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【TSUGIHO】 第4号-秘密-
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人間は秘密にされるのが嫌いである。
秘密にされているとそのことを知る由がないからだ。知る由がないのは未知という状態であり、未知は生命体にとって死へと直結するので、未知であることに恐怖を覚える。知っていれば何ともないことでも、その要因やメカニズムを知らないとどのくらい恐ろしいか一度考えてみて欲しい。
フグの毒、熊の強さ、ウイルスの危険性。
日食、月食、流れ星。
地震、雷、火事、オヤジ。
人間は秘密にするのが好きである。
秘密にされるのは嫌いなのに秘密にするのは好きなのはなぜか。それは情報を隠すことによって利益を独占したり他者を出し抜いていい目を見ようとか自分だけが生き残ろうという浅ましさがあるからだ。これらの言葉をどれくらい好きか、一度考えてみて欲しい。
秘密文書、秘密結社、秘密口座。
秘密情報、秘密会議、秘密基地。
秘密探偵JA、秘密戦隊ゴレンジャー、ひみつのアッコちゃん。
とはいえ、秘密を秘密にしておけないのも人間である。黙っていられない。誰かにしゃべりたい。わかってほしい。わかってほしい。わかってほしい。
自分にされて嫌なことは人にしてはいけない、と小さい頃に教わったはずなのに、秘密はこの世から無くならない。それこそが人間の弱さであり愛しさであり面白さなのである。
永遠に明かされず秘密のままであることは、TSUGIHOのコンセプトでもある「無かったことにしない」に反している。
いろんな人のいろんな秘密、知りたいですよね。読みたいですよね。知らなきゃ死んでしまいますもんね。あさましいですね。
フォトエッセイ:セキヤ(@sekiyanabemotsu)
インタビュー:たつま(@tatsumamustat)
エッセイ:ノカヤク(@kansoukyabetsu)
小説:chicagocoffeee(@abovethesea2)
前書き・後書き:OC-3(@oshiteoku)
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《静謐な雑記》
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高校1年生のとき、6月だったと思う。生まれて初めて告白された。体育祭の応援団の練習の帰り道だった。「セッキーのこと好きなんやけど、付き合ってくれへんかな?」とTさんに言われた。当時の僕は、まだ知り合って間もないTさんにどうしても興味が持てず、また、突然のことでどうしていいかもわからず、その場ですぐに断ってしまった。「もうちょっと考えて欲しかったなぁ」Tさんは悲しそうに言った。
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