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【音楽】アウトフレージング講座 (2) - モチーフの抽出と反復

こんにちは。
アウトアウトと言いつつ、だんだん何のこと言ってるかわからなくなってきましたアウトサイダー塚本です。
今日も今日とてアウトについて語ります。

前回のおさらい

前回、アウトとは期待・予定調和から外れることであり、外れる・外れないいずれにせよ期待値を形成することが大切だということをお話ししました。
また、その期待値を形成する上では、コンテクスト(そこに至るまでの文脈やシチュエーション)が大切だということにも触れました。

今回のテーマは反復

さて今回のテーマは「反復」です。というか、このシリーズ自体がどうやってフレーズを反復したりつなげるか、という話なので毎回反復が出てくると思います。
前回、たとえ話の延長で童謡「チューリップ」を例にしましたが、もう少し実戦をイメージしてジャズの曲を題材とします。

反復の例として「C Jam Blues」を紹介します。

冒頭のフレーズは以下のような感じです。

シンプルでわかりやすく、かつリズムも面白いので、このモチーフはしばしばネタとしても使われます。
反復するモチーフは、難しかったり、格好良かったりする必要はなく、シンプルな短いもので十分、ということです。むしろ、シンプルで短いモチーフの単位を見出す視点・見方・感覚こそ重要だと思います。

モチーフを探す

さて実戦的な話に入ってみます。しばしばジャズセッションで取り上げられる「酒とバラの日々」です。数多演奏はありますが、以下のyoutubeのが素直に歌っておられたので紹介します。冒頭の歌い出しだけ聞いてください。

単純に反復してみる

さて、この最初の歌い出し2音のモチーフ

をいただくとして、「壊れたCDプレイヤー」のように曲のコード進行の中で繰り返してみましょう。

あれ、そんな悪くないですかね。譜面にするとこうです。

こういうことをやると、セッションでは時に「あれ、こいつ頭おかしくなった?」とか思われるのですが、繰り返すという強い意図が伝わります。

ただ繰り返せばよいの?

さて、ここで疑問が出てきます。
ただ繰り返せばよいのか?それってダサくなったりしない? と。

はい、ダサくなったりします(笑)。
いくつかの側面がありますが、今回はリズム・メロディモチーフを固定しましたので、ハーモニーに注目します。
思いっきりトニックでルート音をメロディとして弾くような形になると流れによっては超ダサくなることもあるでしょう(必ずしもそうではないです。前後関係や内声の構造にもよります)。
このため、使っている音・使おうとしている音がキー・コードに対してどういう役割(度数)なのかを意識する必要があります。

この「酒バラ」の例で繰り返される"A"音の各コードに対する度数は以下のようになります(※Mは長、mは短などと読んでください)。

コード進行においてモチーフをどう反復するかをイメージ・判断するのに、この度数情報はとても重要になります。
ここでは敢えて一音だけを繰り返す例にしています。それが最もシンプルで演奏しながら考えることができるからです。
9小節目以降も試しにやってみて、度数と響きを確認してもらえればと思います。
また、他の曲で試してみるのもよいです。

[参考] 音を変えて反復してみる

これはあくまで参考ですが、同じモチーフで、音だけ変えると以下のようになります。

5小節目以降が若干エグいですね。

この手のハーモニーを拡張する方法については、また別途お話ししますが、どの音を選んでいくかを判断していくときに、適当(ランダム)に音を選ぶのではなく、メロディがコードに対してどういう音程になるのか把握できることが大切です。

[参考] そのほかのエクササイズ

コードに対してメロディがどういう関係になり、どう響くのか、どういう選択肢があるのかを理解するための練習方法、というよりただの頭のエクササイズ・遊びなのですが、以下のようなことをやると頭の体操になります。これは主にコード楽器奏者のためのものになりますね。

以下がルールです。

  • トップノートはキープする(以下の例ではC)

  • ベースは一定パターンで変えていく(以下の例ではCから半音ずつあがっていく)

  • その間の音を響きを味わいながら埋めていく

和声の積み上げ、和声進行について、あーでもないこーでもないと無限に遊べます。が、こういうことをやるには、和声知識と、音の配置の仕方、楽器固有の押さえ方・弾き方など様々な知識・技術が問われます。

まとめ

今回は、すでにあるメロディからシンプルなモチーフを抽出すること、そしてそれを単純に反復することについてお話しました。反復する際には、そのモチーフがコード進行においてどう響くのかは度数を意識してイメージすると良いです。

次回も引き続き反復を取り上げますが、また別の種類を取り上げたいと思います。(了)


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