『前向きロケット団！』に学ぶ

はい！反省会はじめーっ！
ざっと振り返って見ましょ
今日の戦いを
あそこですりゃよかったニャ

　これはアニメ『ポケットモンスター』で、過去にエンディングテーマとして使われた曲『前向きロケット団！』の一節である。この部分は、ロケット団という悪役が今日もボコボコにされて、アジトで反省会をするという内容となっている。
　私も若いながらに数年前の、下手すれば十年以上前の「あそこでああすりゃよかったニャ」を反省することがある。理不尽に責め立てられた小学校六年生のあのとき、反論材料は揃っていたのに何故それを示して声を上げなかったのだろう。部活に熱中していた中二のあのとき、誰よりも基礎ができていたのに実践力が伴っていなかった後輩の力を引き出す方法なんて沢山あっただろうに。考えだしたら夜が明けてしまう。
　もちろん大学の部活も例外ではない。部の悪習を改革したい気持ちが先走って良い伝統との見分けもつかなかった一、二年生のとき。とりあえず新歓
を勢いでブッ飛ばしたのまではよかったものの、入れてからのことを考えておらず部員の大半を手放してしまった二年生のとき。勝ちたい気持ちや部の存続やあれこれ考えすぎて空回りしまくった結果勝手に自爆した三年生のとき。まだまだ沢山あるが、それも考えだしたら来年度が始まってもいないのにが終わってしまう。
　さて、最初に引用した曲の歌詞にはまだ続きがある。直後の歌詞がこれだ。

はい！反省会おわりーっ！
くよくよタイムなんて5秒でじゅうぶん
そんなことより明日のためのごはんです！（ヤッホー！）

　ロケット団にとっては反省会よりごはんなのだ。「ごはんです！」と丁寧に「！」までつけている。いやお前らもっと深く反省せえやとツッコんでしまうのは先週やめることにした。私は何をしようがしまいが何かしら後悔する人間であるとわかったからだ。第一志望の大学を受験してちゃんと合格したのに、センター倫理本番で失敗したことを未だに悔んでいるくらいの人間だ。成功しようが失敗しようが何しようがどうせ達成感と後悔が肩を組んでくる。達成感の野郎は控えめなくせに、後悔の野郎は饒舌に語りかけてくる。

　でも達成感の野郎もたまには面白いことを話してくれた。達成感の野郎が言った。「今後悔していることも当時にしてみればあれが自己ベストだったんでしょ？今の自分がああすれば良かったって言っているってことはその当時の自己ベストを上回っているってことだよね。それって世間でいうところの成長ってやつじゃない？」おい達成感お前そういうことはもっとはよ言えや。報・連・相ってよく言うやないか。あ、今回は当てはまらない？失礼しました。後悔して「あそこでああすりゃよかったニャ」と言えるということは、当時の自己ベストをちゃんと更新できているということ。成長しているということ。あまりにも成長とか書くと胡散臭くなるのでこれ以上書かないようにするが、後悔ばかりしていた私にとっては悪くない視点であった。

　もっと早くこういう視点を持っていればなと一瞬後悔しかけた。危ない危ない。「あそこでああすりゃよかったニャ」から更に自己ベストを叩き出しているのだ。さて、くよくよタイムも終わったことなので、来年度の抱負でも書いて締めようと思う。来年度の抱負は、【オチのある文章を書けるよう頑張る】。