技術の発見で世界を更新する@ライゾマティクス_マルティプレックス展
『ライゾマティクス_マルティプレックス展』
Rhizomatiks(ライゾマティクス)は、プログラマー、エンジニア、デザイナーなどで構成された集団で、その研究・表現活動は多岐にわたります。
名前の由来となったrhizome(リゾーム)は、フランス語で「地下茎」を意味し、「上下関係ではなく横のつながりで広がっていく」チームを目指したそうです。
今回は、ライゾマティクスが探求している技術と表現の新しい可能性について、簡単にまとめたいと思います。
技術と表現の新しい可能性とは
ライゾマティクスは技術と表現の新しい可能性を探求しているのだそう。
それが一体どういうことなのか、『日曜美術館』(NHK Eテレ)で説明されていたことをまとめてみました。
+++++++
通常、
(1)表現・実現したいものがある [目的]
⬇︎
(2)新しい技術を開発していく [手段]
ライゾマティクスは、
(1)新しい技術・デバイスが世に発現 [手段]
⬇︎
(2)自分たちで技術・デバイスを改造してみたら面白いのでは?
それをアートにしたら面白いのでは? [目的]
と、逆なのだそう。
+++++++
ここで少し美術史を振り返ってみます。
かつて、チューブ入りの絵の具が発売され、絵の具が持ち運べるようになったことで、アトリエ内で制作していた画家たちの戸外制作が可能となり、今知られている印象派ができていきました。
明暗のコントラストをはっきり描く(キアロスクーロ)技法が主流のなか、明るいタッチだけを拾って描く印象派の絵が新しいリアルなのだと、人々はだんだん気づいていったのだそう。
ライゾマティクスにとって21世紀の技術は、新たな絵の具であり、それらを使用して、現実世界の認識・知覚のありようを更新しているのではないか、とのことでした。
まとめ
VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性)・Uncertainty (不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)を表す略語です。
VUCAな現代社会で、
ライゾマティクスは 見えないものを見ようと 目を凝らし続けてきました。(『日曜美術館』より)
主宰である真鍋大度さんは、ちょっと違う見方ができないかを探すために、普段から実践していることがあるそうです。
それは、赤信号の横断歩道で目を閉じて、信号が青になるのを感じ取ること。
技術と表現の新しい可能性の探求というのは、恐らくどの分野でも行えることなのだと思います。目の前にあるものへの見方を少し変えて、試行錯誤を重ねるなかで、視点の変化がまた生まれて、更に試行錯誤を繰り返していくうちに、新しいものが生まれ、暮らしや生活を更新していくことにつながるのだと感じました。
オラファー・エリアソン展に引き続き、視点を変えて世界を捉え直すことの重要性に改めて気づくことができました。
おまけ
ライゾマティクス自作の箱型ロボット「キューブ」が、ダンサーと一緒に幅28mのスペースを動き回る作品『multiplex』(Rhizomatiks × ELEVENPLAY)
5つのキューブにちゃんと振り付けがあり、ダンスの終わりが美しかったです。実際に動いているキューブを目の前で見てかなり感動してしまいました。た、ただの白い立方体なのに...!
以上です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?