Mr. Bojangles 歌詞と対訳
楽曲について
Mr. Bojangles / written by Jerry Jeff Walker
作者のジェリー・ジェフ・ウォーカーが1968年に自ら歌ったバージョンが初出ですが、ニッティー・グリッティ・ダート・バンド、ボブ・ディラン、サミー・デイビス・ジュニア、ニーナ・シモン……etc. とにかくカヴァーバージョンが数え切れない!ギネスもんではなかろうか。こういうのをスタンダードというんですね。
日本人アーティストのカヴァーも多数ですが、原曲を踏襲しつつも独自解釈の詞をつけて歌っているものもあり、言葉の壁を超えて世界中の人々に愛される名曲です。
曲を聴く前にイメージしたいこと
主人公が監獄で出会った老いぼれタップダンサーの哀愁の物語。それこそ数多くの翻訳ブログや書籍で訳され尽くしている気がしますが、筆者は親交のある愛知のギタリスト/シンガーソングライター・井上としなりさんのバージョンにインスパイアされて、訳に落とし込みました。
他の多くの翻訳ブログ記事では、ボージャングルスは主人公にたくさん喋っている印象ですが、筆者は「口では多くを語らずに目だけで語った」と解釈しています。そして愛犬との別離を思い出して涙ぐむわけですが、本当は犬ではなく誰か大切な人だったのでは……?
たとえ自分が悲しくても、誰かを楽しませるために今日も踊る。人生の悲哀、そして心を揺さぶるエンターテインメントの素晴らしさがこの1曲に全て詰まっています。ウイスキー片手に聴きましょう(笑)……それではどうぞ!
歌詞と対訳
I knew a man Bojangles and he'd dance for you
ボージャングルスという名の ダンサーがいた
In worn out SHOES
ボロボロの靴
With silver hair, and ragged shirt, and baggy pants
白髪 ヨレヨレのシャツ だぶだぶのズボンの
The old soft SHOE
老いぼれタップダンサー
He jumped so high, jumped so high
それはそれは 高く跳んでは
Then he’d lightly touch down
ひらりと着地するんだぜ
I met him in a cell in New Orleans I was
彼に出会ったのは ニューオリンズの監獄で
Down and OUT
俺がどん底の時だった
He looked to me to be the eyes of age
黙って俺を見つめる 年季の入ったその眼差しは
As he spoke right OUT
とても雄弁で
He talked of life, talked of life
目で人生を語るようだった そして
He laughed and clicked his legs and stepped
微笑むと カカトを鳴らし ステップを踏んだ
He said his name "Bojangles" and he danced a lick
ワシの名前はボージャングルス 挨拶がわりに一興
Across the CELL
監房の端から端まで使って踊る
He grabbed his PANTS and better STANCE oh he jumped so high
ズボンの裾をヒョイと掴み 構えて 高く跳んで
Then he clicked his HEELS
空中でカカトをカチッとやる
He let go a laugh, let go a laugh
そして高らかに笑うんだ
Shook back his clothes all around
そのよれよれの服を揺らしながら
[Chorus]
Mr. Bojangles, Mr. Bojangles, Mr. Bojangles, dance
ミスター・ボージャングルス 踊ってよ
He danced for those at minstrel shows and county fairs
ミンストレルショーや カウンティフェアで踊って
Throughout the SOUTH
南部中をドサまわり
He spoke through tears of 15 years how his dog and him
そんな彼が涙ながらに語った 愛犬との15年間の思い出
Traveled ABOUT
旅に一緒に連れ添ったけど
The dog up and died, he up and died
愛犬は死んで もういない
After 20 years he still grieves
その悲しみは20年経った今でも癒えないよ
He said "I dance now at every chance in honky tonks
安酒場でもチャンスがあれば いつでも踊るよ
For drinks and TIPS
お酒とチップがお目当てだがね
But most the time I spend behind these county bars
でも いつもバーで使い切っちゃうんだな
Cause I drinks a BIT"
少々 飲み過ぎるからね
He shook his head, and as he shook his head
そう語って 彼がやれやれと首を振ると
I heard someone ask him please
誰かが彼に言ったんだ
[Chorus] 繰り返し
Mr. Bojangles, Mr. Bojangles, Mr. Bojangles, dance
ミスター・ボージャングルス 踊ってよ
soft shoe……直訳すると「柔らかい靴」……かと思いきや、shoe が単数形なので気になって調べてみたら「ソフトシュー」といって底に金具の付いていない靴で踊るタップダンスのスタイルのことだって。それを踏まえ、oldも含めて「老いぼれタップダンサー」と訳しました。
minstrel shows and county fairs……ミンストレルショーとは白人が顔を黒塗りにして黒人の役を演じるエンターテインメント全般のこと。人種差別の傾向が強く1964年の公民権運動以降は廃れたようです。カウンティフェアとは文字通りカウンティ(郡)の祭りで、独立記念日の約1週間前から開催される大きな夏祭りだそう。日本のお盆祭りのようなイメージでしょうか。画像検索してみると、移動遊園地や屋台などとても楽しそうです。※こちらの記事を参照しました
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