Peaceful Easy Feeling 歌詞と対訳
楽曲について
Peaceful Easy Feeling / written by Jack Tempchin
サンディエゴのフォーク・シーンでシンガー・ソングライターとして活動していたジャック・テンプチン。音楽仲間を頼ってL.A.に移り住み活動を続けていたある日のこと。仲間が集うジャクソン・ブラウンの家で、ジャックがピアノを弾いて歌っていた自作曲をグレン・フライが気に入ります。
グレンはその曲を、近々結成するバンドで使わせてほしいとジャックに懇願。ほどなく新バンドによりアレンジされた曲のデモ・テープを聴いたジャックはその出来の素晴らしさに驚きます。その新バンドこそイーグルス。この楽曲はデビューアルバム「Eagles(1972年)」に収録され、シングルとしてもビルボード22位と健闘し「Take It Easy」等と共にバンド初期のイメージを決定づけた代表的楽曲として知られることとなります。
作者ジャック・テンプチンのバージョンは、自身のソロ・デビュー・アルバム「Jack Tempchin(1978年)」に収録。彼はその後「過ぎた事(Already Gone)」もイーグルスに提供し、イーグルスが解散していた時期には盟友グレン・フライのソロ活動におけるsongwritingのパートナーとして数多くの楽曲を共作しました。その他数々のアーティストに曲を書いた功績を称えられ、2019年にはソングライターの殿堂入りを果たします。
曲を聴く前にイメージしたいこと
リリースの40年後に、曲ができた経緯について作者自身が語っているインタビュー記事があります。それによると、エル・セントロにあるコーヒーハウスでギグをした時、店のウェイトレスに一目惚れ。でも彼女は振り向いてもくれず、傷心のうちに店舗の床で眠りにつきます。次にこの店に来たときは満天の星空の元、砂漠で君と一緒に眠りたい……と。その後サンディエゴに戻り、同胞と共同生活をしていた家の窓から見えるバス停に居並ぶ女の子を品定めしながら、曲を書き進めたそうです。
イーグルス版も作者版もとてもメロウな曲調なので、peaceful easy feelingという言葉にも「平和な安らぎ」とかちょっと品のある翻訳を当ててしまいそうですが、この曲の本質を理解するには前述のエピソードと、作者のL.A.進出を手助けしたグレン・フライ、ジャクソン・ブラウン、J.D.サウザー等の若きL.A.人脈の結びつきを踏まえる必要があります。
つまり、同じ時期にジャクソン・ブラウンが書いていた「Take It Easy」のEasyとこの曲のEasyは、彼らの共通コンテクストだったという仮説。拙稿でtake it easyを「あまり深く考えないでね(=深すぎる関係はお断り)」としたニュアンスがこの曲にも見事にハマります。同様に「4人は束縛、2人はパリピ、1人はただのお友達」というseven women=面倒な女性像がこの曲にも再登場。当時のウーマンリブ運動に反発するかのように、恋の対象としては「女」すぎない純朴なオンナノコを、そして二度と会えなくてもまあいっか、というイージーな男女関係をひたすら求める曲と解釈しました。
軽い。軽すぎる。ロックの歌詞が意味深さを増しサウンドも重厚さを突き詰めた1972年に、このずっこける程に軽いイーグルスの登場は、さぞ世間に衝撃を与えたことでしょう。その軽さを形作ったのがメンバー当人ではなくジャクソン・ブラウンであり、このジャック・テンプチンであるというのはとても興味深いBehind The Musicです……それではどうぞ!
歌詞と対訳
I like the way your sparkling earrings lay
その煌めくイヤリング 素敵だね
Against your skin so BROWN
君の褐色の肌に なおさら映える
And I want to sleep with you in the desert tonight
今夜は砂漠の中で 君と一緒に眠りたい
With a billion stars all AROUND
見渡す限りの 満天の星空の元で
'Cause I got a peaceful easy feelin'
君となら 深く考えず穏やかに済みそうさ
And I know you won't let me DOWN
僕を貶めることなんか 君はしないからね
'Cause I'm already standin' on the GROUND
そんなわけで 僕は今とても居心地が良い
And I found out a long time ago
ずっと前から わかっていることさ
What a woman can do to your SOUL
君が「女」になったら どう変わるのか
Aw, but she can't take you anyway
でもね 君がそっちに行くにはまだ早い
You don't already know how to GO
まだ君は 色々なことを知らないでいい
'Cause I got a peaceful easy feelin'
君となら 深く考えず穏やかに済みそうさ
And I know you won't let me DOWN
僕を貶めることなんか 君はしないからね
'Cause I'm already standin' on the GROUND
そんなわけで 僕は今とても居心地が良い
I get this feelin' I may know you
君のこと もっと深く知ることもできる
As a lover and a friend
恋人としても そして 友人としてもね
But this voice keeps whisperin' in my other ear
でも もう片方の耳に 誰かがささやく
Tells me I may never see you again
僕はもう 君に二度と会わないかもって
'Cause I get a peaceful easy feelin'
君となら 深く考えず穏やかに済みそうさ
And I know you won't let me DOWN
僕を貶めることなんか 君はしないからね
'Cause I'm already standin'
そんなわけで 僕は今 とても
I'm already standin'
僕は今 とても
Yes, I'm already standin' on the GROUND
そう、僕は今 とても居心地が良いんだ