あすなろの手紙~俳句を添えて~ 鶫 35
これは、俳句を通じて知り合ったnote俳句界の妹弟、alohaさんと鮎太さんと共に紡ぐ、俳句を添えた公開往復書簡である。
aloha様、鮎太様
あっという間に、夏至どころか半夏生も過ぎてしまいました。でも、この焦燥感すらも夏の醍醐味だと言ったら驚かれるでしょうか。私にとって、こんな風に過ぎ去ってしまう切なさを感じるのは夏という季節だけです。
今回の鮎太さんからのご質問は「家族や友人から指摘された癖」。つまりは自分では認識していなかった……ということですよね。実はあまり無いのですが、最近仕事で指摘されてなるほど、と思ったことを紹介します。
私は物事をひとつの視点から断定するのを嫌うらしく、「〜と考えられる」「〜と言える」のような文章を書きがちだそうです。今いる経営企画部という組織は、会社の指標を示さなければならないところですから「もっと断定しなさい。推測で会社運営をしてると取られる」と言われました。でも、いくら会社だって、こちらの考察や出した結論が100%ってありえなくない? と思ってしまったわけですが、そういう「お作法」だそうですので、それ以降は経営企画部の仕事として出す文章は気をつけるようにしています。
ロハさんからのご質問は「これまで見たスポーツの大会で、いちばん感動した、今も心に残っているシーン」。
何度か言及したことがあるように思いますが、私、プロ⚪︎⚪︎よりも、学生やアマチュアのスポーツの方が好きなのです。高校野球とか高校サッカーとか。プロやオリンピックレベルになるとそれはもちろん素晴らしいなあとは思うのですが、なんでしょう、まだ発展途上故の必死さとか、期限つきの活動とか、純粋にスポーツを楽しんでる感じとか、そういう部分含めて感じる物語があります。
そんな私にとって今も心に残っているシーンは実は以前も記事にしています(『甲子園で一句』の記事)。
私の通っていた高校は進学校でもあったけれどスポーツも盛んで、特に野球部とサッカー部は強豪の多い神奈川県の中でも毎年いいところまで上り詰めるような学校でした(いや、今もだけど)。
高校生の時に実際にその場で見た、野球部の、横浜高校との神奈川県予選準決勝。および、サッカー部の、市立船橋との冬の全国高等学校サッカー選手権大会決勝戦。共に敗れたのだけれど、選手たちの一挙手一投足を息を詰めるように見つめて、悔しかったけれど、相手方の選手たちにも拍手を送りたくなるような、素晴らしい試合でした。
どちらの試合も、自校の選手たちは試合後、応援席の近くまでやってきて整列し「応援ありがとうございました」と大声で一礼。大きな拍手が湧き上がりました。スポーツっていいなあと思わせてくれた思い出です。
以前書いた記事の中で詠んだ一句。今見ると随分と拙いですが、思い出に免じていいことにしてしまいます。
さて、では最後に私からの質問を。
「夏にぴったりだと思う本を教えてください」
実際に夏になると読み返したくなる本でも良いし、今回考えてみて、夏っぽいなでも、ど真ん中夏の物語でも良し。
夏の真ん中で毎日精一杯夏を吸い込んでいる長女
鶫より