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優先順位がちがう

🇯🇵☞🇫🇷
時差8時間
移動時間24時間
時空を超えてノエルの近づく
山と湖の街に
いつものようにたどり着く
後にして来た北鎌倉との気温差もなく
スキー場にも雪は殆どなく
山から降りてくる風も
まだ冬本番とはいえない
ここもまた温暖化
季節迷子になりそう
それでも太陽は正確に
4時を過ぎると早く早くと
夜に向かう

時差ボケに身を任せ
眠気も食欲も世の中の常から遠く
身体の声を聞いて過ごす
よくわからない時間に半分寝ぼけて
トイレに起きると
冷えきった便座に
!!
脳が一瞬で覚醒する
そうだった帰ってきたんだ
ここはフランスだった
ウォシュレットもないし
便座も冷たい

そう、この便座の関門を通過しない限り
フランスに帰ってきたとはいえない
何事にも快適さを求め
目覚ましい進化を遂げる
日本のその精神からは程遠く
いかに今を維持するかに重点がおかれる国
家も家具も家電も服も車も
不自由なく使えるなら
買い換えるという選択肢は皆無
義母は
まだ使えるのに捨てるだなんて
心臓にわるい、、とかいい出す
少しの故障や破損なら
どんなフランス人でも直すし
自分でできなければ、修理に出す
『部品がないので修理できません』
などという答えは修理屋の名に恥じる
余程のことがない限り
どんなに時間がかかっても
何事もなかったかのように
修理されて戻ってくる
日本ではとっくに廃盤になった
日本製の物たちの部品が
何故かフランスでは普通に存在する
(修理屋はいよいよ壊れて修理不可能であれば
使える部品を取り外し常に備えている)
だから恐ろしく古い日本の
家電もカメラも時計も車もミシンも、、、、
ゴミになることもなく
問題なく現役で活躍している

古い物の方が威張っている
新しい物のほうが肩身が狭い国なのだ。

だから便座なんて一生
壊れはしないだろうから
いつまでたってもそのままだ
世の中に
暖かい便座があるのを小耳に
挟んだことはあっても
そこに電気を使うなんて、、
その費用で車が買えるかも、、、
海外旅行に行く方がいい、、、
と、話し合いの余地はない

最初のフランス語の先生は70代の
パリのマダムを絵にかいたような
素敵な女性だった
いつもシックな着こなしの
そのほとんどが
祖母から譲り受けたもの、と自慢する
新品のように手入れされ
たまに買う新しい何かと
上手く組み合わされ
まだまだ現役の服や小物たち
そして当然のように
彼女の子供達に譲られるのは
簡単に見て取れる

パリの街並みも常にその古さを保つ為
どこかの建物が常に修復中
私が暮らしたアパートも
無理矢理つけたエレベーターは
二人しか乗れないし、すぐ止まる
(階段の方が早い、、、)
設備も古い、電気が落ちる
ドアが恐ろしく重い、鍵が壊れる、
雨漏り、水漏れ、、、、、、、
覚えるべきフランス語は
間違いなく
« 助けて!エレベーターが止まった!! »

でも
不自由だから修理しましょう
とは言っても
建て替えましょう!という発想はない
だから古いものが溶けるように街に馴染み
新しい物に変な違和感がある
でもいつしか
新しい物も古い物の中に
じわじわと溶けて
上手い具合に馴染んでいく
ルーブル美術館のように
、、、
それに慣れると
古い物好きの私には
とても心地がいい
まだまだ使えるものを捨てて
進化したものに買い換えるより
少し贅沢な食材を並び
美味しいテーブルを囲み時間を楽しむ

ゴミを出さず、リサイクル、地球を汚さない
限りある資源について考える
直して使う、間に合わせる、、、
個人主義と言われるフランス人の
地球規模で物事を考える思考は
未来を担う子供の教育にも
優先的に取り入れられ
その意識レベルは非常に高い

何事も一長一短
温故知新
進化も素晴らしいけれど
その両面を知り
物の命を大切にすること
丹精込めて作られた物の本当の寿命
についてあらためて考える
私が心地がいい感覚が磨かれてゆく

そうは言っても
日本に長く暮らしていた私
この便座の関門については
頭でわかってはいても身体が。。。。
特に冬は!!

















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