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【SD】2021-22パドレス補強動向
前回元阪神ロベルト・スアレスや、元福岡ソフトバンクのニック・マルティネス、元カーディナルスの中継ぎルイス・ガルシアの補強を経たパドレスだが、当然これだけで補強が終わるとは思えない。
どのポジションを補強すべきかという話を始める前に、シーズン終了後フリーエージェントやNon-Tender(契約無提示)でパドレスのロースターから外れた主な選手を見ておこう。
先発投手
フリーエージェント
RHP ビンス・ベラスケス
リリーフ投手
フリーエージェント
RHP マーク・マランソン(選手側相互オプション却下。ダイヤモンドバックスと2年$14M契約)
RHP ダニエル・ハドソン(ドジャースと1年$7M契約)
RHP キーオニー・ケラ
LHP ロス・デトワイラー
マイナー行き拒否FA
LHP ニック・ラミレス
RHP ダン・アルタビラ(トミージョン手術)
RHP ミゲル・ディアス
LHP ダニエル・カマレナ
他球団ウェイバー獲得
RHP ショーン・アンダーソン(ブルージェイズが獲得)
Non-Tender
LHP マット・ストラム(ひざ手術)
RHP トレイ・ウィンゲンター(トミーージョン手術リハビリ中)
LHP ホゼ・カスティーヨ(トミージョン手術)
野手
フリーエージェント
LF トミー・ファム
CF ジェイス・マリスニック(チームオプション却下)
マイナー行き拒否FA
2B イバン・カスティーヨ(ロイヤルズとマイナー契約)
RF パトリック・キブルハン
RF ジョン・アンドレオリ
西武ライオンズと契約
RF ブライアン・オグレディ
この中で特筆すべきはナショナルリーグセーブ王のマランソンとファムか。マランソンはえらくあっさりアリゾナ・ダイヤモンドバックスと契約したが、Dバックスは来季FAで抑えを取ってくるほど中心戦力が整うのだろうか。また古株のロング&ロン毛リリーバー、ストラムとの別れも切ない。
他のマイナー選手の出入りは以下の通りだ。
新加入選手 (2021所属球団)
2B: C.J. Hinojosa (Astros)
OF: Oliver Carrillo (amateur), Luis Liberato (Mariners), Nomar Mazara (Tigers)
RHP: Jordan Brink (Rays), Heath Fillmyer (Indians)
注目すべき獲得選手はノマー・マザラだろう。21歳でのデビューから4季で79ホームランを放つも、直近2年は4HRと低迷。
A.J.プレラーGMお馴染みのプロファー、アルファーロに続く伸び悩み元レンジャースプロスペクトの獲得。低リスク補強。
退団選手(2022年新球団)
C: Kyle Overstreet, Webster Rivas, Wynston Sawyer
2B: Gosuke Katoh (Blue Jays)
SS: Allen Cordoba (Reds), Pedro Florimon
RHP: Aaron Brooks, Jordan Humphreys, Alex Powers, Austin Smith, Tyler Viza, Luke Westphal
LHP: Joe Beimel, Brady Feidl, Jerry Keel, James Reeves
2017年ルール5ドラフトのアレン・コルドバ、加藤豪将は他球団へ。ジョー・バイメル43歳でのメジャー復帰もならず。
優先補強ポジション
予てから噂されているエリック・ホズマーやウィル・マイヤーズら高額契約選手の放出が無いと仮定した際、パドレスが補強しなければいけないポジションは以下の通りだ。
1. 左右翼どちらかの外野手
2. 先発5番手
3. その先発5番手までが今季の様に怪我で相次ぎ離脱した時に5イニング3失点までに抑えられる、ジェイク・アリエータやビンス・ベラスケスら出涸らし短期バイト以上の先発投手控え20人
4. トミージョン手術移植用腱ストック50本
上記以外にもマランソンの移籍に伴い一線級のクローザー獲得もあり得そうだ。しかしMLBでの抑えが務まるかまでは未知数ながら先日スアレスとガルシアのリリーバー二人を獲得したため、上の3ポジションほど優先順位は高くないように思われる。
1. 左右翼どちらかの外野手
もしこのオフに1ポジションしか補強できないとしたら外野手を最優先するだろう。今年パドレスの左翼と右翼のbWARは-1.1と-0.3、共にNL15球団中10位に甘んじた。トミー・ファムがフリーエージェントになってしまったため、何しろこのままだとレフトのレギュラーがOPS.649で永世外野守備初心者のジュリクソン・プロファーになってしまう。どこでも守れるというか守れていなくても守らされるプロファーは控えだからこそ有り難いのだ。
ここで他のMLBファンブログなら、「補強はズバリ○○選手と予想します!〇〇〇球団とのトレードで×××を獲ります!」等と楽しそうな話も書けるのだが、ことA.J.プレラーGMの補強については誰も彼も予想が当たった試しがないので、私もあまり考えない様にしている。犯人やトリックを探る推理映画ではなく、アクション映画を見る様に座席に踏ん反りポップコーンを頬張りながら「(良くも悪くも)振れ幅すげえなぁー」とこちら側で頭を使わないで眺めるのが楽しいパドレスオフシーズンの過ごし方だ。
とはいえ何も書かないのもつまらないので幾人かの選手名を挙げておこう。
大物FA外野手クリス・ブライアントやニック・カステヤノスに興味を示していると報じられていたが、パドレスに限らずどの再建期以外の球団でも興味を示すだろう。もし獲得出来るならブライアントを推したい。左翼なら平均レベルの守備を見せるし、マニー・マチャドが故障、もしくは2023年末にオプトアウトした場合には三塁の代役を任せられる。
一方カステヤノスは守備に難があるため、マイヤーズに続く拙守の外野手をもう一人囲うのは得策ではない。
ネックは5-6年$120-170MM辺りと見込まれる高い年俸と、それが贅沢税に及ぼす影響。パドレスは2021年の税計算上年俸が球団史上最高額の$216.5MM、贅沢税一段階目の境界値を超えた。つまりドジャース以外にぜいたく税を支払う唯一の球団となる。ペナルティ額は$1.29MMと少額だが、クオリファイングオファー(QO)が提示されたFA選手を獲得すると、次回のドラフトでチーム2番目と5番目の指名権、また国際サイニングボーナス枠を$1MM失ってしまう。近年の補強でプロスペクトを大量放出し、ファームの選手層が薄くなっているパドレスにとっては、むしろこちらの方がダメージは大きい。
ブライアントはQO提示がなくカステヤノスには提示されていた(のちに拒否しFA)ので、後者獲得への障壁はもう一枚多い。
より現実的な選択肢となるとポスティング移籍を試みる鈴木誠也、FAファム、マイケル・コンフォルトか。
パドレスはおそらく鈴木獲得に乗り出す球団のひとつだろう。27歳の鈴木は金銭だけでなく、妻の(旧姓畠山)愛理夫人が安全かつ安心して過ごせる球団であることが移籍先の条件として挙げており、この点においてサンディエゴはロスアンジェルス、ボストン、シカゴ、ニューヨーク、デトロイト等他球団より遥かに有利だ。ボストンは寒くて元体操選手のお身体が固くなってしまいますし、シアトルも治安は悪くないが秋の雨が憂鬱な気持ちにさせますよ愛理さん。MLBTRの契約予想は5年$55MM(+広島東洋カープへのポスティング費$10.125M)と、先の二人の半額以下だ。もしこれでWAR 3.0以上の成績を残せるならかなりお得な投資だ。秋山や筒香よりO-Swing%が低い点も良い。
ファムとコンフォルトはおそらく両方とも単年契約だ。Fangraphsの予想ではファムが2年$20MM、コンフォルトが1年$18MMと予想されているが、怪我により過去2年不調に終わった34歳のファムのキャリアはそう先が長くない。安値で複数年契約を掴むより、来年で良いところを見せて市場価値が上がったところでFA市場に再参入する事を望むのではなかろうか。もしくは今季のマランソンの様に1年+相互オプションか。開幕時29歳とファムより若いコンフォルトも狙いは同様な筈だ。ジョク・ペダーソンも似た状況だがやや物足りない。カイル・シュワーバーはボストンが高値を積むと見ている。
ではズバリ予想は?!となると鈴木誠也な気がする。ポスティング選手はドラフト権の喪失はない。鈴木をライトに守らせれば、マイヤーズを辛うじて人並みの守備が出来るレフトに回せる。ブライアントとカステヤノスはおそらくホズマーとマイヤーズの放出有無次第(放出したらしたで彼らが務めていたポジションの補強も要るが)だ。また2022年のポストシーズン進出を盤石にしたいパドレスにとって、ファムやコンフォルトらは先の選手らが取れなかった場合のセカンドチョイスだろう。投手以降はまた次回。