楽曲について

Dixie Chicken / written by Martin Kibbee & Lowell George
鬼才ローウェル・ジョージ率いるリトル・フィート、1973年発表の同名アルバムのタイトル・チューン。ドラッグをテーマにしたものや哲学的な歌詞が多いローウェルの楽曲の中でこのコミカルな歌詞は異彩を放っています。共同制作者でローウェルの旧友マーティン・キビーなる人物の影響か?アメリカ南部の怪しい魅力満載で、名実ともに彼らの代表曲として認知されています。

曲を聴く前にイメージしたいこと

東洋文化や日本の純邦楽にも造詣が深かったというローウェル・ジョージ。古典落語も習っていたのか?と思うぐらい秀逸なオチです。こういうストーリー性も英語の songwriting ならではのもの。
Dixieland=アメリカ南部とは単に地理的に南、ということではなく「南北戦争で南軍だった州」のこと。ですがこの曲では、その豊穣なる音楽文化にLAのバンドが憧れを抱く幻想のワンダーランド、という描かれ方をしていて、色彩が浮かんできそうなくらい見事な描写です……それではどうぞ!

歌詞と対訳

I've seen the bright lights of Memphis and the Commodore HOTEL
メンフィスの眩い街の光 豪奢なコモドア・ホテル
And underneath a street lamp, I met a southern BELLE
そんな通りの灯りの元で 出会った一人の南部美人
She took me to the river where she cast her SPELL
俺を川のほとりに連れて なにやら呪文を唱えた後
And in that southern moonlight, she sang this song so WELL
月明かりの元で 見事に歌ったのはこんな歌だった

[Chorus]
If you'll be my Dixie chicken I'll be your Tennessee LAMB
あなたがディキシー・チキンなら 私はテネシー・ラムってとこね
And we can walk together down in DIXIELAND
私たちお似合いよ 二人で行きましょう ディキシーランドへ
Down in Dixieland
繰り出しましょう ディキシーランドへ

Well, we made all the hotspots, my money flowed like WINE
二人で赤線地帯をハシゴして 金は湯水の如く消えた
Then the lowdown southern whiskey began to fog my MIND
おまけに南部の安酒は質が悪く 意識も記憶もぶっ飛ぶ有様
And I don't remember church bells or the money I put DOWN
教会の鐘と 小銭をチャリンと落とす音の 区別がつかない
On the white picket fence and boardwalk, On the house at the end of TOWN
遊歩道のつもりでフェンスの上を歩いていたり 最後の店で会計したかどうかも怪しい
But boy do I remember the strain of her REFRAIN
でもなぜか覚えているのは 彼女が口ずさむ一節と
And the nights we spent together and the way she called my NAME
共に過ごしたあの一夜 そして彼女がつけた俺の渾名

[Chorus]繰り返し
If you'll be my Dixie chicken I'll be your Tennessee LAMB
あなたがディキシー・チキンなら 私はテネシー・ラムってとこね
And we can walk together down in DIXIELAND
私たちお似合いよ 二人で行きましょう ディキシーランドへ
Down in Dixieland
繰り出しましょう ディキシーランドへ

Many years since she ran AWAY, Guess that guitar player sure could PLAY
彼女が姿を消して幾年月 あの時のギター弾きはまだどこかで弾いてるかな
She always liked to sing ALONG, She's always handy with a SONG
誰かに絡んで歌うのが好きな女だったけど その歌は実に見事だったなあ
But then one night in the lobby of the Commodore HOTEL
ところがある晩 例のコモドア・ホテルのロビーで
I chanced to meet a bartender who said he knew her WELL
たまたま出会ったバーテンダーが 彼女を良く知っていると言う
And as he handed me a drink he began to hum a SONG
俺に酒を出しながら そいつが鼻歌を歌い始めたら
And all the boys there, at the bar, began to sing ALONG
なんとそのバーにいた男性客全員が 同じ歌を歌い始めたじゃないか

[Chorus]繰り返し
If you'll be my Dixie chicken I'll be your Tennessee LAMB
あなたがディキシー・チキンなら 私はテネシー・ラムってとこね
And we can walk together down in DIXIELAND
私たちお似合いよ 二人で行きましょう ディキシーランドへ
Down in Dixieland
繰り出しましょう ディキシーランドへ

  • 「Dixie chicken」も「Tennessee lamb」も語感優先で大した意味は無いのではと思い、あえて訳しませんでした。「世界の北野/足立区のたけし」みたいな言葉遊びのようなもんかな……違うか。

  • on the house=お店のおごり(無償提供)。townも「町」に限定せず市内中心部とか繁華街といった意味合いがあるのでこのように意訳しました。とはいえ、全ての酔っぱらいの皆様に心当たりがあるのでは?

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