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オーソドックスで奇を衒ったところがなく、大袈裟なヴィブラートもない。つねに新鮮で、知的な『四季』

録音:1959年10月 オーストリア・ウィーン

ヴィヴァルディの『四季』は、ベートーヴェンのピアノ・コンチェルト5番と並んで、最もさまざまな演奏を聴いた曲になる。最初に聞いたのは、『四季』というと、イ・ムジチが有名だった頃。しかもコンサート・マスターとしては、まだ初代のフェリックス・アーヨのアルバムが定番として流通していた。2代目ロベルト・ミケルッチと3代目サルヴァトーレ・アッカルドのアルバムもすでに出ていたと思う。4代目で、初の女性のコンサート・マスターとなったピーナ・カルミレッリのアルバムは、2007年に聴いた。

シュナイダーハンの演奏は、オーソドックスで奇を衒ったところがなく、大袈裟なヴィブラートもない。しかし陳腐ではなく、退屈さもない。どの楽章も初めて聴くように新鮮。音楽は生き生きと生動し、歌心を失わない。
彼の演奏法の特色としては、「左手首をキリキリと震わせて、幅の狭い、細かいヴィブラートを掛ける。それが彼の甘美で切ない音色の秘密となっている」と解説されている。

シュナイダーハンのレパートリーは、ウィーン古典派とロマン派がメインで、バロック音楽を演奏するのは珍しい。この距離感が、彼の演奏を終始知的なものにしているのだろう。

録音が1950年代なのに、最近録音されたように鮮明なことにも驚く。

<イ・ムジチ 初期コンサート・マスター>
初代:フェリックス・アーヨ(Felix Ayo)1951~1967
第2代:ロベルト・ミケルッチ(Roberto Michelucci)1967~1972
第3代:サルヴァトーレ・アッカルド(Salvatore Accardo)1972~1977
第4代:ピーナ・カルミレッリ(Pina Carmirelli)1973~1986

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