Time After Time 歌詞と対訳
楽曲について
Time After Time / written by Cyndi Lauper, Rob Hyman
アメリカ・ニューヨーク出身の女性歌手、シンディ・ローパーがバンド仲間だったロブ・ハイマンと共作し、自身のデビューアルバム「She's So Unusual」(1983年)に収録した楽曲。翌1984年1月にシングルカットされ、ビルボードで1位を獲得しました。彼女はこの時点で30歳を過ぎており少々遅咲きですが、デビューからほどなくして、この曲をきっかけに'80年代を代表する大スターとなったのは言わずもがな。
タイトルは、彼女がたまたまテレビ雑誌で目にしたSF映画「タイム・アフター・タイム」(1979年)のタイトルから引用したとのことですが、彼女にとって初のヒット曲というだけに留まらず、マイルス・デイヴィスのインストゥルメンタルヴァージョンを筆頭に、洋の東西を問わず世界中のアーティストに数多くカヴァーされる名曲です。
曲を聴く前にイメージしたいこと
終わった恋を忘れたいのに、何度も思い出してしまう……。当時のマネージャーで恋人でもあった男性との心のすれ違いを描写した内容、ということが本人のインタビュー等で語られているようです。
タイトルの time after time は「何度も何度も」という意味ですが、この曲における time は回数と時間、両方の意味を思い起こさせます。原曲を聴くと、ラブ・バラードにしては少々速いテンポで単調なシェイカー音が刻まれますが、これがすなわち the clock tick(時計が秒針を刻む音)と直接シンクロしているのが、歌詞を紐解くとよくわかります。
文法的に成り立たない部分は散文詩的な印象を受けますが、マイルスがインストでカヴァーしたくなるほどの完成度の高いメロディを優先させた結果でしょうか。でもそれがかえって聴き手の想像力を刺激しているような気がします。
「LOVE」という言葉が一切出てこないラブソング、というのも実にユニーク!非の打ち所の無い80年代ポップスの金字塔から更に昇華した、まさにスタンダードと言える一曲ですね……それではどうぞ!
歌詞と対訳
Lyin' in my bed, I hear the clock tick and think of YOU
ベッドで 秒針が刻む音を聞きながら あなたを想う
Caught up in circles, confusion is nothing NEW
1分また1分 この戸惑いは今に始まったことじゃない
Flashback, warm nights almost left behind
あの夜の 温もりと記憶は 置いてきたつもりだった
Suitcase of memories, Time after
スーツケースに詰め込んだ思い出と共に
Sometimes you picture me, I'm walkin' too far AHEAD
あなたの目に映る私は 先へ先へと行き急いでる
You're callin' to me, I can't hear what you've SAID
私を呼んでも 聞く耳を持たないものだから
Then you say, "Go slow", I fall BEHIND
あなたは「ゆっくり歩けよ!」と言って 私は追い着かれる
The second hand UNWINDS
そしてまた秒針が巻き戻るの
If you're lost, you can look and you will find me
見失っても 見ようとすると また見つけてしまう
Time after time
何度でも 何度でも
If you fall, I will catch you, I'll be waiting
踏み外したら 受け止めて また受け入れてしまう
Time after time
何度でも 何度でも
If you're lost, you can look and you will find me
見失っても 見ようとすると また見つけてしまう
Time after time
何度でも 何度でも
If you fall, I will catch you, I will be waiting
踏み外したら 受け止めて また受け入れてしまう
Time after time
何度でも 何度でも
After my picture fades and darkness has turned to GRAY
私の残像が色褪せて 暗闇がグレーに変わる朝に
Watchin' through windows, you're wondering if I'm OKAY
あなたは窓越しに私を思うの 大丈夫かなって
Secrets stolen from deep inside
心の奥底から 盗み出された秘密の答え
The drum beats out of time
ズレている私たちの鼓動
If you're lost, you can look and you will find me
見失っても 見ようとすると また見つけてしまう
Time after time
何度でも 何度でも
If you fall, I will catch you, I'll be waiting
踏み外したら 受け止めて また受け入れてしまう
Time after time
何度でも 何度でも
You say, "Go slow," I fall BEHIND
あなたは「ゆっくり歩けよ!」と言って 私は追い着かれる
The second hand UNWINDS
そしてまた秒針が巻き戻るの
If you're lost, you can look and you will find me
見失っても 見ようとすると また見つけてしまう
Time after time
何度でも 何度でも
If you fall, I will catch you, I'll be waiting
踏み外したら 受け止めて また受け入れてしまう
Time after time
何度でも 何度でも
Time after time, Time after time……
何度でも 何度でも……
caught up in circles……本来は「堂々巡り」という意味の慣用句ですが、秒針が一周、また一周と思い悩むままに時は過ぎ行く、ということを表現したくて「1分また1分」としました。
The second hand unwinds……散文詩的な印象を受けるこの曲のなかでも、この箇所は特にその意味についてネット上のフォーラムで論争が繰り広げられていました。が、彼女の最近のドキュメンタリー映画で、この曲のプロデューサーであるリック・チャートフの発言が元になっているということが判明しています(出典はamass.jpの記事)。
多くの洋楽和訳記事を見ると、コーラスの部分はポジティブな翻訳にしているものが多いのですが、筆者は公式ミュージックビデオで受けた印象を元に、ちょっとネガティブな翻訳にしてみました。I'll be waiting は直訳すると「待っている」ですが、wait に「期待する」という意味合いもあるのを踏まえて少々意訳しています。
コーラスの部分についてもう1つ。この箇所は主人公(女性)側の心境を描写しているとともに、相手の男性側の心境も綴っている気がしたので、あえて男女どちらでも通じる言葉遣いにしました(実際、原曲ではこのパートで共作者のロブ・ハイマンがハーモニーを入れています)。ボン・ジョヴィの「Livin’ on a Prayer」しかり、同じフレーズで男女それぞれの心境を綴る、というのは英語の songwriting ならではの技法ですね。