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2024年を振り返って〜お気持ち〜

2024年は8年ぶり漫画家としてフル稼働、1年働きました。

8年ぶりて…!
さすがに長すぎる…!
長い冬眠からやっと醒めた感じといいますか…!

フル充電状態で帰ってきた分、
色々フレキシブルに動いてめちゃくちゃ濃く、長い一年でした!

なのでせっかくだしこの機会に、
これまでのこと含めて色々振り返りたいと思います。


2024の連載振り返り

私は漫画を描く時に「気づいてくれるかな?!」と作品の中で色んなボールを投げます。

まずは担当に投げて肩慣らして(ネームOKもらって)、そのあと読者の皆さんに投げて、受け止めてもらったりまた投げ返してくれたりというキャッチボールを楽しむのが漫画を描いていて1番楽しい時間だと思ってます。
なので漫画は一人で描くけど、自分一人だけで完結する漫画にはあまり興味がないタイプの作家だと思ってます。

そんな中で、
ありがたいことにデビューしてかなり早くから漫画だけで生活できて幸せだったんですが、
デビューから10年の間で
少女漫画ジャンルの「現代もの(ファンタジーなし)」で己が少女漫画に欲するものを必要とする読者はかなりマイノリティな存在になっていってるんだろう、という事を肌で感じました。
でもそれは単に読者から描き手に自分の立場が変わったからそう感じるだけなのかもしれませんが。
読者の立場なら「好きなものを読めばいい」なんですが
描き手になると「ウケる要素」というものに対して敏感にならざるをえないので。

少女漫画を取り巻く時代の変化

私は「時代性」や「作者の意図」「オリジナリティ」を強く感じる少女漫画がいち読者としての好みなのですが、同じくそういうものを好む読者さんはもう少女漫画雑誌を読んでいないというか、
自分が雑誌を読んで面白いと感じた作品と実際のウケの剥離を感じるというか、
デビューからの10年間の間で時代が変わっていっているのを感じました。

そういうのを重視する作品作りをしたい作家さんは伝わる努力をするのはもちろん大事なことではありますが、ジャンル移動した方が話は早いのだろうな、と。

実際、その後「私が読みたかった少女漫画」みたいな作品達が少女漫画雑誌では連載されずに青年誌や少年誌(ウェブも含む)で連載され始めましたし、全く検討外れな視点ではないと思ってます。(補足※1)

でも私は少女漫画というジャンルが大好きで、
漫画を描きたいというより少女漫画雑誌のメンバーになりたい(一緒に雑誌を楽しみたい)という意識で投稿したタイプなので己に関して言えばジャンル移動はちょっと違うな、と。

そうなると「少女漫画は男子がビジュアル的にかっこよくて、楽しく明るい漫画が正義」と自分の中で結論が出て、「それなら自分のすべきことは何もないな」となり、「恋だの愛だの」完結後、それなりの期間、漫画を描く行為から遠ざかりました。

長い休止期間を経て


その後、「恋だの愛だの〜君は僕の太陽だ〜」1巻の後書き漫画に描いた通り、「自分の漫画の同人誌を作ろう!」という入りから、同人誌というのはやっぱ世間が求めてるというより自分が求めてるものを作るのが正しいと思うので、自分が面白いと思うものを全力でぶつけた漫画が「恋だの愛だの〜君は僕の太陽だ〜」です。

同人誌ということで、「自分が好きだった『少女漫画』とはどういった部分を指すのか」と考えながら今の連載は描いています。

私は、現実世界で正しく生きるのがとても難しいと思う分、過剰なまでに自分の創作に対して「正しさ」を求めてしまいがちなんですが、
現連載の「恋だの愛だの〜君は僕の太陽だ〜」は、
初連載の「笑うかのこ様」と同じくらい「正しい作品」だと思ってます。

「笑うかのこ様」はデビュー1年目の連載ということもあり「自分の正しさ以外に皆様にお出しできる商品がない」だけで単純に技術力不足ゆえの結果なんですが、
今読んでも「正しいな…!」と新鮮に驚き、気に入ってます。(補足※2)


うってかわって今作の「恋だの愛だの〜君は僕の太陽だ〜」はアンチテーゼに溢れてるというか「現在進行形少女漫画というジャンルでの正しさはこうなんだろうけど私はそれは正しいとは思わない」という意思で描いてる部分がめちゃくちゃあります。

わかりやすい部分もあれば、絶対気づかれないと思うけど説明したらめちゃくちゃ納得してもらえるであろう部分まで1話目から解説入れたらずーーーーーっと話し続けられるくらいないろんな要素をふんだんに入れてます。

というわけで、もともと私の漫画は人を選ぶ(万人受けではない)と言われ続けてたのに、
今作は定石を意図的に外す部分があるため、これまでのシリーズ2作以上に人を選ぶというのは自覚しています(「かのこ&椿くん」の関係性は少女漫画の王道なのに比べ、山田は違う。
「見た目は地味で冴えないが100%いい人な聖人君子」なら少女漫画の王道なんですが、そうしたくないからあえて1話目で山田のネガティブな面を強調してますし)

ただ、それも少女漫画の多様性だと思っているので一切迷いなく描いております!

恋だの愛だの〜君は僕の太陽だ〜8話

8話なんて現在の自分が描きたいものをストレートに出したので、この話は絵柄を変えて(または別の人に作画頼んで)少女漫画ジャンル以外で発表した方が、反応してくれる人は多いだろう(キャッチボールを楽しめる)と思いながら描きました。

(↓ここから読めます)

そう思いながら何故この話を少女漫画で描いたかというと、
少女漫画というジャンルの美点の一つとして「ストレートな応援を恥ずかしげもなくできる」というのがあると思っているからです。

少年漫画なら結果が伴わないと肩透かしだし、
青年漫画ならストレートな応援は幼すぎて少し照れるのでもうちょいズラした表現になると思います。

そういった意味で、
8話は少女漫画ジャンルで発表するのが正解だと考えるし何なら王道の話とすら自分では思ってます。

ちなみに登場キャラの職業が芸人だから作中ではお笑い界のことを言ってるけど、限定した話はしていないです。

明るく楽しいのは大事だけど、迷いや苛立ちを無視して成立する「明るく楽しい」はやはり嘘だと思うので、
そういった自分も認めながら頑張るのが「明るく楽しい世界」としての正しさだと私は考えているので。

「努力の方向性が〜」というのもたしかに重要ですがそれは2歩目以降の話であって、
やはり最初の1歩は「頑張ろうと思う気持ち」以外にないと思います。

なので8話は「今、頑張りたいと思ってる人たち」に向けたエールだったので
漫画家仲間や投稿者の方(リプくれた)に刺さったようでとても嬉しかったです。

補足


※1
SNSで定期的に話題になる「少女漫画にもすごい作品はある」というので挙げられる作品の9割は連載開始が少なくとも00年代までなイメージがあります。2009年ですら15年前ですよ。
その間に結構な数の「考察や評論を好む読者」や「王道とは違うが面白みがある作家」は少女漫画というジャンルから離れた印象があります。
なので現連載中漫画で考察的な視点を持って語られがちな少女漫画ははほぼ長寿連載作品か、アニメ化済作品(アニメから入ればジャンルを意識せずに見られる)と思ってます

※2
「笑うかのこ様」は当時からよく中2病っぽいと例えられがちだったんですが、一貫してその単語は作内では使わず「選民期」と言ってて、それは「他者が作った言葉に安易に乗っかるのは創作者として如何なものか」と思ってたからで、「1年目なのにその心意気や良し!」と自画自賛してました。

あと、読み切りから始まったけど、ラストコマは全部笑うかのこにしてタイトルを維持して統一感を出そうとしている(だからこそ7話の変化球がいきてくる)のが、めちゃくちゃイケてるとずっと思ってました、が、特に誰も指摘されなかったので、これは3巻の後書きで自分から言いました)
なんかラクな方に逃げることは一切ぜず一生懸命いろんなこと考えながら描いてて「正しい」なと思ってます

2024年の自己採点

というわけで、今年描いた連載に関しては
技術的な意味での未熟さは否めないけど、やろうとしてることは言い訳せずやり切ったかなという意味で
自己採点100点(満点)です!

まぁ毎月の連載のお知らせくらいはnoteできちんとしたかった(せっかくの漫福ガチャも単独記事書けなかった)など心残りもそれなりにありますが、
まぁいいじゃないか!(ポジティブ)

少女漫画は新しい時代へ

そして、前述した「少女漫画というジャンルが変わってきている」という話なんですが、
これは、私が連載してた時代と比べ物にならないくらいここ5年くらいで加速して変化してると思ってて、以前の記事にも書いた「ネガティブ要素を嫌う」などもそうなんですが、個人的には「もうここまで来たら逆に面白い」域に入ったと、作家ではなく少女漫画ウォッチャーとして感じてます。

というわけで、従来通りの「少女漫画の面白さ」な作品も沢山あるけど、同じくらい沢山確実に新しいガラパゴスとしての面白さが産まれていってると思ってます。

なので「自分が幼いときに夢中になった少女漫画の好きなところ」という要素はこの作品でやり切って昇華できたなと思ってるで、今度はなんか皆さんに喜んでもらえるような、この時代と並走した楽しいやつも描いてみたいという気持ちが強くわいてきております(何か決まってるわけではなく全くノープランです!)(うまくできるかはわからないけど、面白そうとワクワクしてます)

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その他のトピック


他、今年はいろいろなことがありました!

担当替え

仕事に関する大きいトピックといえば担当が変わりました!
新担当は「若い男性」という「普段全く接点のないジャンルの人」で、どうなることかと心配してたのですが、
ネームを読んだ時にすごく的確な指摘をくれる方で、
毎回めちゃくちゃたすかってます!
彼のおかげで初稿より第2稿の方が良くなったと、特に今描いてる原稿(12話)に関して強く思ってます、感謝!

M-1

今年のM-1、見ました?!
めっっっっちゃくちゃおもしろかった!!
2024年のM-1のナイスアマチュア賞Tシャツを所持してるの、生涯にわたって自慢できる…!

もったいなくて袋に入ったままの状態!

↓なんで持ってるの?という方はこちらの記事読んでください

ありがとうウサ村さん(相方として出てくれた)
ありがとうLLRさん(選んでくださった当日MCの芸人さん)
正直2024年の私の代表作、世間的にはこの「M-1一回戦敗退」だと思います(それは作家としてどうなんだって感じなんですが客観的に考えたらマジでこれ)…!

土井先生

土井先生特集のダ・ヴィンチさんへのイラスト寄稿、
本当に嬉しかったというか、マジでいまだに何故私に声かかったんかわからない(己の知名度的に)、本当にありがたすぎる!

当時アシスタントしてくださった方と「忍たま映画始まらますねー!」と話してたら
「辻田さんに【お帰りなさいの段】をご飯食べてる時に5回くらい見せられたのすごく覚えてます」と言われて、
当時の担当だけではなくあらゆる方に迷惑を…!と思いました。
あの回、好きだったから皆んなに見てもらいたいよね笑!

そしてなんと!「劇場版忍たま乱太郎ドクタケ最強の軍師」の試写会にも行けることになりました!!!!

嬉しすぎて「ここがピークか!?」と浮かれていたのですが
前日夜に体調不良で無念の欠席…!!
ドタキャンで申し訳なかったです…。

というわけで映画は普通にファンとして初日に一人で見てきました!
年末年始、皆様も是非!

雑渡さんは肌を一切見せずにセクシーなの天才だと
改めて思いました

ヒロなんゲスト

漫画家仲間藤原ヒロさんのポッドキャスト
「藤原ヒロのなんなんやろ」に初めて出演させていただいたのも今年です!(3回出ました)
YouTube、ポッドキャスト、listen3種類どこでも聴けますので家事や原稿作業のお供によければ是非

↓初回はこれ(藤原さんとの出会いなど)

↓2回目(200回記念、200回を祝う)

↓3回目(M-1一回戦敗退反省会)

藤原ヒロさんは来年2025年がデビュー20周年!
色々イベントがあるようなので楽しみです!

LLRさんのYouTube


M-1繋がりでご縁のできたLLRさんが
「笑うかのこ様」をご自身のYouTubeで取り上げてくださったのもありがたかったです!

今年は仕事の予定が詰まりまくっていたので
配信で楽しませていただいたのですが、 
来年はLLRさんの舞台も直接見に行きたいです、というか絶対いきます!

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…さすがに今年、トピック多すぎない?
普通に8年ぶりに1年通して仕事しただけで正直自分的にはでかいニュースなんだけど…みたいな!!!

2024年はLaLaの表紙描かせていただいたり、
投稿者向けの講座の講師させていただいたり、
ガチャでグッズを沢山作っていただいたり、
単行本の帯が芸能人(芸人さん)だったりと、
新鮮で充実しまくった一年でした。

正直去年くらいからLaLa読み始めた人は
私が長年行方知らずだったことなんて思いもしないほどにシレッと紛れ込めてたと思うがどうだろう!

なんか色々とジタバタしてるので
担当に「寝てますか?」とつい最近も心配されたけど寝てます!
ただ、実は今年、子供関連の役員もやってるのだが、そっちの仕事あんまりできてなくて返信も毎度遅くてママ友怒ってないかなってそれはガチで心配!!!(役員仲間は私のペンネームなど知らないからここは見てない)
年末年始、マジそれはやらないといけない仕事の一つ!

最後に

やっぱ漫画を描くのはしんどいけど楽しいなとしみじみ思った一年なので、来年も担当とともに面白い漫画を描けるように頑張りたいと思います!

みなさん今年はお世話になりました!
来年もよろしくお願いします!!

【追記】
今年ファンレターくださった皆さんには
年賀状送ってあります!
明日届くと思うのでお楽しみに✨✨✨
(10日ほど経っても届かない場合はまた連絡いただけるとありがたいです)

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