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なぜ窓が好きなのか その1

『窓展ー窓をめぐるアートと建築の旅』のポスターをみて、絶対に行きたい!!となったとき、そういえば昔から窓が好きだったなあ、と改めて思ったものの......
どうして窓に惹かれ続けているのかについて、あまり深く考えずにずっと過ごしてきました。今回は、そんな窓について、脱線しつつ、書きたいと思います。

窓が好きだと気がついた

明確にいつから窓が好きだったのかは覚えていません。でも、窓が好きだな、と思った瞬間が何回かあったことは覚えています。まずはじめに、そのうちのひとつをお話ししたいと思います。

2011年に開催された『フレンチ・ウィンドウ展 デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線』にて、マチュー・メルシエ《無題》(2007) をみたとき、フランス窓の形がとても好きだと思いました。正方形がもともと好き、というのもあったと思います。

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両開きという構造もすてきですよね。

そして数年前、自分の作詞用のHPを作成する際、トップページを窓のデザインにすることにしました。友人にデザインを頼んだときのLINEをみてみると、「なんか窓みたいな感じにしたいんだよね」「フレンチウィンドウみたいな左右対称の」「窓ってすてきだなって思って、昔行ったフレンチウィンドウ展も好きだったし、マグリットのキャンバスに描かれた絵だと思ったら窓の外の景色だったみたいな絵も好きだし」と、なんともだらだらした文章で注文していました。そうして出来上がったのが下のサイト(Rarai's Kotobako)です。とても可愛らしい好みの窓をデザインしてくれました。

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 ちなみに、上記のキャンバスに描かれた云々というマグリットの絵は、《人間の条件》(1933)というものです。窓関連でいうと、《田舎の鍵》(1936)も好きです。割れた破片に景色が残っているなんてすてきですよね。大好きです。

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脱線しますが、マグリットの《アルンハイムの地所》(1962)の鳥にそっくりな山をアイスランドに行った時に見つけました!!バスの中で、窓から外をみていたら急にこの山を発見して、大興奮で走行中に撮ったのでちょっとボケていますが......
似てませんか......?

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あれ......並べてみるとそこまででもないかも......?笑

さて、ここからは少し、窓が改めて好きだと気がついた『窓展ー窓をめぐるアートと建築の旅』について書きたいと思います。

『窓展ー窓をめぐるアートと建築の旅』での再会

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窓展では、

絵画に描かれた窓、写真や映像作品に映された窓、建築とアートを結ぶ窓、窓の内側にいる個人と窓の外に広がる社会について考える窓など、窓とアートと建築をめぐるさまざまなテーマ                 (『窓展』図録より)

にまつわる作品が14章にわたって紹介されていました。その第2章『窓からながめる建築とアート』にて、窓と建築の年表というものがありました。古代から現在に至るまで、各時代の主な美術作品、建築作品、そして窓の技術について、国内・国外別に記載されています。窓の技術とは、たとえば、ガラス製造や、窓税の導入について等です。

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私がこの年表で注目したいのは、21世紀の国外美術欄のある一つの作品です。黒矢印で指し示したものです。
これをみた時、あれ......これなんか見覚えあるぞ......となったのです。

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パーク・ストリートの落書き......んん!?Bristol(ブリストル)!?あ!見てる見てる!!
そうなのです、実は私、かつてイギリスのブリストルという街、しかもこの落書きがある場所の近くに住んでいたことがあるのです。なんなら毎日みていたくらいです。その当時は、おそらくまだバンクシーは有名ではなくて、本当にただの落書きだと思っていました。

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実際の写真です。いやあ、びっくりしました。こんなことってあるんですね。

またちょっと脱線してしまいますが、この思いがけない再会から、バンクシーについて考えて過ごしていると、現在(2020年1月)放送中の「知らなくていいこと(日本テレビ)」というドラマで、柄本佑が演じている尾高(カメラマン)が、パリの街角でバンクシーの制作現場の撮影に成功、というシーンがあって、またバンクシーか!!と、ちょっと不思議な縁に興奮している次第です。生きていると、たまにこういう、何かと何かが繋がっていくようなことがあって、不思議だなあ、と思います。

さて、話を窓に戻します。そのイギリスにいたとき、名言集のような本をパラパラとみていたときがあります。いわゆる、結婚式で使えるスピーチ集、のようなものだったと思います。そこで、すごく気に入った一文がありました。当時、iPad miniの裏に刻印してもらったくらいです。

Best keep yourself clean and bright: You are the window through which you see the world.

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記事をかくにあたり、もう一度この名言?について調べてみると、ジョージ・バーナード・ショーという、アイルランドの文学者・教育家etc...の方の言葉だったということがわかりました。

自分という窓を通して世界をみる......自分自身が窓である、ということに惹かれたように思います。それまで、窓という物体自体が好きで、眺めたりするのが好きだったことに加え、その窓に、概念上、自分もなり得る、ということに気がついた瞬間でした。

さて、ここまで個人的な窓との関わりを書いてきましたが、ここからは、テレビ、アニメ、小説、歌詞などにおいて、印象に残っている窓を紹介していきたいと思います。

だいたい教室の窓際の席

これといってどのアニメ・ドラマ、ということもないのですが、教室の窓側の席の子は、ずっと窓の外を眺めているというイメージがあります。気持ちはわかります。やっぱり窓があると、訳もなく、窓の外を眺めてしまうんですよね。訳はないのですが、でもなんでなのでしょうか......気になります。そうして、完全に個人的な統計の結果ではありますが、だいたい主人公的な人たちが物語を展開するのがこの位置(赤丸)なのです。一度きちんと調査してみたいものです。

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『涼宮ハルヒの憂鬱』のキョン(とハルヒ)においては、2009年放送版の第一話「涼宮ハルヒの憂鬱Ⅰ」で、最初は教室の真ん中の方にいたにも関わらず、席替えをして、

窓際後方2番目というなかなかのポジションを獲得した

と、言っています。

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たしかに教室で過ごすとなると、すごくいい席なんですよね、実際。私も学生時代、一度だけ窓際後方1番目というなかなかのポジションをくじ引きで獲得した経験があります。

だいたい窓の本来の機能以外で使用

窓の機能とは本来、

採光や通風によって室内環境を調整し、眺望をもたらすもの
                  (『窓展』図録より)

です。しかし、

物語的な想像力において、人が出入りする穴(『窓展』図録より)

になるとあります。人が出入りする以外にも、物語内で窓は面白い使い方をされていると思うのです。ここでは2つ、現実的にありえそうな例をご紹介したいと思います。

まず、北川悦吏子さん脚本の『ロングバケーション(フジテレビ)』ですね。木村拓哉扮する瀬名と、山口智子扮する南が、3階のマンションの部屋の窓からスーパーボールを地面に向かって投げ落とし、跳ね返ってきたボールをキャッチする、という名シーンです。ちょっと試してみたくなりますよね。こんな風に、普通に日常にあるもの(窓、スーパーボール)を、少し違う使い方をするだけで、とても特別な出来事になる、というのがすごくすてきだな、と思います。こんな歌詞を書きたいものです。

上の例は、窓から物を投げて、返ってくるパターンでした。続いて紹介するのは、窓から物を投げて、相手に渡す、というパターンです。わざわざ届けに行くよりも、窓から投げ渡す方が100億倍くらい素敵に感じるのはなぜなのでしょうか。具体的には、アニメ『氷菓』の第14話「ワイルド・ファイア」です。

文化祭のイベント、校庭で催されている「お料理対決」に古典部の3人(える、里志、摩耶花)が参加します。限られた食材を一人ずつ順番に調理していくのですが、2番目に調理したえるがほとんど材料を使い切ってしまいます。摩耶花に順番が回ってきた時、残っている食材は、玉ねぎ1個、人参とネギの切れ端、エビの頭のみ......。大ピンチです。そんなとき、部室の窓から状況を把握した奉太郎が、「里志ぃー!」と、里志に窓の下まで来るよう叫び、小麦粉を投げ渡すのです。その小麦粉を使って、摩耶花は無事、かき揚げを作ることに成功します。

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この部室は、窓の前にちょっとしたスペースがあっていいですよね。窓の外を眺めるのに、非常に良い感じの構造になっているように思います。窓の外を眺めるだけのスペースって必要ですね。

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少し長くなってしまったので、今回はここまでにしようと思います。次回、窓が登場する歌詞や詩についてご紹介して、まとめをする予定です!



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