新しい翼がほしい-春ピリカに寄せて-
ピリカグランプリを楽しみにしていた皆様はじめまして。橘鶫と申します。
昨年度の夏ピリカで「すまスパ賞」をいただいたのと、「ピリカ文庫」に作品を寄せているので、もしかしたら名前だけ見かけたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
普段は主に鳥の絵を描き、そこから生まれた物語を長い長い物語としてnoteで綴っています。つまり普段からショートショートにご縁があるわけではないのですが、この度光栄なことに春ピリカグランプリの審査員としてお誘いいただきました。
「審査の心構えを」とのことですが、前述のとおり私自身は普段それ程ショートショートを書いていませんので、どちらかといえば「橘鶫はどんな作品を選ぶのだろう」という興味を持ってお誘いいただいたのではないかと考えています。
というわけで、私が普段から創作をする上で、あるいは他の方の創作を享受する上で大切にしていることをお話ししたいと思います。
これは長編・短編・小説・エッセイ・俳句問わず、更には絵や音楽におけるまで、すべての創作に共通しています。
ひとことでいうと「自らの翼で飛んでいるか」ということです。
同じ物を見ても、同じ体験をしても、同じ世界に生きていても、世界の切り取り方は人それぞれです。自分が生み出すものが、いつかどこかで見た・聞いた・読んだ何かになっていないか、ということは常に意識しています。世界の切り取り方、あるいは表現方法に自分らしい要素が入っているか。自分の創りたい世界になっているか。
同様に私は、他の方の作品を拝見する際には自分に無い翼が欲しい。
ああこんな飛び方もできるのかという感動が欲しい。
勿論自分が見たり聞いたり感じたりしたこと、自分の頭にあることを上手く他人に伝えるにはある程度のスキルが必要です。その最低限のレベルを越えたら、あとは巧さよりも世界観だと考えています。
私は普段ファンタジー色の強い話を書いていますが、そういう世界観のみならず、先にも書いた「世界の切り取り方」の話です。作品を拝見した時に、新たな視点を知り、こんな風に世界を見られるんだという驚きがある作品に惹かれます。
魅力的な登場人物(動物でも植物でも擬人化された物でも良い)も欠かすことができない要素のひとつ。
私にとって魅力的な作品には必ず、触れられそうな、会いに行きたくなるような魅力的な登場人物が居る。それが、いかにも自分の生きているこの世界と地続きの何処かに存在しているような、そんな錯覚に陥る作品に出逢うと心が躍ります。
「少し的を外れた鳥好き」というのが私のプロフィールですが、的を外れた=一風変わった、と読んでいただいて構わないと思います。どうか一風変わった鳥好きが魅き込まれる世界に出逢えますように。皆様の翼を楽しみにしています。
あ。鳥が出てくる作品には多少評価が辛いかもしれませんが悪しからず。
(noteのカウンターで1200文字ちょうど)
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