No.30 蛇の道は蛇【俄か流 音楽のすゝめ】
俄か流 音楽のすヽめ
沖縄在住のアラサーサラリーマンが自分の人生を振り返って、心に残った音楽を楽曲単位で紹介していこうと思います。
楽器も出来なければ、楽譜も読めませんし、音楽理論もちんぷんかんぷんです。しかも、特定のジャンルに精通しているわけでもなく、広く、そして浅く色々な音楽を聴くいわゆる「俄か音楽ファン」です。
ただ、昔から音楽を聴くことが好きで、私の日常は音楽と共にあると思います。
思い入れがある楽曲を紹介して、誰かと共鳴できれば嬉しいです。
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ガラガラヘビは北米大陸から南米大陸にかけて分布している毒蛇の一種である。
毒蛇の中では比較的に大型で、警戒心が強く、危険を感じるとしっぽの先端を震わせて「ジャー」と音を鳴らし相手を威嚇する。
この特徴的なしっぽが赤ちゃんをあやすガラガラのように見えることから、和名ではガラガラヘビと名づけられた。
昼間は岩や木陰に潜み、夜になると小型哺乳類や爬虫類、蝶類を捕食するために活動をする。
存在こそは知っていたが、どちらかと言えば僕が生まれ育った沖縄においてはハブが一般的な毒蛇で、日本に生息しないこの生き物を見たことも、ましてや考えた事も無かった。
もっと言えば、沖縄にいるからといってハブが日常にいるわけでもない。
沖縄の中でもとりわけ人口が多く、自然が身近にないような地域で過ごしてきたお陰で、ハブに悩まされるような事はなかった。
今の時代では中々お目にかかれないが、ハブVSマングースの対決ショーくらいでしかハブと接点が無いような、ほとんど観光客と同じ状態である。
そんな僕にはガラガラヘビにまつわるエピソードがある。
母からの話によると、テレビ番組『とんねるずのみなさんのおかげです』で流れていた『ガラガラヘビがやってくる』を聞いて私は産まれて初めて立ち上がった。
ーガラガラヘビがやってくる。お腹を空かせてやってくる。
あいつらはグルメじゃない、なんでもペロリ。
歌詞は決して可愛い内容ではない。
当時1歳の僕には到底理解できるものでもなく、ただ軽快なリズムで楽しそうに歌って踊っている『とんねるず』を見て子どもながらに楽しくなったのだろう。
流れるや否や、テレビ台につかまって立ち上がり、一緒に踊っていた(ように見える)のだという。
ーガラガラヘビがやってくる。やさしい言葉で近づいて
気づかないそのうちに誰でもコン!コン!コン!。
もちろんその当時の記憶はなく、今になってこの曲を聴いたところで懐かしさは微塵も無い。
ただ、今こうして音楽が好きで、また楽しそうな事が好きな自分の性格を知った上でこのエピソードを母から聞き、感覚的なもので言えば昔から何も変わっていない事に凄く安心感を覚えた。
そんな自分のルーツを感じさせてくれる曲が、『とんねるず』の『ガラガラヘビがやってくる』なのだ。
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余談だがどうやらこの曲は、かの有名なプロデューサー「秋元康」が作詞を手がけているらしい。
一見ポップな歌詞には、実は裏の設定があり、「ガラガラヘビ」というのは俗に言う「ヤリチン」を比喩しているそうだ。
ーあの娘は可愛いヘビイチゴ、甘くて酸っぱいぞ。
大きくお口を開けたまま「こっちへおいで!」。
その意味を理解し、改めて歌詞を見てみると、もはやそれにしか聴こえない。
なんともユーモアに富んだ、『とんねるず』らしさ満載の楽曲だと言える。
初めてこの曲を聴いて立ち上がった頃から、もう30年程の月日を重ねたが、僕はこの曲のような女性に恐れられる存在となっているのだろうか。
1歳の僕には、知る由もない。