傘、長持ちしてますか? 【傘の寿命の話】
こんにちは、アンベル株式会社の辻野です。
傘業界に32年携わってきて、数えきれないほどの傘を見てきました。
お客様から
「良い傘を長く使いたい」
「高い傘を買えば、長持ちしますよね?」
という声をいただくことも多くあります。
実はどんなに高級な傘でも、私の経験上「3年以上使い続けるのは難しいのでは?」というのが答えです。
「え、そんな…!」と驚かれた方もいるかもしれません。
傘は、雨風から私たちを守ってくれる頼もしい存在ですが、日々過酷な環境にさらされています。
そのため、どうしても経年劣化は避けられません。
具体的に、どのような劣化が起こるのか、詳しくご説明しましょう。
傘の寿命を縮める原因
1. 生地撥水の劣化
傘生地表面には撥水加工が施されていますが、これは永久的なものではありません。一般のお客様が劣化に気づきやすい部分だと思います。
使用や紫外線などの影響、また生地に触れることで、徐々に撥水力は落ちていきます。
撥水性が低下すると、水が生地に染み込みやすくなり、傘を閉じた後も濡れた状態が続きます。
結果として、服や荷物が濡れてしまったり、乾きにくくなってカビが生えたりする原因にもなります。
2. フレームの劣化
傘の骨組みであるフレームは、一見問題なくても、劣化は進んでいます。
開閉や風圧によって常に負担がかかっています。
そのため、3年程度でガタつきや歪みが生じることがあります。
フレームの一部が破損した場合、部品交換で対応できることもありますが、リベット(傘の骨組みを繋ぐ金属製の鋲)の劣化や、樹脂パーツ、金属パーツの腐食など、修理が難しいケースも多いです。
3. 生地張り替えの難しさ
「生地だけを交換すれば、もっと長く使えるのでは?」
そう思われる方もいるかもしれません。
しかし、生地の張り替えは、想像以上に困難です。
傘の形状はメーカーやブランド、モデルによって様々です。
そのため、修理のために専用の裁断型を作成するとなると、多大な費用と時間がかかってしまいます。
多くのメーカーでは、同じ傘をずっと作り続けているわけではないため、古いモデルの修理に対応するのは難しいのが現状です。
快適に使える期間は?
これらの劣化を考えると、傘を快適に使える期間は、3年程度が目安と言えるでしょう。
もちろん、丁寧に扱えば、3年以上問題なく使える場合もあります。
しかし、撥水力の低下やフレームのガタつきなど、使いにくさを感じる部分が出てくる可能性が高いです。
傘を長持ちさせるために
「じゃあ、どうすればいいの?」
そう思われた方に、傘を少しでも長持ちさせるためのポイントをご紹介します。
使用後はしっかり乾かす
濡れたまま放置しない
直射日光を避けて保管する
定期的に撥水スプレーをかける
靴でも日によって使い分けるのと同じイメージで、状況によって雨傘、日傘、折りたたみ傘、長傘を上手に使い分けるとよいと思います
これらのことに気を付けるだけでも、傘の寿命は大きく変わります。
最後に
傘は消耗品ではありますが、愛着を持って長く使いたいものです。
今回お伝えした内容を参考に、適切なメンテナンスを行い、快適な傘ライフを送っていただければ幸いです。
免責事項
この記事の内容は、一般的な傘の寿命に関する情報提供を目的としたものであり、特定の製品の保証を約束するものではありません。 個々の製品の寿命は、使用状況や保管方法、製品の品質などによって異なります。
辻野義宏|アンベル株式会社 代表取締役
32年間、傘業界に携わってきた経験を活かし、高品質な傘の開発・製造に取り組んでいます。「使い捨てから、常備へ」をスローガンに掲げ、日々精進しております。