傘の輸入推移、2011年から2023年までの中国・カンボジアの比較まとめ
傘の輸入数量と金額を国別でまとめてみたので、共有します。
同業者さん、調査会社さんにとっては有料級の情報です。
データの前提
財務省貿易統計(https://www.customs.go.jp/toukei/info/index.htm)のデータを抽出・加工して作成
HSコード「その他 660110000」は当ページの集計には含めておらず、660199000、660191000の2種を表示しています
数字は全て約として捉えてください
データソースは貼っておきます
金額に関しては、為替に影響される部分が大きいので、当記事においては数量をベースに執筆致します
あくまでも個人的興味によるものであり、データに間違いがあっても責任は持ちません
2013年からカンボジアで傘の生産が開始され10年が経ち、現在は安定期に入ったと言える状況です。
一方で中国は2012年までは数量シェア約100%という絶対王者でした。
が、2013年から徐々に生産数を落としており、10年前と比較すると約48%減っており、2023年の数量シェアは約75%となっています。
傘の輸入数 全体傾向
過去13年をざっと見ていくと減少傾向であり、直近3年平均は8000万本を割っている。(2015年が1億3千万本)
コロナの影響があったものの、2016年から減少傾向に転じている。
長傘と折りたたみ傘の輸入数傾向
長傘は減少が著しく、2015年と2023年を比較して約46%減。
折りたたみ傘は割と安定しており、過去13年は2千万超で上下している。
また長傘が減少したことで、折りたたみ傘の割合が高まっており、傘全体に対して折りたたみ傘比率は28%になっている。
中国VSカンボジア
カンボジア比率が高まっており、2012年までゼロだったものが、直近4年は25%のシェアを占めるようになった。
長傘だけに絞った場合は32%のシェアになる。
折りたたみ傘も直近4年平均で11%程度のシェアがあり、今後増えるものと思われます。
輸入数の全体傾向については、アンベル社のHPにて専用ページがありますので、よろしければ、そちらも参考にしてください。
今回なぜこのようなデータを抽出したかというと、傘市場の成長可能性についてと使い捨て傘は減っているのか?という疑問を自分なりに頭を整理しようと思い、まずはファクトチェックとして、輸入数を調べました。
ある程度推測通りではありました。
傘市場の成長可能性
思いとしては、成長してほしいと考えていますが、現実はパイの奪い合いなのではないか?という結論です。
2023年は輸入数自体は減ったものの、為替影響が大きく単価が上がっており、その分数量が落ちた様子で、輸入金額全体はこの十数年概ね300億円前後で推移しており、これが倍に跳ね上がることはちょっと考えにくい。
市場規模が大きくなる希望的要素としては、日傘市場が大きくなり、年齢性別に関係なく誰しもが日傘を持つようになり、またシーンや用途によって使い分けるようになれば、可能性があると感じます。
雨用途の傘だけでは、市場の成長性は厳しいと感じる。
使い捨て傘は減っているのか?
これはあくまでもデータから類推するしかないが、減っている傾向だと私は考えています。
折りたたみ傘の輸入数は減っていないが、長傘は顕著に減っている。
ビニール傘はほとんど長傘なので、過去10年を遡れば半減していると考えてよいと思います。
またビニール傘でも、実際は使い捨てしておらず、壊れるまで大事に使うという人が増えていると感じます。ビニール傘メーカーさんに聞いた話としては、
そもそも品質が向上している
FRPを使うようになり、簡単には壊れなくなった(スチール製骨は折れやすい)
というのが要因のようです。
参考まで
2023年の輸入数は約8,000万本なのに1億2000~3000本と書いてある。
2023年の長傘の輸入数は約5,680万本なのに、8,000万本のビニール傘と書いてある。
エビデンスはなんだろう・・・?
まとめ
2013年からカンボジアで傘生産が始まり、中国のシェアは減少傾向。全体的に傘の輸入数は減少しており、特に長傘が著しく減少。折りたたみ傘は安定している。カンボジア産の割合が増加中。市場規模拡大の可能性は低く、使い捨て傘は減少傾向にあるが、品質向上で長く使われるようになったと考えられる。
※アンベル社は使い捨て傘を生産しておりません