のポートフォリオ

ポートフォリオは、金融用語では、「有価証券一覧表」や「資産構成(金融資産一覧)」などをいいます。その昔、海外の金融機関で有価証券を「紙ばさみ」に挟んで保管・携帯したことに由来し、それが転じて、今日の意味で使われるようになったそうです。

また、1970年代に「モダンポートフォリオ理論」というリスク管理を数値計算で分析する投資理論が形成され、その後分散投資を計算するソフトウェアも開発され、投資分野(資産運用)で実践的に使われるようになり、その概念が広く普及するようになりました。

ポートフォリオの概念

ポートフォリオは、個人や金融機関、年金基金、投資信託会社、ヘッジファンド、政府系投資会社などで広く用いられる概念で、通常、「有価証券一覧表」や「資産構成(金融資産一覧)」などの意味で使われるほか、投資対象別に「株式ポートフォリオ」や「債券ポートフォリオ」、「通貨ポートフィリオ」などの呼称も使われます。
一般にポートフォリオを構成する対象資産には、短期金融資産や債券、株式、ファンド、商品、通貨、不動産、デリバティブなど多様なものがあります。

My opinion !

金融機関に勤務経験がある吾輩に仮想通貨(暗号資産)について、説明を求められる。ブロックチェーン技術はすごいらしいが、それは、要するに帳簿改竄防止技術で、その帳簿を維持するのに要する労力に対する対価・費用がマイニング(採掘)であると当初解説があったと記憶している
それが、どのような付加価値を生み出している代物なのか不明であり、投機・投資する価値が有るものなのかは不明である。
また、価格変動のメカニズムは市場原理以外に「吞み行為」の余地が存在するのではないか。
そして、暗号資産は、国家やその中央銀行によって発行された、法定通貨ではありません。
また、裏付け資産を持っていないことなどから、利用者の需給関係などのさまざまな要因によって、暗号資産の価格が大きく変動する傾向にある点には注意が必要です。
次に後述した新聞記事の暗号資産詐取事件は本質は「吞み行為」ではなかろうか。そのような素地があるものである認識が必要であろう。

暗号資産詐取で賠償命令、京都 請求全額の1億2千万円


共同通信社 2021/08/12 12:04

暗号資産詐取で賠償命令、京都 請求全額の1億2千万円 (msn.com)

京都府在住の男性に暗号資産(仮想通貨)「ビットコイン」をだまし取られたとして、新潟県や東京都など13都道県の40の個人や企業が、男性に対して計1億2千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は12日までに、請求全額を支払うよう命じた。

 男性は口頭弁論に出廷せず、答弁書などの準備書面も提出しなかった。菊地浩明裁判長は判決で、争いがないものと認定した。判決は11日付。

 訴状によると男性は、価格変動リスクを回避できるシステムでビットコインを運用すれば、毎月20%の利益が上げられると説明。指定口座に送金させたが、その後支払いが滞ったとしている。

もし、暗号資産(仮想通貨)を始めようとする方は、次の参考資料を熟読の上、且、研究・調査のうえで、自己責任で行うこと。

To be continued .  See  you  later !



参考資料・参考文献


やさしい法律講座ⅴ45「資金決済に関する法律(暗号資産・仮想通貨)」|tsukasa_tamura|note

政治講座v96「暗号資産・仮想通貨の実態と詐取事件」|tsukasa_tamura|note

暗号資産詐取で賠償命令、京都 請求全額の1億2千万円 (msn.com)

貝塚啓明著 『金融論』 放送大学 1997.2.20 第2刷

資金決済に関する法律 | e-Gov法令検索

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