Ramblin’ Man 歌詞と対訳
楽曲について
Ramblin’ Man / written by Dickey Betts
中心人物であるデュアン・オールマンをオートバイ事故で失ったオールマン・ブラザーズ・バンド。1973年、新たなバンドリーダーとなったディッキー・ベッツによって書かれたこの曲の大ヒットがバンドの窮地を救い、バンドをさらなるスターダムに押し上げました。
それまでブルース色が強かったバンドサウンドに新鮮なカントリーテイストをもたらした、カントリー・ロックを代表する曲……というのが一般的な評価ですが「カントリーのメッカ=ナッシュビルを離れ繁華街ひしめくニューオリンズに向かう風来坊」という内容は保守的なカントリーとは相容れず、そう考えるとこの曲特有の軽快なリズムはカントリーというよりむしろケイジャンをバンドスタイルで再現している、と筆者は解釈しています。
曲を聴く前にイメージしたいこと
フーテンの寅さんみたいに、ブラブラしていて、だけど女にモテる遊び人のダメ男。そんな人物像がアメリカでも創作のモチーフになってるのは面白いですね。短い歌詞なのでいろんな想像が膨らみますが、筆者の場合は前後の文脈を踏まえて以下のような物語を考えました。
ジョージアでは名うてのギャンブラーだった男。だが銃遊びで死んでしまい、遺された身重の妻は生活を立て直そうとナッシュビルへ向かう。その道中、バスの後部座席で生まれたのがこの物語の主人公。
主人公はナッシュビルで慎ましい生活を試みるも、やはり血は争えず、繁華街と赤線地帯と賭博場がひしめくニューオリンズへ自然といざなわれる。その道中を描けば、男はつらいよみたいな映画が何本でも撮れそうですね……それではどうぞ!
歌詞と対訳
[Chorus]
Lord, I was born a ramblin' MAN
そうさ 俺は生まれながらの風来坊
Tryin' to make a livin' and doin' the best I CAN
まともになるために やるだけやってみたけど
And when it's time for leavin', I hope you'll UNDERSTAND
もう潮時だ お別れだ わかってくれよな
That I was born a ramblin' MAN
俺が生まれながらの 風来坊ってことを
My father was a gambler down in Georgia
親父は ジョージアじゃ名うてのギャンブラーだった
And he wound up on the wrong end of a GUN
ロシアンルーレットに失敗して 死んじまったけどね
And I was born in the backseat of a Greyhound bus
その後グレイハウンドの後部座席で 生み落とされたのが俺
Rollin' down Highway 41
ちょうどルート41を 走っている時だったって
[Chorus] 繰り返し
Lord, I was born a ramblin' MAN
そうさ 俺は生まれながらの風来坊
Tryin' to make a livin' and doin' the best I CAN
まともになるために やるだけやってみたけど
And when it's time for leavin', I hope you'll UNDERSTAND
もう潮時だ お別れだ わかってくれよな
That I was born a ramblin' MAN
俺が生まれながらの 風来坊ってことを
I'm on my way to New Orleans this mornin'
朝には ニューオリンズに向かうとするよ
Leaving out of Nashville, TENNESSEE
テネシー州ナッシュビルとは おさらばだ
They're always having a good time down on the bayou, Lord
バイユー地帯はいつも オタノシミがいっぱい
And Delta women think the world of ME
さあデルタ女たちが きっと俺をお待ちかねだ
[Chorus] 繰り返し
Lord, I was born a ramblin' MAN
そうさ 俺は生まれながらの風来坊
Tryin' to make a livin' and doin' the best I CAN
まともになるために やるだけやってみたけど
And when it's time for leavin', I hope you'll UNDERSTAND
もう潮時だ お別れだ わかってくれよな
That I was born a ramblin' MAN
俺が生まれながらの 風来坊ってことを
Lord, I was born a ramblin' man……
そうさ 俺は生まれながらの風来坊……
風来坊(ふうらいぼう)は、どこからともなく現れてはどこへともなく去っていく人のこと。もはや居酒屋チェーン店等でしかこの日本語を使う機会が無いですが、ramblin’ man=放浪する男にニュアンスが近いと思い、採用しました。
he wound up on the wrong end of a gun =「誤った方の銃の先端により彼は終わった」という直訳を元に、スリルを好むギャンブラーがやりそうなことを踏まえて意訳しました。
グレイハウンドとは全米中をネットワークする長距離路線バス。比較的安価なので車を持てない低所得者層が利用するのでしょう。筆者も過去に周遊パスを使ってアメリカ中を旅したことがあります。
ハイウェイ41はミシガンからフロリダに通じアメリカを縦断する道路。経由地にはバンド発祥の地ジョージア州メイコンがあります。つまりこの主人公=バンドそのもの、どこかの街で小さくまとまらず、パーティーがあれば何処でも行って演奏するぜ!と宣言している曲、と解釈することもできます。
ニューオリンズは酒と売春でお金が溶けていくような怪しさ満点の大人のワンダーランド。それに対しナッシュビルは「バイブルベルトのバックル」と言われるほど信仰心が厚く保守的な街。そこで慎ましく生活しようとしたものの、結局親譲りの性分で街を飛び出す。この点がまさに「生まれながら」の所以ですね。
bayouとはミシシッピデルタ特有の湿地帯のことですが、down the bayouで「性的にだらしない」とか「パーティー好き」といった意味もあるようで、ちょっとダブルミーニングっぽくなってますね。
deltaは言うまでも無く三角州のことですが、これはこれでエロい意味もあるスラングでして、興味ある人は勝手にググってみてください(笑)。また頭文字のDを大文字にすることで、具体的にミシシッピデルタであることを示すようです。
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