好きな人がいること。
1人でいると、思考が良くない方向へいく。
思い出の曲なんか偶然流れてきちゃったりしたらね。
歌がうまい人だった。
好きな曲は全然違った。
一緒に聴いた曲は思い出せないけど、デートの帰りの電車内で聴いた曲は鮮明に覚えている。
歌がうまい人だった。
見た目も、とあるアーティストに似ていた。
それで私は一目惚れだったんだ。
歌い方は全然似ていないけど。
歌がうまい人だった。
全く共通点がないのだけれど、異様に目があうと思った。
きっと私がすごく見ているからだろうと思った。
好意はバレバレだった。
他の人にとられたくなくて。
でもあまりにも遠い存在だったから、言えなかった。
玉砕が分かっていたから、言えなかった。
彼は、私の好意にガンガン気づいていたから、きっといつか近いうちに気持ちを伝えてくるだろうと思っていたらしい。
少しずつ週末に会うようになった。2人で。
アルバイトで先生をしていたから、勉強を教えてもらうという名目で。
そう言えばきっと会ってもらえると思ったから。
でも2人で会っていても、4回目は勉強じゃなくデートっぽい場所に誘われても、私は全然自信がなくて、何も言えなかった。
それどころか、
彼の大切な時間を削って会ってもらう事が申し訳なくて、私は決心した。
会ってくれてありがとう、と。
今まで時間を作ってくれてありがとう、と。
そして、もう会いたいとか言いません、と言おうと。
彼は私が何かよくない決心をしている事に気付き、自分から言わないと離れていくと思ったらしい。
その頃の私は、恋をしているから自分磨きも頑張っていて
実は彼の周囲で私を狙っている人が数人いたことを、後から彼に聞いた。
きっと、1番に告白した人と、この子は付き合ってしまうと焦ったらしい。
甘い思い出。
私の人生で1番、ロマンチックな告白で。
まるでドラマみたいだった。
甘い、甘い思い出。
そんなに大好きな人のことも、嫌いになれるんだね。
大好きだった人からの好意が重く感じる日が来るんだね。
あぁ、この世に永遠の愛なんてものは無いんだなって
そんなふうにまで思った。
別れたのが秋だったから、最近異様に思い出すのかもしれない。
頑張っていれば誰かがみていてくれるから。
彼は私にそう言った。
でも頑張るのに疲れたとき、現れたのが旦那さんだった。
のめり込まないように。
好きになりすぎないように。
すごく、すごくセーブしてるのに、ガンガン好意を伝えてくる。
居ないと生きていけないなんて依存しないように。
シッカリ仕事と両立させて。
自分の時間もシッカリ持って。
すごく、すごくドライに付き合ってるのに、ガンガン好意をぶつけてくる。
私のこと、どんな人間か全然知らないくせに、なんて気持ちにもなった。
でも心療内科へ通院していると知ったら、一緒に通ってくれて、先生にどういう風に言葉をかければいいかメモまでとってくれた。
泣きたくなった。
もう2度と、自分を理解しようとしてくれる人には会えないと思ってたから。
面倒で、重くて、気を抜いたら依存してしまう私を
助けたいと思ってくれる人がまた現れるなんて思ってなかったから。
8ヶ月前からトレーニングや食事管理を始めたのも
子供達が学校や幼稚園へ行くようになって2人で過ごす時間が再びできたときに
ちゃんと、昔ほどは無理でも
ちゃんと、綺麗な自分で居たかったから。