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【福岡・博多】2泊3日ひとり旅 ①東京〜福岡編
「ノーカット旅行日記」シリーズ第2弾、今回の舞台は福岡・博多である。
昨年夏に広島・尾道編と題し、全8回にわたって自分のたどった道のりを一から書き出すという試みを初めて行ったのだが、我ながらとんでもないことを始めてしまったなと少し反省したものだ。好きな物事に対して貪欲な私が単なる記憶のトレースで満足するはずもなく、当時抱いた感覚に近い言葉や表現を模索し続けた結果、半ば修行のようなハードな執筆期間となった。 "わーんもう書けないよ〜~!"と何度も音を上げそうになったものの、最終的には平均約7,000字×全8回を書き終えているわけで、さらに第2弾を始めようとしているわけで、更にさらにシリーズ化まで豪語している自分がいるわけで。
こいつ、ライフワークにするつもりだな……??
私なりの言葉で記憶をなぞる時間は楽しく、それを読んで楽しんでくれる人がいるのも嬉しい日々だ。ひとり旅なんだから思い出も独り占めすればいいじゃないか、きっとそういう意見もあるだろう。それでも、この感動を自分の中だけに留めておくのが今はもったいないと感じてしまうから、それぐらい自分の"書き残す"力を信じられるようになってきたから、今日も私はコツコツと、白紙のノートに筆を走らせている。
福岡ひとり旅のきっかけ
今回の福岡・博多旅のメインイベントは実を言うとだいぶ前から決まっていた。1月25日(土)と1月26日(日)の2日間、みずほPayPayドーム福岡で開催される『FUKUOKA MUSIC FES. 2025』である。
福フェスについては後々書くとして、個人的注目はDAY2のLIVE ACTだった。キタニタツヤ・レキシ・中島健人・【Alexandros】・Creepy Nuts……なんて私得な嬉しいラインナップ!この5組が集結することが分かった時点で私の九州初上陸はほぼ確定したのも同然。その後、無事にチケットが手元に"ご用意"されたのを確認し、意気揚々と2泊3日の旅行プランを練り始めた。
日本有数の大都市圏にある福岡県だが、これまで私の人生においてはびっくりするほど関わりがなく、福岡に関する知識もびっくりするほど乏しかった。博多以外の地名を即答できないばかりか、自信を持って言えたのは博多ラーメンが豚骨系だということと通りもんという銘菓があるということぐらい。(大学の友人が帰省帰りのお土産にくれた記憶)
……というわけで、福岡のガイドブックを買って基本データを学ぶところから始まり、移動のしやすさを意識しつつ予定を組んでいった今回の福岡・博多旅。特に九州は初めて訪れる地ということもあって交通機関の乗り継ぎに不安があったので、降りる駅や乗り換える線のホーム番号から出るべき改札口まで、下調べは入念におこなった。
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毎度のことながらExcelで旅程を事細かに打ち込んでいったわけだが、この前ニュース番組のインタビューでケンティーこと中島健人が、全く同じようなことをNYひとり旅の際にやったと話していてとても親近感がわいた。私とケンティーの共通点ってそんなもんかい。でも嬉しい、喜ぶべきだこれは。
今回はどんな旅になるだろう。
どんな景色、どんな人に出会うだろう。
そんなワクワクもさることながら、それらを通して自分がどのような感情にされてしまうんだろうというザワザワも混在している。良い胸騒ぎだ。
2025年冬はじめての福岡・博多ひとり旅。
それではノーカット版でどうぞ。
DAY1 太宰府を歩く
〇出発 -朝(あさ)と明日(あす)-
午前1時半。怒涛のパッキングを終え、あとは無事朝を迎えるだけ。寝坊を恐れてオールを決め込んでいた私だったが、2日前に脱水症状で倒れかけたことをじんわり思い出して首をぶんぶん振った。いやいやいや、旅先で倒れたりなんかしたら元も子もないでしょうが!正気を取り戻した私は結局、仮眠と称して堂々と、それは堂々と寝た。
次目が覚めたのはなんと出発予定時刻のちょうど1時間前。あーら天才!これは勝ちですありがとうございます。
午前6時。外は思いのほか寒く、空もまだ夜と見間違うほどの深い紺色をしていた。時々、暗い空の下を歩いていると今が夜なのか朝なのか分からなくなることがあるが……今は朝、なんだよね?ほんっっの少しだけおとぎ話みたいなタイムリープを期待しながら時計を確認する。うん、思ったとおり1月25日の朝だね。
こういう時、朝と明日ってそういやイコールじゃないんだったなと思い出す。青天の霹靂ではないけれど、「言われてみれば」界ではわりと上位の事実だなと思った。私がオールを決め込んだあの時点でもう明日は来ていたというわけか。らしい出迎えもせずに悪かったねと、心の中でそっと謝っておく。
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駅前の交差点で一人、信号待ちの時間。遠くにぴかっと灯っているのは我が最寄り駅、金曜夜という宴を終えた街しては比較的健全な人間の気配が漂っている。横断歩道で繋がれた対岸の島ではサラリーマンが2人、仕事に向かうために先を急いでいる様子だった。
目の前の横断歩道を見つめる、少し目がチカチカしてきた。横断されない"ただの"横断歩道ってよくよく見るとちょっと怖いな。道路に縞模様が描かれているだけの場所なのに、私はいつからこれを"橋"だと認識するようになったんだろう。ちょっと不思議な気分。
あのサラリーマンとか度々すれ違う大型トラックの運転手さんとか、あとはまあ私のようなさすらい人たちが、今この午前6時という時間を夜の続きと思って生きているのか、朝の始まりと思って生きているのかふと気になった。無論、私は朝を始めようとしている人間なわけだが……
そんなことをぼーっと考えていたら、起きてくださいと言わんばかりに駅の発着ベルが前方から聞こえてきた。おお、もうとっくにあそこでは朝が始まっている。部室に一番乗りだと思ってドアを開けてみたらもう誰か先に来て朝練してたみたいな、そんな気持ちになった。負けとかじゃないけれど、ちょっと心は燃えるあの感じ。
〇成田空港 -ららら言えなかったね-
さて、電車を乗り継いで空港第2ビル駅に到着。今回はJetstarの飛行機を利用するので、ここから少し離れた第3ターミナルへと向かうわけだが、何気に初めての利用なので少し緊張している。……とりあえずひたすら「Terminal 3」の文字を追っていけばたどり着けるらしいので、信じてついていってみよう!一大決心をしたみたいな書きぶりだけど、私はただ空港内を移動しようとしているだけだよ。
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成田空港の第3ターミナルまでは徒歩だと10分弱。その道のりを賑やかにお供してくれるのが歴代のポケモンたちだ。通称"ポケモンロード"と呼ばれているこの道、どうやらターミナルの入口までポケモンのアートボードがずーーーっと続いているらしく、見るとピカチュウwithポケモン御三家とその進化形がシリーズ順に描かれているようだった。
私がギリギリ分かったのはツタージャの世代(言い方)まで、その後はピカチュウ以外全く分からなかった。ここまでくるともはや"思い出せず悔しい"とかもないのが悔しい。だって思い出せるものが何もないんだもの。
置いてかないでポケモン!老いてかないで自分!
ダブルで寂しくなるなどした。This is時代の流れ。
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徒歩だとまあまあかかったな、第3ターミナルに到着である。オンラインチェックインを既に済ませていたので、預け入れ荷物のタグを手に入れるために自動チェックイン機へと直行した。
ここら辺の搭乗関係の手続きをね、私も大人だからさ、スマートに済ませたかったんだ本当は。でも二次元コードを読み取ってくれなかったんだ機械が。3回トライしても全く歯が立たなかったので、結局名前を手入力してどうにか事なきを得た。(得てる?)
出てきたタグには「FUK」の文字、福岡空港はFUK表記なのね。空港を利用し慣れているわけじゃないから、こういう空港名表記をなかなか覚えられないんだよなあ……これも何か略す時の基準とかあるんですかね。そして裏を見るとタグの付け方に関する説明文がかなり丁寧に書き込まれていた。
あー、あの、こういう風に事細かに説明されると逆に不安になるこの気持ちが分かるという方はいるだろうか。優しさだとは思う、知っているのだが、
「こんなに説明しているんだから間違えないでね?間違えないよね?」
という無言の圧にも感じてしまうのである。そういう仲間がもしいるのなら、その強ばる手同士でぜひ握手をしよう。当時の私は一人だったからなかなか困ったけれど、隣にいたサラリーマンの手元を見つつ真似て取り付けたらどうにかお咎めなく荷物を預けることができた。助かった……!!
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〇第3ターミナルフードコート -並ばんよなぁ普通-
荷物を預け終え、時刻は午前8時15分。保安検査と搭乗ゲートへの移動を加味してもあと30分はある。お腹に何か入れておきたかったのでフードコートに行ってみることにした。
第3ターミナルのフードコートは思ったより広くて充実しており、私は悩んだ挙句、香ばしいソースの香りに誘われて「ぼてぢゅう屋台」を選んだ。朝はあんなにうどん食べるぞ!って決め込んでいたのに、まったく優柔不断だよな〜。
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初日は福岡での食べ歩きを予定していたので、朝ごはんはたこ焼(6個)に抑えておいた。てかそっか、これ朝ごはんだったか。わたし朝に鉄板焼き屋さんをセレクトしてるんだ、書きながら今更思い出して驚いている。鉄板焼き屋さんしかりたこ焼き屋さんしかり、こんな時間に行くものではないし一人で行くものでもないし、そもそも朝の食卓に並ばないし並べないものね。どおりで慣れないことをしている感触があったわけだ〜……
私の目の前には30代くらいのお兄さんが一人。そして耳と目に飛び込んでくる注文内容に私は驚愕した。え、鉄板焼1枚とたこ焼(6個)にマヨ増し増しオーダーで、え、ジョッキに入ったコカ・コーラもですか?ほんでお盆ひとつに載せられていくから一人前だよなこれ。
おいおいすごいな胃の強さが。まだ朝の8時よ?
しかしあれだな、自分や家族以外の人間がこうして食事をとおして最高の朝を始める様子って、そういえば普段見る機会がないものだから気分が良い。良いもの見たって感じだ。
私も彼に続いて熱々のたこ焼と共に着席。
いやーーこれが食べて驚いた。朝に食べるたこ焼きってこんなに美味しいの?塩分で若干血管を痛めつけている感覚はあったものの、その罪悪感込みでかなり刺激的な最初の一口だった。マヨネーズもコクがあってめちゃくちゃ美味しいしさ。美味しい鉄板焼き屋さんってマヨネーズからもう美味しいんだな……はあ……
なんだかんだ味わって食べていったら30分なんてあっという間にすぎそうだ。そうだな、離陸1時間前を目安に保安検査場に行こうか。もぐもぐ。
〇空の旅 -アンビリーバボーを夜に観たせいです。-
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朝ごはん後の保安検査は無事通過。冬の保安検査はコートなど脱ぐべきものが多いうえに、私のような持ち物が多い民にとってはなかなか忙しい時間だ。機内に持ち込もうと思っていた水のペットボトルだけ科学研究所みたいな液体検査装置にかけられたが、ものの数秒で確認は終わった。ほっ。ちょっと緊張したわ。
成田空港第3ターミナルの国内線搭乗ゲートはいわゆるサテライトと呼ばれる飛び地にあるらしく、保安検査場のある3階から一度エスカレーターで4階に上がり、連絡通路を渡って今度はエスカレーターで降りていくとようやくたどり着ける。
Jetstarは手荷物のサイズチェックが厳しくて、搭乗ゲートに着くやいなや手荷物チェックの招集がかかり、"この四角に収めてください"という枠のついた秤に荷物を載せる審査を受けた。OKの場合はオレンジのJetstarロゴリボンを荷物に括ってもらい、チェックは完了とのこと。中型のトートバッグだったのではみ出さないだろうとは思っていたし、結果私は大丈夫だったけれど、これなかなか緊張感のある審査だな……!
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さあ、福岡に向けていよいよ出発だ。ここまで書いてきてまだ飛び立ってもいないという。今から、今から機体に乗り込むからね。
土曜日の午前ということで機内は満席、私の隣ではおじさまが座って早々に読書を始めた。え、落ち着くの早っ。前方列にはワイワイ喋っている学生3人組もいるし早々に寝ている子どももいるし、そして私のようにそれらをぼうっと観察しているお姉さんもいる……改めて思うけれど、本当に色んな人が乗り合わせているんだなあ。
今回は行きも帰りも窓側席。飛行機のピンと伸びた翼がかっこよくて空にも映えるから、私はその眺めを楽しみたくて普段から高確率で窓側の席を選ぶことが多い。
窓の外を眺めていると、時々怖くなることがある。この翼を構成するパネルがぺりべりべりと風で急に剥がれるのを目の当たりにしてしまったらどうしよう、とかね。たぶん小学生の頃に見たアンビリーバボーのせいだと思う。飛行機が飛行中にコッペパンみたいに真っ二つになったという嘘みたいなアクシデントが昔あったらしい。
韓国でチェジュ航空の旅客機事故が起きて1ヶ月も経っていなかった頃で、少しナーバスにはなっていた気はする。救命胴衣と酸素マスクの説明を行うCAさんの姿をぐいっと首を伸ばして見ていた私。ちゃんと聞いてて良かったと思う日が来たら、いやそういうアクシデント自体そもそも全く起きてほしくはないけれど、もしもの時に動ける大人ではありたいなと思う。
1時間28分の空の旅。
さあ、無事着いてくれよな。
ゴオオオオオオオオオオオ
オオオおおおおおお今日はいつもに増して上昇の勢いがすごいな。雨上がりの見事な曇天から早々に抜け出すためのことらしい。地上だと、天気が曇っている時ってそれ以上の対処のしようがないけれど、空の上となると違うのか。
曇りは変えられない現実じゃないということね。
かっこいいじゃない。
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雲の渦の中を飛ぶこと数分。窓辺に突然光が数本差し込んだので、何だ?と思って次瞬きした時にはもう、青が澄んでいた。さっきまでの雲は目下、もふもふの絨毯のように白く、やわらかくそこにいる。どこだここは。雲の国?
機長さんのアナウンスによると上空10,000m付近を飛んでいるとのこと。陸も海も全く見えない、空だけを楽しむフライトは久々だった。現実と切り離された違う世界を浮遊しているような感覚。そして青空にJetstarのオレンジ色が映えること映えること。頬杖をつき、目をキラキラさせながら外の世界に夢中になっていたら、遠くの彼方にもう一機同じ旅客機が飛んでいるのを見つけた。どれくらい離れた場所を飛んでいるのか遠近感はまるで分からなかったが、ラジコンかと思うほどに可愛く、ウェス・アンダーソン作品に出てきそうな彩度でもあった。
こくこくと、福フェスの予習プレイリストをかけながら眠る私を乗せて、飛行機は静かに着陸体制に入ったらしい。そんな気づかいもむなしく、気圧変化による耳の痛みで残念ながら私はそれにすぐ気づいてしまった。
イヤホン(という名の耳栓)をしているのに全く効果はなく、唾を飲み込んでも痛みが増すばかり。窓に頭を傾げても轟音が骨伝道で私の顔面を揺らすのみで気は休まらない。
うげ〜〜頼む早く着いてくれ〜〜……
〇福岡空港 -やんちゃモード-
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どうにか痛みを乗り越え、無事福岡に上陸。降り立ってからしばらくはずっと耳のポコポコと闘っていた、あのぎゅるり〜となるやつね、慣れないよね。
空の旅の代償がこれっぽっちなのはむしろ幸せなことなのだと言い聞かせ、自席をあとにした。とにかく無事着いて良かったと胸を撫で下ろす。
さあ、本番はここからだぞ。ようやくここから「福岡・博多旅」に突入していく。前回よりも観光に当てる時間が限られているため、時間的制約はなかなかタイト。楽しみきれるかは自分の計画性と遂行力次第である。でもヒリヒリも味わってみたいというやんちゃモードも健在で、その振り幅が許されるから私はひとり旅が好きなのだ。
果たして今日のモードはどちらになるか。
太宰府編をお楽しみに。
つづく