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思索的でリリカルなピアノと、アースキンの豊かな空間性

ピーター・アースキン 『You never know』
Pr:マンフレッド・アイヒャー
録音:1992年7月 ノルウェー・オスロ

一度見たら忘れられないジャケット。
ECMのアート・ワークには、どこか催淫的なものがあり、ふらふらと近寄って、音源がどうとかあまり考えず、買ってしまいそうになる。

これはドラマーであるピーター・アースキンのリーダー作だが、実際はピアノトリオ・アルバム。メインとなっているのはジョン・テイラーの思索的でリリカルなピアノ。テイラーがイギリス人で、ベースのダニエルソンがスウェーデン人なので、いかにもECM的なヨーロピアン・サウンドになっているが、アメリカ人のアースキンのドラムスを中心に聴いていくと、開放感があり、空間性が豊か。

P・アースキンというと、ウェザーリポートのドラマーというポジションがすぐに浮かんでくる。名盤ライブ・アルバム『8:30』でも、ドカドカと叩きまくっていた(あのメンバーの中にいたらそうなるだろう)。しかしここでは繊細なシンバル・ワークが中心で、4ビートを刻むこともない。空間をひそやかにうめていく。

ジョン・テイラーの曲が4曲、ヴィンス・メンドーサ(彼はアースキンの大学院の教え子)の曲が4曲、アースキンの曲が1曲あって、ラストはコール・ポーターの「Ev'rything I Love」。


#ECM #ピーター・アースキン #ジョン・タイラー #ピアノ・トリオ


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