Just a Song Before I Go 歌詞と対訳

楽曲について

Just a Song Before I Go / written by Graham Nash
クロスビー・スティルス&ナッシュ1977年リリースのアルバム「CSN」に収録の楽曲。シングルカットもされビルボード7位と彼らのキャリアで最上位のヒット曲になりました。収録時間は2分14秒と彼らのレコーディングの中で最も短い楽曲でもあります。作曲はメンバー唯一の英国人グレアム・ナッシュ。
曲ができるきっかけのエピソードを英語版ウィキペディア等で確認できます。グレアムがハワイの友人宅からツアーに出発しようとしていたとき、空港までの送迎を買って出たその友人に「君は著名なソングライターだが、今から出発するまでに1曲書くことはさすがにできないだろう。書けない方に500ドル賭ける」とけしかけられ、ものの20分で書いた曲だそうです。

曲を聴く前にイメージしたいこと

前述のエピソードを踏まえて聴かないと真意を理解しにくい曲です。ツアーに忙殺されるうちに恋人が愛想をつかして離れていったというグレアムの実体験を元にしていますが、全体的には、けしかけてきた友人に忠告する語り口になっています。
イギリスのソングライターはアメリカ人と比べてライミングなどの技巧を多用しないという印象なのですが、この曲はしっかりツボを押さえています。なおかつ言葉数少なめで含みをもたせる点、ちょっとシニカルな雰囲気に、グレアムの英国人らしさが垣間見えます。
けしかけてくる友人に対してグレアムは嫌気がさしたのでしょう。「何事も性急に得ようとすると痛い目にあうよ。ほれ!書いたぞ。500ドルよこせ」みたいな感じで書き上げて、友人はさぞ後悔したのでは(笑)。短い曲ですが、創作の経緯も含めてとてもドラマチックです……それでは、どうぞ!

歌詞と対訳

Just a song before I go
出かける前に ちょっと一曲
To whom it may CONCERN
他人事と 受け止めるなよ
Traveling twice the speed of sound
音速の2倍のスピードで 旅をしていると
It's easy to get BURNED
痛い目に 遭いやすいものだ

When the shows were over
コンサートを 終えてから
We had to get back HOME
本当なら僕らは一緒に 家に戻って
And when we opened up the door
2人でドアを 開けていたはずなのに
I had to be ALONE
気づいたらひとりぼっち

She helped me with my suitcase
スーツケースを 運んでくれて
She stands before my EYES
僕の目の前に立つ彼女
Driving me to the airport
空港まで 車で送ってくれたんだ
And to the friendly SKIES
優しい大空へと 旅立つ僕を

Going through security
セキュリティゲートを 通過した後
I held her for so LONG
僕は彼女を 長めに抱きしめた
She finally looked at me in love
その時の 愛おしそうな眼差しを最後に
And she was GONE
彼女はいなくなった

Just a song before I go
出かける前に ちょっと一曲
A lesson to be LEARNED
教訓として 覚えておけよ
Traveling twice the speed of sound
音速の倍のスピードで 旅をしていると
It's easy to get BURNED
痛い目に 遭いやすいものだ

  • To whom it may concernはビジネス文書における「関係者各位」ですが、a song to whom it may concern……関係がありそうな誰かに対して書いた曲、を少々意訳しました。冒頭にこれが来て聴き手(友人)は「なんのこと?」となりますが、グレアムが恋人を失ったエピソードを経て A lesson to be learnedで締めることでその伏線を見事に回収します。ほれ、500ドル頂き!

  • friendly skies……優しい大空というのはイメージしにくいですが、マーヴィン・ゲイの「Flying high in the friendly sky」という曲があったり「Fly the Friendly Skies」が当時のユナイテッド航空のキャッチコピーだったりするので、きっとよく使う表現なのでしょう(Fly Friendryというアリタレイションと併用することが多いのではないかと思います)。数を数えられないskyが複数形になっているのは強意複数といって、意味を強調するために(今回の場合は空→大空)特に詩で用いられます。

いいなと思ったら応援しよう!