人型ホタルの冒険
(ピカッ…!)
眩しい。
人型ホタルの発光で目を覚ます。
おはよ、起こしてくれてありがとう。
(ピカピカピカピカ)
人型ホタルは4回点滅する。
これは、
『いえいえ、私にできる事をしたまでです。居候させて頂いてる身として当たり前のことですからお気になさらず。リビングの方で珈琲が入っておりますので、冷めないうちにどうぞ』
というサインだ。
リビングに出て、珈琲を啜る。
ホタルの感覚で入れられた珈琲はぬるい。
(虫なので当たり前だが)
ありがとう。美味しいよ。
(嘘ではない。いつも飲んでいるので寧ろこのぬるさでなくては)
(ピカッ!ピカッ!)
喜んでいるようだ。
人型ホタルは喜ぶと青色に強く光る習性がある。
私はこの光を見ると心が穏やかになる。
なあ、ホタル。何か欲しいものはあるか?
(ピカピカ)
どうやらあるようだ。
何が欲しい?
(ピカピ)
サトシかー。
分かった、じゃあ今日捕まえに行こう。
(ピカッ!ピカッ!)
そうかそうか。
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野生のサトシが現れた。
行けっホタル!
(ビュービリュビョ)
相変わらずゴルバットみたいな鳴き声だなあ。
野生のサトシはタケシを出してきた。
ホタル光れ!
(しかし、タケシは目が無いのでホタルの発光が効かない)
タケシは料理を振る舞ってきた。
(ピカッ!ピカッ!)
おい!ホタル!
そんなもの食べるな!
(ピカッ!ピカッ!)
こちらの話を全く聞く様子がない。
(ピカッ!ピカッ!)
なんだか穏やかな気分になってきた。
ホタル、そいつらと一緒にいくか?
(ピカピー!)
全く、サトシにゾッコンである。
よかったな。欲しかったサトシを手に入れられて。
(ピカッ!ピカッ!)
サトシ、ホタルをよろしくな。
(サトサトッ!)
これは、ゲットだぜというサインだ。
こうして、サトシと人型ホタルの冒険は始まった。
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