『LEODRAT』セルフライナーノーツ part②
LEODRATボーカルギター司です。
今日はセルフライナーノーツの続きです。
M-5『Nia』
たとえばLEODRATの曲から3つ選ぶなら。
これから先のLEODRAT史で生まれてくる曲の中でも、その立ち位置を譲ることはないでしょう。
昨年リリースした会場限定盤「Near and Dear」
からのリード曲を収録しました。
こちらは再録です。
前作からの大きなアレンジは特にありませんが、ところどころメロディの譜割りを変えています。どこが違うか見つけられた人、玄人ですね。
この一年ライブハウスで演奏し続けたこともあり、楽器隊、ボーカル共にレコーディングは瞬殺で終わりました。のぞみとか確かワンテイクちゃうかな?
"ライブハウスで鳴らすNia"の空気感をパッケージできたと思います。
「Near and Dear」の4曲は、3rdのツアー終わりくらいにはある程度構想が固まっていました。
その後メンバーの脱退もあって長期冬眠してもらうことになるのですが、その間も作詞作曲を突き詰めていきました。逆に言えばその時間があったから、新しく見つけられた感情とか言葉が見つかった部分もあったので、逆境に立って得られたものも確かに沢山ありました。なら結果オーライか?っていうより失くして手に入れて両方を感じて、見えたものがあったと思う。
"好きなバンドがライブするからライブハウス行く"
っていうことはすごいですよ。
みんな日々の生活があってそれを乗り越えてライブハウスに辿り着く。残業でライブに間に合わなかった日も、受験勉強あるから行けるけど我慢しなきゃって諦めた日もあったでしょう。
ライブハウスで出会えることは、小さな奇跡が
たくさん積み重なった結果だと思ってます。
遊びには命かけたらあかんとか、
誰も言ってないし別に聞いた事もない。
だから会えた時には次の再会の約束をする。
それもとびっきり最高のやつにしよう。
ライブハウスを出た後の耳鳴りが一緒に居たことの証明。ちゃんと俺たちの音楽が側にいるんだよって知ってて欲しいから、今日も本番は少しだけ音を大きくする。(PAさんすいません)
この曲ができた時、俺たちのホーム堺の大兄貴
Down the Rabbit-Holeのみつるさんがめちゃくちゃ褒めてくれたことが忘れられないです。ほんまに良い時しかそういうこと言わない方なので。笑
「これからこうしていくぜ!ついてこい!とかそういうんよりももっと手前で、今のレオのリスナー達に対する等身大で向き合ってる姿が書かれてる。」
歌詞送ってなかったのに考察が凄過ぎたけど、書いた本人が気づかんかったところまで深く想ってくれる人が生まれるような、すげぇパワー持った曲なんや!って思えて嬉しかった。
今のLEODRATの核になった、強い意志をくれた曲です。ちゃんと文章に残していなかったので、こうしてあなたに読んでもらえて良かったです。
タイトルは【near】〜の近く、〜のそば
と、俺が好きなアニメのヒロインの名前ニアから取ってNiaになりました。
※ここから先は読んでも読まなくてもいいんですが、そのアニメの結末とも歌詞を絡めてます。
主人公が戦っているラスボスを倒してしまうと、そのヒロインはある理由で消滅してしまいます。それを知ってもなお、主人公とヒロインはラスボスを倒すことを選びました。平和になった世界で最後に2人は結婚式を挙げて、ヒロインは仲間達に見守られながら消滅していく。
っていうちょっと切ないエンディングなんですが、そのヒロインへのメッセージ的要素も込めました。
天元突破グレンラガンというアニメです。
機会があれば是非。
女の子はあんまハマんないそうですが。
総括 : 一緒に歌えば大変よろしいな。
M-6『未完星』
配信シングルの第3弾の曲。
リミックスしてますので、音像の違いを楽しんでもらえたらいいな。これは2日間で作詞作曲が終わりました。"俺が歌いたいこと"を曲にできたパターンです。
作曲していると"ボツ曲"というものが必ず生まれます。理由はバンドによって様々ですが、大体の理由は「なんかピンとこない」「光るものがない」といった曖昧な感じです。「この盤には必要ない」みたいなストイックなパターンもありますが。
しかしその曖昧なニュアンスを信じることも大切な時があります。
LEODRATのほぼ全ての曲を作詞作曲しているのですが、基本的に自分はボツ曲を作りたくない派なので、めちゃくちゃ考えてメンバーに持っていきます。
しかし、バンドも長く続いていくとソングライターの意向を全て肯定する訳にもいきません。
自分も今回の製作では3曲くらいボツが出ました。(それでも今回は少ない方)
そんな時に「誰にも聴いてもらえないまま、俺が時間と情熱をかけて書いた歌たちが消えていくなら、せめてこいつらの想いを歌にしてやりたい」と思いました。
輝きを強く放つ歌にはなれなかったけど、生まれてきてくれたことで、確かにこれから後に続く歌たちの糧になってくれている。
Stage of the ground/BUMP OF CHICKEN
"君をかばって散った夢は 夜空の応援席で見てる"
昔から凄く好きな一節で、このフレーズを自分なりに広げた時に、ボツになった歌は自分の宇宙の中の六等星になりました。
今回のレックでもParallelは過去のデモから引っ張り出してきたし、他の曲もリフとかは既存のアイデアを随所に散りばめてます。これらはすべて、小さな輝きたちが「つかさがんばれー、ええ歌書くんやー!」と応援してくれているんだと想いを馳せながら作曲していました。
熱意を持ってやってきた事が評価されない、報われない事はあります。一生懸命続けてきた先で結果として現れず、無駄な努力だったと嘆くこともあります。
そうやって重ねた無駄だったと思っていることは
実はちゃんと自分のためになっているんじゃないでしょうか。失敗したから、次は成功するように努力を続ける。誰にも見つけてもらえないなら、見つけてもらえるように発信し続ける。
それは何よりも自分を動かすエネルギーになって、過去のことなのに今も一緒に生きている。
思い出が今を強くしてくれる。
だからお前のことは忘れないし
今でも変わらずに信じている。
時々会いに行くから、見つけられるように
小さくてもいいから光っていてほしい。
そこには時代や流行よりも大事にしたいと思える、自分のまっさらな気持ちが待っている。
そんな歌。
オレひとりぼっちだなって感じている人にこそ
聴いてもらいたいと思っています。
歌詞の内容は作曲風景です。
何かを生み出そうとする人たち、がんばろうぜ。
総括 : 聴いてくれてありがとう。
M-7『春花』
2024年の配信シングル第2弾を収録しました。
春の歌を書こうぜ!と書き始めた曲です。
俺の地元は夕方になると"七つの子"がサイレンで流れてました。(かーらーすーなぜなくのーの歌)
部活終わりに駐輪場でお互いの顔が見えなくなるくらい遅くまで駄弁ってた友達も、試験期間中の空き教室でリプトンミルクティーを片手に一緒に勉強していた恋人も、全てはかけがえのない情景になって、ふとした時に思い出の中から顔を出す。
そうやって、今でも鮮明に思い出せるような美しい思い出に、これから俺たちはいくつ出会えるのだろう。20越えたら、30越えたら、誰かの姿に感動する事も少なくなったり、何かに夢中になって一生懸命打ち込むことも無くなったりするんかな。
と、駆け出しの頃は思っていたのですが。
人生31年目、そのうち1/3をバンドに情熱を向けてきた自分にとっては余計な心配でした。
だってあの日の先輩のライブは頭からケツまでどんな景色だったか話せるし、あの日フロアで泣いていた子が終演後にかけてくれた言葉は今も俺の中でキラキラ輝いている。
自分が日々ひとつひとつ決めていく選択肢
そのどれもがきっと最善であることを願っている。
振り返ったときに、あれは俺にとって必要で最高だったと笑っていられたら。
サウンド面ではLEODRATの諸葛孔明a.k.a.竹中半兵衛こと、サポートドラマーのぞみ君がなんかキラキラしたやつを入れてくれました。
青春ってキラキラしているので、そのニュアンスを出したかった自分にとってはとても有り難いアレンジとなりました。
総括 : 青春に始まり、青春に終わる。
M-8『PIED PIPER』
4th demoより再録です。
MVとしては初めての作品だったので、俺たちの入り口としてこの曲に出会ってくれた方も多いと思います。このくらいの時期から古巣のAilet Recordsにお世話になり始めて所属に至ったので、LEODRATとしても思い出の一曲です。
この歌は結成2年目かそこいらぐらいに書いた歌。
タイトルは愛するthe pillowsの2008年リリース15枚目のアルバム『PIED PIPER』から。"パイド・パイパー"と読むんですが、初見で読むの難しすぎるかもしれん。グリム童話のハーメルンの笛吹きに登場する笛吹男のことを指すそうです。
Vo.Gtの山中さわおさんが、「笛吹男のように自分たちの音楽、ロックで人々を楽しい方に連れていきたい」という思いからつけられたタイトルだそう。
案の定、15の時に『PIED PIPER』というアルバムに出会い、バンドサウンドに目覚めてしまった少年はそれから数年後に自分で作った歌に、憧れのアーティストの一番好きなアルバムの名前をつけてしまいました。よくある話。ちゃんちゃん。
それから未だロックの監獄からは抜け出せず、皆さんの応援のおかげもあり音楽を続けております。
"変わらないでいるよ だから変わらないで"
という一節に、自分自身支えられていた。
これは過去の自分から、今を生きて、そして未来へ向かう自分へのメッセージだということをいつだって忘れないように続けてきました。
星が積もるほど長い時間が流れたとしても
途方もない距離の旅に発ったとしても
ここで歌を歌っているから、いつでも帰っておいで
という想いを込めたような気がします。(当時)
LEODRATのコアイメージ、ど真ん中の曲だと思っています。再録にあたりアレンジもしたので、旧作と聴き比べてみて下さい。
歌詞の"君の宇宙"とかは完全にLeftの1stの影響。
先輩好きすぎだろ、なんとかしてくれ。
総括 : みんなで歌うしかない。
M-9『トワイライト』
配信しているのはここまで。
サポートドラマーのぞみに編曲を担当してもらいました。(アレンジとか2人で決めながら進めた)
DTMやとのぞみは打ち込みとかバリ早いし、細かいフィルとかも俺が口でここはドゥコドゥコやねん!とか言うのをすぐに形にしてくれたので助かりました。
Luraで雨が止んで、光りで陽が差して
トワイライトで夜へと向かう。
CDの中での流れを意識してタイトルを決めました。
この歌、お客さんにばり褒められる。笑
しかも褒めてくれんの古参の人たちが多いかも。
曲調とかはめちゃくちゃ新しいことしてるって訳でもないんやけど、なんかみんな的には今までに無かった感じなのでしょうか。どんな理由であれ褒めてくれることはすごく嬉しいです。
自分的にはかなりチャレンジしたな〜って感じのリリック。素直になるには勇気が必要っすね。気持ち振り切ってからは、猛スピードで書き切りました。歌詞の解説もいらないくらい、わかりやすい言葉にしたつもりです。愛だ恋だの歌です。
あんま語らないでおきます。AB型長男なもんで。
シンガロングのパートもあり、進行も切なさの中に力強さを持っています。みんなで歌って、なんかよくわからん涙とか流せたら最高。
総括 : 一緒になんかよくわからん涙流そう。
M-10『Naked』
3rd demoから録ってクレェ…
つって蘇ってきたので再録。
こちらはフィジカルにのみ収録してます。
昨今の流れはどうあれ、CD買ってくれた人だけの
特別が欲しかったのでこの判断に至りました。
初期LEODRATの定番曲。
デモ盤でしか聴く術が無いわりに、ライブでやって下さい!ってめっちゃ沢山の人に言われてました。
でも新しく俺らを知ってくれた人は、デモ盤なんて持ってないやろうし、1人でライブハウス来てる人は誰かにCD貸してもらうとかもできんし。
そんなら再録してみんなに知ってもらうしかねぇ!
という理由です。悪ノリ一歩手前。
再録にあたり、歌詞は松山の友達PRAY FOR MEタクマにちょこっといじってもらったりしました。
アレンジは限りなく少なくしたかった。当時のまんま。なるべくおしゃれなコードも使わずに、粗が目立つ感じでレコーディングに臨みました。
デモ盤から2曲再録するのは結構最終段階まで悩んだんですけど、やっぱずっと応援してくれた人にも喜んで欲しいし、今の俺たちが歌うことに意味がある!ってな気持ちでいます。
そう、俺たちのどんな歌も
今歌うから意味があると思う!
総括 : 是非CD買ってください。笑
以上です。
長くなりましたが、これからツアーを周ってみんなに聴いてもらえたら、一緒に歌えたらもっと歌の中に隠れていたモノが見つかると思う。
どんな感情に出会えるのか、今から俺もすごく楽しみです。
1st full album『LEODRAT』
どうぞよろしくお願いします。
長かった…読んでくれてありがとう。
また書きます。
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