【通関士試験対策講座No.8】関税率表 分類 第44類~第63類
本日は関税率表の分類、第44類~第63類について学んでいきます。
関税率表は、関税率表の所属に基づいてそれぞれの品目ごとの関税率等が設定されており、この表をもとに、実際に輸出入する品目を分類していきます。
今回は、第7部と第8部の所属区分の解説と、どのような問題が出題されるか詳しく説明していきます。
では始めましょう!
第9部(第44類~第46類)にはどのようなものがあるの?
この部は、木材及びその製品、木炭などの製品が該当します。
例えば、色々な種類の木材、 扇子、うちわ、プラスチック製などの物品がこの部はこの部に含まれます。
第10部(第47類~第49類)にはどのようなものがあるの?
この部は、木材パルプなどの紙の材料となるようなものや、それらの製品などがこの部に含まれます。
例えば、クラフト紙、古紙、印刷した書籍、新聞、はがきなどの物品がこの部に含まれます。
第11部(第50類~第63類)にはどのようなものがあるの?
この部は、紡織用繊維及びその製品がこの部に含まれます。
例えば、色々な素材の織物や編み物、中古の衣類などの物品がこの部に含まれます。
第11部の類注の抜粋です。
基本的な分類の方法が記載されております。輸出入申告書作成などで基礎知識として問われます。11部の類注は試験でもよく問われますので、リンクから一度すべて確認しておいてください。
試験対策はどうすればいいの?
以前の講座の内容と同じようにこの分類の箇所は、通関実務の輸出入申告書作成の問題で、実際のインボイス品目に対する輸出入統計品目番号(HSコード)を関税率表から探し出す問題や、複数選択式の問題で「○○類に含まれないものをすべて選べ」など、通関実務の問題で色々な形式で問われることが多い箇所です。
輸出入申告書作成の問題では事前に、類注や過去に出題された品目の分類など目を通しておくと、本試験で出題された際にスムーズに対応でき、また、焦らずに対応できます。
第9部~第11部馴染みのある物品が多いので、試験に出題されやすい傾向があります。特に第11部については、素材や比率など実行関税率表で複雑に分類分けされておりますので、通関実務の輸出入申告書で出題されると厄介な箇所ですので、実行関税率表を確認し、実務の対策はしっかり行っておきましょう!
解説
では各類について試験対策で重要なポイントを中心に詳しく解説していきます。
第 44 類 木材及びその製品並びに木炭
→ 注1(d) 活性炭は第38類に分類されます。木炭は表題にもあるように、第44類となりますので、併せて覚えておいてください。過去試験でも問われております。
→ 注6 竹製品もこの類に該当します。
第 45 類 コルク及びその製品
→ 注1 第44類もですが、同じ素材であっても重要な特性があれば、重要な特性がある方に分類されます。今回であれば、履物、帽子、がん具などはコルク性であっても、第45類には分類されずにそれぞれの類に分類されます。試験上迷ったときはそのように判断し、分類の回答を行うことも一つの方法です。
第 46 類 わら、エスパルトその他の組物材料の製品並びにかご細工物及び枝条細工物
第 47 類 木材パルプ、繊維素繊維を原料とするその他のパルプ及び古紙
→ 第47類は古紙を含めて紙の材料として、この類に該当します。
第 48 類 紙及び板紙並びに製紙用パルプ、紙又は板紙の製品
→ 第48類は第47類の原料から作られた製品が該当します。
類注2以下については、細かな数字までは必要ありませんが、どのようなものが規定されているかは、一通り目を通しておいてください。
第 49 類 印刷した書籍、新聞、絵画その他の印刷物並びに手書き文書、タイプ文書、 設計図及び図案
→ 第49類は、第48類の製品を印刷したものが該当します。
第 50 類絹及び絹織物
→ 解説がない為、省略。
第 51 類 羊毛、繊獣毛、粗獣毛及び馬毛の糸並びにこれらの織物
→ 類注1(a)「羊毛」とは、羊又は子羊の天然繊維をいう。試験でも出題されておりますのでここは暗記しましょう。
→ 類注2(b) アルパカ、やぎ、は「繊獣毛」です。羊毛と合わせて覚えておいてください。
第 52 類 綿及び綿織物
第 53 類その他の植物性紡織用繊維及びその織物並びに紙糸及びその織物
→ 解説がない為、省略。
第 54 類人造繊維の長繊維並びに人造繊維の織物及びストリップその他これに類する人造繊維製品
→ 「人造繊維」、「合成繊維」、「再生繊維又は半合成繊維」それぞれの定義については、輸出入申告書作成での問題で類注について、確認するような問題として、万一問われる可能性があります。
時間との勝負ですので、当日初見であれば時間が足りない状況になる可能性がありますので、目を通して理解しておいてください。
第 55 類 人造繊維の短繊維及びその織物
→ 解説がない為、省略。
第 56 類 ウォッディング、フェルト、不織布及び特殊糸並びにひも、綱及びケーブル 並びにこれらの製品
→ 類注3 過去試験で出題されている内容ですので覚えておいてください。
第 57 類 じゆうたんその他の紡織用繊維の床用敷物
→ 解説がない為、省略。
第 58 類 特殊織物、タフテッド織物類、レース、つづれ織物、トリミング及びししゆ う布
第 59 類 染み込ませ、塗布し、被覆し又は積層した紡織用繊維の織物類及び工業用の 紡織用繊維製品
→ 解説がない為、省略。
第 60 類 メリヤス編物及びクロセ編物
→ 第60類は編物、衣類、衣類付属品になると第61類、第62類に代わり、さらに中古、セットになると第63類に行くという大まかな流れを覚えておいてください。第60類~第63類は試験でよく出題される類となりますので類注も細かくチェックしておいてください。
第 61 類 衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものに限る。)
→ 類注3 スーツでジャケット1点、ズボンが2点以上ある場合には、ズボン1点はスーツとみなし、残り1点のズボンはスーツの構成部分としないとありますので、ズボン1点は別として申告する必要があるということです。
→ 類注9 正面で左を右の上にして閉じるものは男子用の衣類、反対が女性用で、男子用の衣類であるか女子用の衣類であるかを判別することができないものは、女子 用の衣類が属する項に属するとあります。
上記はよく試験に出題される内容です。
ほかの類注についてもよく出題されておりますのですべて確認しておいてください。
第 62 類 衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものを除く。)
→ 第61類と同じような内容が、第62類の類注にも記載されております。表題にあるようにメリヤス編み又はクロセ編みのものかどうかの違いにより分類が変わるということです。
第 63 類 紡織用繊維のその他の製品、セット、中古の衣類、紡織用繊維の中古の物品 及びぼろ
→ 第63類は中古の衣類がよく出題されます。類注も簡単に確認しておいてください。
問題
第1問 (第57回通関士試験より出題)
第44類の類注において、活性炭は、第44類には含まないこととされている。
→答え 〇
活性炭は、第38類に分類されます。
第44類類注1に含まないものとして規定されております。
第2問
ワインボトルに使用される天然のコルク栓は第45類に分類される。
→答え ✕
天然のコルク栓は、第45類に分類されます。
第3問
麦わら帽子は第46類に分類される。
→答え ✕.
麦わら帽子は第65類に分類されます。第46類の類注2(c)を確認してお
いてください。
第4問
カーボン紙は第47類に分類される。
→答え ✕.
カーボン紙は第48類に分類されます。紙の製品は第48類、原材料は第49類
と大まかに覚えておくとよいでしょう。
第5問 (第58回通関士試験より改題して出題)
第11部の部注において、紡織用繊維から成る物品であって、長方形(正方形を含む。)以外の形状に裁断したものは、第11部において「製品にしたもの」に含むこととされている。
→答え 〇
この部において「製品にしたもの」とは、次の物品をいう。
⒜ 長方形(正方形を含む。)以外の形状に裁断した物品
第6問(第55回通関士試験より出題)
第51類の類注において、「羊毛」とは、羊又はやぎの天然繊維をいうこととされている
→答え 〇
「羊毛」とは、羊又は子羊の天然繊維をいうと第51類類注1規定されてい
ます。
第7問(第54回通関士試験より出題)
コットンリンターは第52類に分類される。
→答え ✕.
コットンリンターは第14類に分類されます。
コットンリンターはについての出題はよくされていますので覚えておいて
ください。
第7問(第54回通関士試験より出題)
第56類の類注において、金属のはくをフェルト又は不織布により裏張りしたものは、第56類には含まないこととされている。
→答え ✕.
金属のはくをフェルト又は不織布により裏張りしたもの(主として第15
部又は第15部に属する。)は含まないと第56類類注1.(e)に規定されて
います。
第8問(第55回通関士試験より改題して出題)
a.からc.までに掲げる物品のうち、 第63類に掲げる関税率表の類に属さないものはどれか。
第63類(紡織用繊維のその他の製品、セット、中古の衣類、紡織用繊維の中古の物品及びぼろ)
a.毛布(紡織用繊維編物製)
b.救命胴衣(紡織用繊維織物製)
c.手袋(紡織用繊維織物製)
→答え c.
手袋は衣類及び衣類附属品ですので、第61または62類に分類されます。
したがって誤った内容となります。
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