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眠る前クイズ

なぞなぞが好きだ。クイズも。

なぞなぞは、

「パンはパンでも食べられないパンはなーあに?」
「フライパン!」「鉄板!」

みたいに、答えがダジャレになっていたり、

「逆さにするとアイロンがけをしなくちゃいけない鳥ってなーあに?」
「わし!(逆さから読むとしわになるから)」

みたいな、言葉遊びの要素があったりするものなのかなあと個人的には思っている。

対してクイズは、

「問題です! 日本の中で、いちばん面積が大きい県はどこでしょう!?」
「北海道!」
(ブーーーッ!!)
「残念!! いちばん面積が大きいはどこでしょう!?」
「……あっ、岩手県!!」
(ピンポンピンポーン!!)

みたいな、知識を試すやつが多い印象だ。あくまでも私見だけど。


子どもの頃から友達となぞなぞを出し合うのが好きで、なぞなぞが100問載っている手のひらサイズの本なんかも持っていた。
中学生や高校生のときは、学内試験の範囲内からクイズ形式で友達と問題を出題し合うのが楽しかった(クイズ番組はそれほど見ないのに)。

大人になった今でもクイズやなぞなぞは大好きで、よく夫に「なんか問題出して」とせがむことしきりだったが、あまりにもわたしが「次は?」「次は!?」とうるさかったらしく、いつともなく我々夫婦の間になぞなぞに関するルールが定められた。

①なぞなぞもしくはクイズは、就寝前に限ること(休日の昼寝前も含んでよい)
②なぞなぞもしくはクイズは、就寝前につき1問に限ること。

これを遵守すると、平日は1日に1問しか出題されないことになる。

寂しい限りだが、お互いの心の平和を守るためにあるルールなので、1日1問で我慢する代わりに、わたしは毎晩欠かさず夫に出題をせがんでいる。



**********

『眠る前クイズ』をやるようになって、まだ1年半くらいしか経っていないと思うのだが、2~3カ月を過ぎたあたりから夫がだんだんネタ切れになってきたらしく、また、なぞなぞをスマホで調べるのにも疲れてきたようで、だんだん出題内容が雑になっていった。

とうとう「私(夫)が今食べたいものはなんでしょう?」とか、「私(夫)が行きたいところはどこでしょう?」みたいに、自分クイズを出すようになった夫。

それくらいの出題内容だと、正直なところ、答えはだいたい察しがつく。

思うに、なぞなぞやクイズは「わかるようでわからない、でもちょっと考えたらできた!」という感覚を味わうのが妙味なのであって、あまりにも簡単すぎる問題だと、逆につまらなく感じてしまうのではないか。

そこでちょっと考えて、「どうせだったら、今日家を出てから仕事をしている間にあったこととか、子どもの頃のこととか、わたしの知らないあなたのことをクイズにして出してよ」と夫に言った。

「そんなんでいいの?」という感じでその提案は受け入れられ、ついでにわたしも、出題する側の苦労を知るために、毎晩1問ずつ夫に出題することにした。


で、これが意外とよかった(そして出題する側はめちゃくちゃ大変だった)。


仕事やなにかでお互い離れて生活している時間のことは、夕飯時の話題にあがることもあるが、子どもの頃の話は、何かきっかけがないとあまり話さない気がする。

そういう、普段わざわざ聞かないことが、クイズという形で出題されることによって、「この人こんな人だったのか!」という発見(よくも悪くも)ができたり、「この人は今日どんなことがあったんだろう?」「この人はどんな子どもだったんだろう?」とあらぬ想像をしては回答と称して発表して盛り上がったりできる。

そんなわけで、眠る前クイズは、毎晩10分にも満たない短さではあるけれど、思いもかけず実りの多い時間となった。
クイズの内容はとてもくだらないけど。くだらなければくだらないほど、楽しいということもわかってきた。

出題者:夫
・私が今日、出勤時に抱えたトラブルはなんでしょう?
(→「降りるべき駅を寝過ごしたこと」と答えて難なく正解)

・今日、リモートワーク中に私の仕事を妨げたものはなんでしょう?
(→「虫」「上の階の住人の足音」など回答したが、答えは「お隣の家に遊びに来ていた中学生くらいの男子が、あらんかぎりの声で叫ぶようにアニソンを歌っていたこと」だった)

・私が子どもの頃に苦手だったことはなんでしょう?
(→「走ること」「球技」などいろいろ回答したが、答えは「2リットルのペットボトルからコップにきれいにお茶を注ぐこと」だった)

・私が子どもの頃、よくしていた失敗はなんだったでしょう?
(→「遅刻」「寝坊」などいろいろ回答したが、答えは「買ってもらったばかりのお菓子や物を地面に落とすこと」だった)
出題者:わたし
・わたしが今日、勤務中に見舞われた個人的なトラブルはなんでしょう?
(→「虫」「採点ミス」などの回答があったが、答えは「履いていた靴のかかとが急にとれた」)

・わたしが子どもの頃、母方のひいおじいさんはわたしのことを何と呼んでいたでしょう?
(→「坊ちゃん」で夫正解。女児だったのに坊ちゃんと呼ばれていた)

・わたしが子どもの頃、家のトイレに関してしていた勘違いとはなんでしょう?
(「使い終わったトイレットペーパーの芯は何かに使うものだと思っていたとか?」等回答があったが、答えは「外出先のトイレみたいに、家のトイレにも掃除のおばさんが来て掃除をしてくれていると思っていた」。今思うとなんじゃそりゃ)


「今日こんなことがあってね」と始まる話を聞くのも大好きだけど、「今日何があったと思う?」と聞かれて妄想を膨らませるのも面白い。

これが、ただの知り合いだったらそんなに盛り上がらないかもしれないが、「この人のことを知りたい」と思っている相手だったら、とても楽しい。

わたしが今、夫との眠る前クイズを飽きもせず毎晩毎晩繰り返していることも、子どもの頃に友達となぞなぞを出し合うのがあんなに楽しかったことも、根っこにある「この人(といる時間)が好き」という気持ちが大きいと思う。


なぞなぞは楽しい。
なぞなぞを共に楽しめる人こそ、よき友よきパートナーになり得る。


と思ったものの、まどろっこしいことを考えるのが苦手で大味な答え方しかしない(「パンはパンでも食べられないパンは?」のような問題に、「腐ってんじゃない?」と答えるような)友人もいるので、やっぱりなぞなぞもクイズも人との親睦を深めはするものの、相性をはかる基準ではないなあと思い直す今日この頃でした。






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