CCoE(Cloud Center of Excellence)ってなんだろう
ゴールデンウィーク直前に、漠然と「CCoE:Cloud Center of Excellenceってなんだろう」と考えていました。「組織内のCloud利用の中核組織」と言ってみても「つまりそれって何」と自分で思ってしまうのです。これは今後も継続的に考えていくことになると思うのですが、入り口段階として参考リンクとメモを残しておこうと思います。
CCOEのまとめ記事
以下の2件は、コンパクトなまとめとしても、また各種情報へのリンク集としても、非常に参考にさせていただきました。
CCoEの位置づけや役割
クラウドの利用を推進し、その効果を最大化することが役割と言えそうです。またAWSのかかげるCCoEの原則として「コストを最適化に貢献」と書いています。これはAWSブログを読むとこれは「クラウド費用を圧縮すること」ではなく「クラウドにより企業の財務状態を改善すること」というもう少し大きい役割を意図していることが分かります。
CCoEの機能
各社CCoE資料を基に、CCoEの役割を大きく情報収集、情報発信、統制(ガバナンス)、プロジェクト支援、共通サービスの提供、人材育成、ビジネス化、経営者へのインプットに整理しています。各項目に、例えば「プロジェクト支援」であれば「社内コンサルティング」「マイグレーションの主導」「人的リソース支援」などと小項目を設けており、具体的にCCoEが何をしてくれるものかがわかります。
CCoEについて考えたこと
これらに明確に描かれていなくて、こうではないかと思ったことを二つ、付け加えておきます。あくまで私見ですしまだ「考えてみた」レベルで、実践等を踏まえてもいません。ぜひ誤りのご指摘や異論等はコメントいただければと思います。
CCoEのカバー範囲はクラウドコンピューティングモデル
CCoEはクラウドコンピューティングモデル全体を扱います。これは「コンピューティングリソースは、無尽蔵のリソースプールを持っているクラウドサービサーから必要な時だけ必要な量を借りる」というモデルで、そのメリットを活用し、デメリットを制御する(時には「クラウドを使わない」という選択を示す)ことです。決して特定のクラウドサービスの拡販に特化した組織ではありません。もう少し平たく言えば、GCPのCCoE、AWSのCCoE、AzureのCCoEといったCCoEの濫立がおきるようならば、それはきっと、何かを間違えている気がします。ワンストップのCCoEが望まれるものだと思います。
CCoEは未成熟からはじめて学習する組織
CCoEの本質は「自社ニーズに合わせてクラウドを学習していく組織」ではないかと思います。「クラウドのトップレベル人材が助言や質疑に応じる」組織ではなく、もしそれであればAWSやAzureやGCPの最高の有識者はAWS社、Microsoft社、Google社にいるのだから、各社とサポート契約や業務提携を結んで彼らに聞く方がいいはずです。実際、CCoEの機能にはアライアンスやプロジェクト支援があり、クラウドベンダーとリレーションをもって彼らに効果的に「聞く」ことこそが役割に見えます。
CCoEは「CCoEの機能」提供を果たす中で、自社のクラウドニーズやクラウド事業に活きるスキルやノウハウに特化して習得し、それをまた「CCoEの機能」提供に活用するという形で成長していく組織だと思います。未熟なところからスタートし、社内でもっともクラウド関連案件や活動に従事し、もっとも手を動かし汗をかいて実践から学ぶ組織です。したがって実案件利用の現場に「プロジェクト支援」「共通サービスの提供」「ビジネス化」などの機能で携わり続け、常に「自社の“いま”のニーズ」に触れ続け、必要な知識やスキルのセットを見直し続けることが大切だろうと考えます。
終わりに
CCoEという言葉にはずっと「なにをすればCCoEなんだろう」「どこまでできればCCoEなんだろう」という疑問を抱いていました。「なにをすれば」についてはリンクしたDevelopers IOの記事2件を基点としてひとまずの理解が得られました。もちろん実際はこのサブセットでよくて、ただ自分たちがどんなサブセットを提供しているのか説明ができ、他のCCoE機能の社内ニーズや萌芽を感じたらその機会や人を取り込んでいくつもりがあればいいのではないかと思います。
「どこまでできれば」については、CoE自体に次のような説明もあり、そのクラウド版かと思うと気の遠くなることなのではとのイメージを拭えませんでした。
そうではなく、CCoEは学習する組織なのではと思えたのは、AWS Well-Architected フレームワークの6つの柱の一つ「運用の優秀性(Operational Excellence)」の説明を読んでいた時でした。
ここでいうExcellence(優秀性)は、優秀じゃないとダメというものではなく、優秀な運用を見つけ改善していくことです。きっとCCoEも、最高のクラウド有識者集団ではなく、クラウドについて社内で一番学習する組織でいいんじゃないかなと思いました。あまりにも多くのサービスを前もって学ぼうとしたり、完璧なCCOE組織を最初から作ろうとすることはCCoE構築における落とし穴だそうです。同様に、完璧な人材であろうとしたり、それを探すことも現実的な気がしません。
CCoEとは「CCoEの位置づけや役割と機能の全体像を意識したうえで、できる範囲とできるレベルからはじめて、学習する組織であり続ける活動」である。これが現時点での私の理解です。定説でも実践で裏付けされてたものでも考え抜いたものでもなく、現時点での私見にすぎませんが、もしCCoEについて考える際の起点としてでもお役に立てば幸いです。コメントは誤りのご指摘や異論等も含め歓迎いたします(それらはむしろ大歓迎です)。