キャッチコピーを提示しない@20世紀のポスター[図像と文字の風景]
東京都庭園美術館で開催中の「20世紀のポスター[図像と文字の風景] ービジュアルコミュニケーションは可能か?」展。
構成的ポスター
主な展示は、幾何学的な形象と文字のみでつくられた「構成的ポスター」です。
たとえば、音楽会のポスター。
幾何形態を利用して音楽のリズムや響きが表現されており、一切の具象がありません。
わたしはこの展覧会を通してスイス派というものを知り、その成り立ちがとても面白いと思いました。
スイス派とは
以下、「20世紀のポスター ギャラリートーク」での佐賀一郎先生のお話を少しまとめてみます。
<スイス派の特徴>
・ミニマリスティックな表現
・キャッチコピーが提示されていない
ポスターには、誰がみても同じに受け止められる客観的な情報だけ(音楽会の名前、開催場所、日時等)が掲載されています。
<客観的な情報だけを伝えるスタンスをとるようになった理由>
➡︎戦争を引き起こすようなコミュニケーションではなく、民主的なコミュニケーションを目指した
第二次世界大戦前・中、
・命令形のポスター
・××すべきだ、という答えが決まっている形のポスター
が数多くみられました。
異なる立場で異なる正義を振りかざすポスターは、国の利益に直結する答えを導き、それが高じて戦争が起きる ー 永世中立国であるスイスは、そういったポスターのデザインを脅威として、だれよりも客観的にみる立場にありました。
そこで、伝える情報に対する判断を受け手に委ねること、つまり、客観的な情報だけを伝えることで、情報の送り手と受け手が対等な立場になるようにしたのです。
本展覧会の魅力
・デザインの背景にある歴史を知ること自体が面白い
・色や形が一体何を表現しているのか考えるのが楽しい
・抽象的な物(音楽など)が、シンプルな図形によって表現可能であることに感動する
・図像と文字の配置がかっこいい
ギャラリートークをみてから展覧会に行くと、[図像と文字の風景]を存分に楽しむことができると思います...!