Livin’ on a Prayer 歌詞と対訳
楽曲について
Livin’ on a Prayer / written by Jon Bon Jovi, Richie Sambora, Desmond Child
ご存知アメリカの超大物ロックバンド、ボン・ジョヴィが1986年に発表したシングルで、アルバム「Slippery When Wet(邦題:ワイルド・イン・ザ・ストリーツ)」に収録された……と、解説するのが恥ずかしくなるくらい有名な、バンド最大のヒット曲です。
作者はジョン・ボン・ジョヴィと同バンドのギタリストであるリッチー・サンボラ(2人ともソングライターの殿堂 Songwriters Hall Of Fame の2009年殿堂入り)、そして共作者として、80年代エアロスミスの復活劇に寄与しキッスやリッキー・マーティンなど様々な大物アーティストとの楽曲を手掛けたソングライター/音楽プロデューサーのデズモンド・チャイルドがクレジットされています。
イントロのベースラインとトーキング・モジュレーターが印象的なボン・ジョヴィのオリジナルバージョンがとにかく強烈ですが、トーリ・エイモスによるピアノ弾き語りや、ポストモダン・ジュークボックスのジャズ・バージョンなど希少なカヴァーを聴くと、サウンドに左右されない楽曲そのものの良さに気付かされます。
曲を聴く前にイメージしたいこと
社会に翻弄され厳しい境遇に置かれたカップル、トミーとジーナ。挫けそうになっても、いつか幸せな日々が必ず訪れると信じてお互いを支え合い鼓舞する、という歌詞です。
翻訳のポイントは2つあって、まず1つ目はタイトルにもなっている「live on a prayer」をどう料理するか。超有名曲ということもありネット上に翻訳記事が溢れていますが、この部分、どれも「祈りながら生きている」とか少々ピンとこない訳ばかり。pray=祈るという行為自体が日本人には馴染みが無いからでしょうか。筆者はディオンヌ・ワーウィックのソウル・クラシック「I Say a Little Prayer(邦題:小さな願い)」等も参考にして、prayerを宗教的な祈りというより「逆境においても一縷の望みを信じること」と解釈して意訳しています。
2つ目は、あえてコーラス部分の和訳を、1番は女性口調・2番は男性口調にしていること。英語の字面は男女の区別が無く、歌詞だけ見るとてっきり男女どちらかの一方しか歌ってないように思いがちですが、トミーとジーナの物語をヴァースから紐解いて、1番はジーナの心境、2番はトミーの心境、と捉えると非常にしっくりきました。そう、実はこの曲はデュエット・ソングだったのです!!(筆者の見解。悪しからず)ロンリー・チャップリンを歌うが如くこの曲をカラオケで男女デュエットしてみてください。誰でも知ってるこの曲の印象がガラっと変わるかも……それではどうぞ!
歌詞と対訳
Tommy used to work on the DOCKS
トミーは 港で働いていたけど
Union's been on strike, he's down on his LUCK
運悪く 組合がストライキを始めたんだ
It's tough, So TOUGH
厳しいね 人生は実に厳しい
Gina works the diner all DAY
そしてジーナは 一日中レストランで働いては
Workin' for her man, she brings home her PAY
彼氏のために 給料の全てを家に入れる
For love, for LOVE, She says
愛のためなら と彼女は言う……
We've gotta hold on to what we've GOT
私たち 今の境遇を 手放しちゃいけないわ
It doesn't make a difference if we make it or NOT
うまくいくとか いかないとか 関係無いの
We've got each other and that's a LOT for love
愛のためなら お互いの存在があれば充分
We'll give it a SHOT
頑張るしかないの!
We're halfway THERE
ああ 私たちは まだ道の途中
Livin' on a PRAYER
何かを信じて 生きるしかないわ
Take my hand, we'll make it, I SWEAR
手を取り合って 私たち きっとうまくいく
Livin' on a PRAYER
そう信じて 生きるしかないのよ
Tommy's got his six-string in HOCK
その後トミーは ギターを質に入れた
Now he's holdin' in, when he used to make it TALK
諦めたんだ 以前は話すように演奏してたのに
So tough, it's tough
人生はつらい 実につらいね
Gina dreams of runnin' AWAY
ジーナは 逃げ出したいと思っては
When she cries in the night, Tommy whispers
夜な夜な泣いてる そんな時トミーがささやくんだ
Baby, it's okay, SOMEDAY
ベイビー、大丈夫だ いつかきっと……
We've gotta hold on to what we've GOT
俺たち 今得ているものを 手放しちゃいけない
It doesn't make a difference if we make it or NOT
うまくやろうが やるまいが どっちでもいいんだ
We've got each other and that's a LOT for love
愛のためなら お互いの存在があれば充分
We'll give it a SHOT
踏ん張るしかないね!
We're halfway THERE
ああ 俺たちは まだ道半ば
Livin' on a PRAYER
何かを信じて 生きるしかないんだ
Take my hand, we'll make it, I SWEAR
手を取り合おう 俺たち きっとうまくいくさ
Livin' on a PRAYER
そう信じて 生きるしかないんだ
We gotta hold on, ready or NOT
耐えよう 覚悟があろうとなかろうと
You live for the fight when that's all that you've GOT
戦わないといけない時があるのが人生だ
We're halfway THERE
ああ 私たちは まだ道の途中
Livin' on a PRAYER
何かを信じて 生きるしかないわ
Take my hand, we'll make it, I SWEAR
手を取り合って 私たち きっとうまくいく
Livin' on a PRAYER
そう信じて 生きるしかないのよ
We're halfway THERE
ああ 俺たちは まだ道半ば
Livin' on a PRAYER
何かを信じて 生きるしかないんだ
Take my hand, we'll make it, I SWEAR
手を取り合おう 俺たち きっとうまくいくさ
Livin' on a PRAYER
そう信じて 生きるしかないんだ
この曲の邦題は「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」ですが、prayerの発音はどっちかと言うと「プレア」に近い。コーラスの部分はゼア・プレア・スウェアと韻を踏んでいるわけです。
この男女デュエット曲説は我ながら新しい解釈だなあと思っていたら、この記事を書いた後、80年代の日本のテレビにボン・ジョヴィが出演してこの曲を演奏した際、日本語字幕で男女それぞれの目線で翻訳し分けているYouTube動画をどこかで目にしました(スタジオライブの中継だったと思います。保存し忘れた)。ネットも無い時代に、当時の製作者はしっかり本質を捉えていたんだなあと思います。