教員の離職率と精神疾患による休職者の割合は民間に比べて高いのか
離職率
こんな記事を見ると、「教職はブラックだ」というふうに思われるかもしれません。確かに悪化しているのは事実です。
しかし、全国的に見れば、(少し前のデータですが)新任教員の離職率は1.2%だそうです。
では、民間企業ではどうでしょうか。
新卒の1年以内の離職率をチェック!辞める理由や離職防止対策も解説 (edenred.jp)
によると、2020年3月に卒業し新卒で入社した就職者の離職率は、
高校卒で15.1%
大学卒で10.6%
となっています。よって、教員の方が圧倒的に低いのです。
精神疾患による休職者の割合
これは2022年のデータになります。数だけ見ると、大変だ、ということになりますが、割合はどうでしょうか。
「全教育職員数の0.71%」とあります。では民間企業はどうでしょうか。厚生労働省の令和4年度労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要
r04-46-50_kekka-gaiyo01.pdf (mhlw.go.jp)
によると、過去1年間にメンタルヘルス不調で1カ月以上休業した労働者のいた事業所割合は10.6%、労働者の割合は全体で0.6%、従業員1,000人以上の事業所では1.0%でした。この数値を見ると、教職も民間企業も大差がないことになります。
言いたいこと
教員も民間企業に勤める人も、離職率や精神疾患による休職者の割合は、ここ数年は年々悪化の一途をたどっていますが、割合を見れば、離職率は教員の方が圧倒的に低く、精神疾患は大差がないのです。そうした点に触れていない報道が多いことに問題があります。「だから教員はブラックだ」ということだけを強調してほしくありません。また、そうした報道に惑わされて、教職志望者が教員になることをあきらめることがあってはなりません。
教員が犯罪を犯すと大々的にマスコミにたたかれ、「だから教員はダメなんだ」という風潮が助長される嫌いがありますが、実際、教員の犯罪率は極めて低いと言われています。これと同じような構図になっている気がしてなりません。
確かに教員の世界には改善すべきことが多くあるとは思いますが、もっと教職の素晴らしさややりがいなど、プラスの側面を報じるマスコミが増えてほしいと強く願います。