【通関士試験対策講座No.6】関税率表 分類 第25類~第38類
本日は関税率表の分類、第25類~第38類について学んでいきます。
関税率表は、関税率表の所属に基づいてそれぞれの品目ごとの関税率等が設定されており、この表をもとに、実際に輸出入する品目を分類していきます。
関税率表の所属区分は「部」は第1部~21部、「類」は第1類~97類(77類は欠番)まで分類があります。
今回は、第5部と第6部の所属区分の解説と、どのような問題が出題されるか詳しく説明していきます。
では始めましょう!
第5部(第25類~第27類)にはどのようなものがあるの?
この部は、鉱物性生産品が該当します。例えば、塩、石灰石、石油及び歴青油などの物品がこの部に含まれます。
第6部(第28類~第38類)にはどのようなものがあるの?
第6部は化学工業の生産品が該当します。例えばワクチン、医薬品、精油、石鹸、火薬類などがこの部に含まれます。
試験対策はどうすればいいの?
以前の講座の内容と同じようにこの分類の箇所は、通関実務の輸出入申告書作成の問題で、実際のインボイス品目に対する輸出入統計品目番号(HSコード)を関税率表から探し出す問題や、複数選択式の問題で「○○類に含まれないものをすべて選べ」など、通関実務の問題で色々な形式で問われることが多い箇所です。
輸出入申告書作成の問題では事前に、類注や過去に出題された品目の分類など目を通しておくと、本試験で出題された際にスムーズに対応でき、また、焦らずに対応できます。
第5部、第6部の類の中でも過去出題された類や、あまり出題されない類などありますので、過去出題された類については、確実に正解出来るように何度も過去問を復習しておきましょう。
解説
では各類について試験対策で重要なポイントを中心に詳しく解説していきます。
下記で解説をしていない類については、比較的試験では問われない傾向にありますが、関税率表を確認しどのようなものが分類されるか、また、過去出題されたような物品については簡単に抑えておいてください。
第 25 類 塩、硫黄、土石類、プラスター、石灰及びセメント
→ 注2(c) 医薬品は第30類に分類されます。試験でも過去問われていますので覚えておきましょう。
第 26 類 鉱石、スラグ及び灰
→ 注2(b)天然の炭酸マグネシウムは第25類に分類されます。
第 27 類 鉱物性燃料及び鉱物油並びにこれらの蒸留物、歴青物質並びに鉱物性ろう
第 28 類 無機化学品及び貴金属、希土類金属、放射性元素又は同位元素の無機又は有機の化合物
→ 注1(a) 科学的に単一の元素及び化合物はこの類に該当します。過去出題されておりますので覚えておいてください。
また、液体空気についてもこの類に該当します。
第 29 類 有機化学品
→ (注2)(b) エチルアルコール(第22類)、メチルアルコール(第29類)と違う分類となります。それぞれどのような物か分からない場合は簡単に調べておいてもらうのがいいかと思いますが、ここは、それぞれ丸暗記です!
→ (注2)(h) 酵素は第35類に分類されます。試験でも過去問われていますので覚えておきましょう。
第 30 類 医療用品
→ (注1) (g) 「プラスター」とは、鉱物質の粉末と水を練り合わせた材料の物で、プラスターとプラスターをもとにした歯科用調整品はそれぞれ別の類に分類されます。
→ (注1) (h)血液アルプミン
解説ポイントがない為、省略
第 32 類 なめしエキス、染色エキス、タンニン及びその誘導体、染料、顔料その他の 着色料、ペイント、ワニス、パテその他のマスチック並びにインキ
解説ポイントがない為、省略
第 33 類 精油、レジノイド、調製香料及び化粧品類
→ (注1) (b)せっけんは、この類には含まれません。よく出題される物品んですので、覚えておいてください。
第 34 類 せつけん、有機界面活性剤、洗剤、調製潤滑剤、人造ろう、調製ろう、磨き 剤、ろうそくその他これに類する物品、モデリングペースト、歯科用ワックス 及びプラスターをもととした歯科用の調製品
→ (注1) (c)シャンプー、歯磨き、ひげそりクリームは第33類です。
第33類と第34類の物品については、関税率表の項の内容も比較してどちらに含まれるか確認しておくと良いでしょう。
第 35 類 たんぱく系物質、変性でん粉、膠こう着剤及び酵素
→ (注1) (a) 酵母は第35類に分類されます。
第 36 類 火薬類、火工品、マッチ、発火性合金及び調製燃料
解説ポイントがない為、省略
第 37 類 写真用又は映画用の材料
解説ポイントがない為、省略
第 38 類 各種の化学工業生産品
→ (注1) 人造黒鉛はこの類に該当します。
そのほかの物品については、過去問や問題集で出題されているものを中心に確認しておいてください。
問題
第1問 (第52回通関士試験より出題)
蒸留水は、第22類ではなく、無機化合物として第28類に分類される。
→答え 〇
蒸留水は、第28類に分類されると規定されておりますので誤った内容とな
ります。
第2問 (第57回通関士試験より出題)
次に掲げる物品のうち、関税率表第25類(塩、硫黄、土石類、プラスター、石灰及びセメント)に属するものはどれか。すべてを選びなさい。
① 食卓塩
② 人造コランダム
③ 図画用のチョーク
④ ダイヤモンド
⑤ 天然黒鉛
→答え ①⑤
②人造コランダムは、第28類に分類されます。
③図画用のチョークは第96類に分類されます。
④ダイヤモンドは第71類に分類されます。
第3問 (第52回通関士試験より出題)
エチルアルコールは、有機化学品として第29類に分類される
→答え ✕
解説でも記載しましたが、エチルアルコールは第22類に分類され、メチル
アルコールは第29類に分類されます。
第4問 (第56回通関士試験より出題)
第30類の類注において、ニコチンを含有する禁煙補助用のチューインガムは、第30類には含まないこととされている
→答え 〇
ニコチンを含有する禁煙補助用のチューインガムは、第24類に分類される
と規定されております。第30類の類注1に規定されております。
第5問 (第52回通関士試験より出題)
有機界面活性剤は、化学的に単一かどうかを問わず、第34類に分類される。
→答え ✕
化学的に単一の有機界面活性剤は、第34類に分類されると規定されており
ますので誤った内容となります。
第6問(第54回通関士試験より出題)
第38類の類注において、人造黒鉛は、第38類には含まないものとされている。
→答え ✕
第 38 類 「各種の化学工業生産品」
類注1(a)に、化学的に単一の元素及び化合物はこの類には含まないと規定
されており、
さらに、例外として、人造黒鉛は除くとありますので、複雑ですが、例外
の例外として、 この類に該当する物品とされております。