あすなろの手紙~俳句を添えて~ 鶫 24
これは、俳句を通じて知り合ったnote俳句界の妹弟、alohaさんと鮎太さんと共に紡ぐ、俳句を添えた公開往復書簡である。
aloha様、鮎太様
信じられないことに九月ももう終わり。今年も残り約三箇月となりました。大切に過ごしたいものです。
トーストの話、思いがけず盛り上がりましたね。ありがとうございました。今回は鮎太さんのご質問が深いので前置きは短めに、本題に入りたいと思います。
鮎太さんのご質問は「詩情の育て方」。
まず、私は「詩情」というのは育てるものではなく、日々の生活の中で育つものだと考えています。つまり、自分が生活の中で感じているもの、考えていることのがすべて詩情の糧になる。とはいえ、これって、詩情だけではなくて創作(何かを表現すること)すべてに当てはまると思います。
だから私は、ただぼんやり生きないこと、常識をそのまま信じないこと、忙しさに流されないこと、を心掛けています。
例えばカラスを見た時、一般的な法則に従って単純にカラス=黒い鳥、と見るのか、カラスの羽根の色は決して黒一色ではないということ気がつけるか、ということです。もちろん色以外にも、どんな特色を見つけられるか、というのが肝。「カラス」という言葉をそのまま「符号」として扱わず、自分の目で観察します。
そして、その自分の感じたことを表現するためには、ひとりよがりにならないことが最大の命題。インプットは感受性豊かに、アウトプットは冷静に。
語彙力は必要ですが、私は普段から気になる言葉やフレーズに出合うと、それをそのまま記憶するのではなく、何故気になったかを分析します。どちらかというとその言葉そのものよりも、そのエッセンスが、次に自分が出力するときの源になる。それは実は言葉だけではなく絵でも同じで、どうして自分はこれが好きなのか、惹かれるのかというのはよく分析していると思います。
つまり、観察と分析という、言葉だけ聞くと「詩情」とかけ離れているようなものが、私にとっては「詩情」の源。それが蓄積されて、化学反応を起こして、美味しいお酒のように作品として外に出てくるのだと思います。
昨年の今頃詠んだ句です。
雁の群が鳴きながら飛び立つ映像を見ていた時に、ふと考えたことでした。どんな大きな群だって、最初は一羽の羽音や声があるはず。
小さな気づきが在りつつ説明的ではなく、全体の映像や物語としても美しく広がりがある、という句を目指しています。
ロハさんからのご質問は「秋と聞いて真っ先に思い浮かべるもの」。
ごめんなさい。真っ先にと言いつつ二つあります。それは「モンブラン」と「美術展」。
モンブランはお店によっては年中ありますし、特にモンブランが好きなわけでもないのですが、大学生の時モンブランが有名な喫茶店(そこのモンブランは本当に美味しかった)でアルバイトをしていたので、秋になると何となく食べたくなります。
美術展は、特に日本は秋になると比較的大きな美術展をやるので、秋が近づくと真っ先に各美術館の特別展を確認するのが習慣になっていました。今住んでいる所は美術関係は充実していないので、それは残念です。
では、最後に私からの質問を。
好きな(使いやすい)筆記用具は何ですか。
鉛筆、ボールペン、万年筆などなど、普段メモする時から誰かに手紙を書く時まで、筆記用具についてのあれこれをお聞きしたいです。
素敵な美術館が恋しい長女
鶫より