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早大生ボランティア×オリパラVol.3 VIVASEDA編
今回のインタビューでは、早稲田大学 オリンピック・パラリンピック事業推進室の皆様より、VIVASEDAとBTPの2団体にてご活躍されていた大原さんをご紹介いただきました。そのためVol.3・4ではVIVASEDAとBTPの両団体について、大原さんからお話を伺いました。
Vol.3では、早稲田大学学生によるオリンピック・パラリンピック推進プロジェクト『VIVASEDA』で活動されている、早稲田大学人間科学部4年大原ひなたさんにインタビューを行います。本インタビューでは、オリンピック・パラリンピックにおけるご自身やVIVASEDAとしての活動等について伺うことができました。
※インタビュー日:6月11日@オンラインでZoomを用いて実施
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VIVASEDAとは??
東京2020大会に向け活動している早稲田大学学生によるオリンピック・パラリンピック推進プロジェクト。活動内容は大会に関連したイベント企画・開催、アスリートや大会に関する情報発信、そしてボランティア運営に関する取組など多岐に渡る。メンバーはイベント部門、広報部門、ボランティアコーディネート部門の3部門に分かれて活動し、またどの部門からでも参加できる複数のプロジェクトを運営していた。
※VIVASEDA:イタリア語の“VIVA!WASEDA”を省略しており、VVでWを表す。
(なんと今回インタビューさせていただいた大原さんが名付け親だそう!)
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スポーツへの関心からVIVASEDAへ参加
――本日はよろしくお願いします。VIVASEDAは2019年4月発足とのことですが、大原さん自身はいつ頃参加されましたか?
大原さん:よろしくお願いします。私はまさに2019年4月の発足当初に参加しました。
――1期生なのですね。どういったきっかけで参加されましたか?
大原さん:まず東京オリンピック・パラリンピックを通して、スポーツの魅力を発信したいという想いがありました。私自身スポーツを好きになったことで生活習慣が良くなったり、趣味が増えたといった経験があります。そんな中で早稲田からオリンピック・パラリンピックを盛り上げることで、より多くの人にスポーツの魅力を届けたいと考え、参加しました。
――なるほど、オリンピック・パラリンピックは世界的イベントですし、世間の注目度も高い、まさにうってつけの機会ですね!ちなみに、大原さんとスポーツとの関わりを具体的にお聞かせいただけますか?
大原さん:2つあります。1つ目は中学校のときにバレーボール部に所属していたことです。おかげ様で運動習慣が身に付いたり、生活習慣の改善に繋がったりしました。2つ目はフィギュアスケート観戦が好きで、それが趣味になったことです。
――実際にプレーする、競技を観戦する、色々な関わり方をされてきたんですね。
ボランティアコーディネート部門での活動
――VIVASEDAにはイベント部門、広報部門、ボランティアコーディネート部門の3部門があるそうですね。中でも大原さんはボランティアコーディネート部門に属されていたようですが、理由をお聞かせください。
大原さん:大きな理由としては、ボランティアとして選手達と積極的に関わることができると考えたからです。特に私が普段通っている所沢キャンパスでイタリア選手団が事前キャンプを行うことになっていたので、色々な面で距離が近く、貴重な経験ができると感じました。
――自分が普段通っているキャンパスにオリンピック選手団が滞在するというのはかなり貴重な経験ですね。VIVASEDA全体や部門の規模感はどれぐらいで活動されていましたか?
大原さん:4学年全体だと、参加度合いに個人差はありますが138人ほどです。部門単体だと56人です。
――かなり大きな組織ですね!ボランティアコーディネート部門ではどんな活動をされていましたか?
大原さん:3つあります。1つ目はボランティアの募集です。キャンパスでのチラシ配りや声かけを行っていました。2つ目はコロナ禍でできなかったのですが、ボランティアの方々の研修のお手伝いです。3つ目はモザイクアート作成で、これは完成後イタリア選手団へ贈呈しました。
――選手の方々に関わるところから、ボランティアの勧誘・研修まで、本当に手広く関わっておられたんですね。活動の中で苦労したことはありますか?
大原さん:まず勧誘活動は大変でした。声を掛けても殆ど無視されたり、ビラを受け取ってくれなかったり…。それ以外だと56人いるメンバーの活動参加度合いに個人差があったことです。結果的に人員不足の中で活動しなければなりませんでした。
――なるほど、僕もサークルの勧誘でチラシ配りをしたことがありますが、中々受け取ってくれなかったという苦い経験がありましたね。(笑)そんな中で楽しかったことはどんなことですか?
大原さん:モザイクアート作成は想い出に残っています。デザイン作成やどんな写真を、どうやって集めるかなどをみんなで話し合う時間はとても楽しかったです。モザイクアート制作のための写真集めでは、所沢駅にパネルを設置し、そこで市民の方々の写真を撮影させていただきました。結果学生だけではなく、小さな子ども達含め多くの写真が集まりました。
――なぜモザイクアートを作成したんでしょうか?
大原さん:VIVASEDAには人と人、想いと想いをつなぐという考え方があり、モザイクアートという形で、それを表現しようと思ったからです。今回のモザイクアートは「みんなで繋ぐハイタッチ」というタイトルで、皆さんからスポーツやハイタッチに関する写真を集めました。
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プロジェクトでの活動
――VIVASEDAには部門の垣根を越えて参加できるプロジェクトがあるそうですが、そちらはいかがでしょうか?
大原さん:私がリーダーとして参加したのは、廃油をリサイクルしたキャンドルを制作するキャンドルナイトプロジェクトです。その他だとオリンピック組織委員会への訪問や2020年の早稲田祭での広報活動などを行いました。広報活動では実際に水泳の競技会場の1つであるアクアティクスセンターを取材させていただいたり、「選手とその相棒に触れてみよう」と銘打って、馬術・フェンシング・カヌーの選手達や部活動の訪問、更にそれらの競技で使う道具を製造している工場にも取材に出かけたりしました。
――スポーツにおけるプレーヤーだけではなく、道具にも着目されたんですね!どういった発見がありましたか?
大原さん:私はカヌーのいかだ製作の現場に取材させていただいたのですが、いかだの形がカワセミを模したものになっているというお話を伺いました。それまではそうした視点でスポーツを観たことがなかったので、新たな発見になりました。
――水の抵抗を受けにくくするためにカワセミを参考にして製作したという訳ですか、面白いですね。
大原さん:オリンピックというと、どうしても選手や競技の結果にフォーカスしがちになります。しかし実際に競技で使う道具や動物の存在なくして、オリンピック、ひいてはスポーツは成り立たないんだということを学びました。
――裏方で支えるスタッフや道具・動物なども、選手と一丸となって戦っている訳ですね。キャンドルナイトプロジェクトではリーダーを勤められたとのことですが、リーダーならではの苦労などはありましたか?
大原さん:コロナ禍で活動しなければならなかったということが苦労した点です。具体的に挙げると2つあります。1つ目はメンバー間のコミュニケーションが中々取れなかったということです。どうしてもZoom等でのコミュニケーションが中心となってしまっていたので、キャンドルづくり教室で初めて顔を合わせるといったメンバーもいました。2つ目はイベントの実施方法をどうするか、がコロナウイルスの感染状況に大きく左右されてしまったということです。実際2020年はキャンドル点灯式を対面で行えたのですが、翌年は感染状況が酷くなっていたので、ギリギリまで実施方法を検討する必要がありました。
――なるほど、実際にメンバーと会う機会が少ないと、連携も取りづらいですし、モチベーションの低下や活動参加率が下がってしまったりといった問題が起こってしまいますよね。一方で楽しかったことや達成感を感じたことはどんなところでしょうか?
大原さん:キャンドルの点灯式ですね。キャンドルが灯った光景がきれいだったこともありますし、メンバーがみんな嬉しそうにしていたり、楽しそうにしていたりしました。それまでの苦労が大きかった分、とても達成感がありました。
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VIVASEDAと大原さんのこれから
――東京大会が終わり、次に控えるのは2024年のパリ大会、2026年のミラノ大会ですね。今までは早稲田から東京大会を盛り上げる、という活動をされてきましたが、海外だとまたできることも変わってくるかと思います。VIVASEDAのこれからの活動についてお聞かせください。
大原:これからはフランスやイタリアの現地の大学生と交流するといった活動を行っていくようです。実際に大学の職員さんがパリの大学とのZoomを用いた交流を提案してくれています。私はもう卒業しているでしょうが、来年の夏頃にはオンラインでの交流を行ったり、情勢が許せば現地に赴いて活動することもあるんじゃないかと思います。
――なるほど、開催地は変わっても、学生だからこそできる活動を通じて、大会を盛り上げる、オリンピック・パラリンピックに対する興味・関心を高めていくという根本は変わらず継続されるということですね。
大原さん:その通りです。それから2020年の東京大会ではどちらかというとオリンピックにフォーカスしてしまっていたので、次回からはパラリンピックにも注力して活動していく予定です。
――大原さんご自身は、これからオリンピックとどう関わっていきたいですか?
大原さん:社会人になってしまうと使える時間も限られてきますが、もし可能であれば大会ボランティアとしての参加や、現地観戦などもしてみたいです。
――海外でボランティアというと、また違った難しさがありそうですが、その分やりがいもひとしおでしょうね。
大原さん:後はVIVASEDAのこれからを見届けたいと思っています。何か私にできることがあれば、可能な限り協力したいです。
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大原さんにとって、オリンピックとは?
――最後の質問です。オリンピックは「平和の祭典」と呼ばれていますが、一方で東京大会に対しては反対デモが各地で行われるなど、否定的な意見も存在するかと思います。大原さんにとってオリンピックの意義とはどういったものがあると思われますか?
大原さん:難しい質問ですね。(笑)2つほどあるかと思います。1つ目はスポーツの裾野を広げるということです。オリンピックで観戦して、その競技のファンになるということもありますし、子どもたちだけではなく、大人でもオリンピックがきっかけで新しいスポーツを始めるということもあるかと思います。プロ選手だけではなく、アマチュアの人々でもスポーツを楽しめる機会を提供する場になると思っています。2つ目は国を超えた交流の架け橋になるということです。東京大会でも各国の選手同士の交流が多く見られました。私の好きなフィギュアスケートの※エキシビションでは選手たちが国籍を超えて仲良くしていたり、試合でも応援し合っていたりする場面がよくあります。このように国籍・人種・言語を超えて団結できる場があるというのは素敵なことだと思います。
※エキシビション:フィギュアスケートの主要種目が全て終了した後、上位の入賞者たちが採点と関係なく、思い思いの演技を行う場を指す。
――まさに「平和の祭典」ですね。2018年の平昌冬季大会では韓国と北朝鮮の合同チームが参加していたのが印象的でした。国家間は良好な関係とは言えなくとも、それぞれの選手同士がしっかりまとまって、チームを作ることができるということは勇気を貰えますね。
インタビューを終えて
今回早稲田大学のオリンピック・パラリンピック推進プロジェクト「VIVASEDA」の大原さんにお話を伺いました。東京2020大会に向けての団体の活動内容についてインタビューさせていただき、ご自身や団体とオリンピックや出場する選手たちとの関わりを知ることができました。
2020年東京大会では、大会関係者の不祥事や運営の不手際、そしてコロナウイルスへの対応策を巡って様々な報道がなされ、オリンピック・パラリンピック開催について国民の賛否が分かれていたのではないかと思います。更に2022年2月からロシアによるウクライナ侵攻が始まり、現在多くのスポーツ国際大会からのロシアの締め出しが行われています。こうした状況の中、スポーツと政治の混同が進み、オリンピック・パラリンピックの「平和の祭典」としての存続を危ぶむ声もあります。
しかし私自身はオリンピック・パラリンピック、そしてスポーツには、世界を団結させる大きな力があると、今回のインタビューを終えて、改めて感じました。紛争、戦争、テロなどのネガティブなニュース以外で、世界中の人々が同じものに注目する機会はやはりスポーツの大会です。これからは「スポーツには世界を団結させる大きな可能性がある」ということを噛みしめながら、オリンピック・パラリンピック、そしてスポーツの観戦を楽しんでいきたいと思います。
改めて今回の取材を快諾してくださった、早稲田大学 オリンピック・パラリンピック事業推進室様、そして大原ひなた様に厚く御礼申し上げます。
文責:土屋ゼミ9期生 杉原涼太