若者の政治関心を聞く〜現役早大生が政治・選挙を語る〜Vol.2
今回の記事では、早稲田大学の学生に行ったインタビューを掲載します。
Vol.1の記事で紹介したアンケートに回答して頂いた学生の中から、4名の方々にご協力頂き、個別のインタビューを実施しました。
4名の学生は、全て男性です。
インタビューでは、事前のアンケートの質問の中から、
・政治にそのくらい関心を持っているか
・衆議院選挙について誰と話をしたか
・普段支持している政党
・現在の政治にどの程度満足しているか
・「投票へ行こう」という趣旨の広告についての印象
の項目に重点を置きました。
大学2年生 Aさんが考える政治・選挙
Aさん
早稲田大学政治経済学部2年生(2022年4月現在3年生)
※インタビュー日:2022年3月3日 @オンライン(ZOOM)
小学校の社会の授業を機に政治に関心を持つ
――アンケートでは政治について「大変関心がある」というご回答を頂きました。この理由を聞かせ下さい。
Aさん:率直に言うと、僕自身政治に関わる仕事に将来就きたいと思っているので、そういった意味で「大変関心がある」と答えさせて頂きました。
――ご自身の育ってこられた環境が政治関心に影響を与えているということは考えられますか。
Aさん:具体的に関心を持ち始めたのは小学5,6年生くらいです。社会の勉強が好きだったのですが、先生が時事問題とかを織り交ぜて教えてくれたのが、凄く面白いなと思ったのが直接的なきっかけです。これはどうなのか分からないですけど、母親が国会の職員として事務局に勤めているので、その縁もあって夏休みに職場見学に行ったりしていました。小さい頃からそういった経験があったので、それが素地になっていたのかな、と後々気付きました。また、ニュースをずっとテレビで見ている家庭だったので、そういった要因もあるかもしれません。
――衆議院選挙についてはご家族の方々や友達とお話をされたとご回答いただきましたが、家族の方々とはどういった内容のお話をしましたか。
Aさん:投票を誰にするかとかそういう話はしなかったと思いますけど、ニュースを見ながら色々話していた感じですかね。
――では、友達というのは具体的にどのコミュニティーの友達ですか。
Aさん:サークルの友達が多いかなと。
――政治系のサークルだと議論に熱が入るということはありますか。
Aさん:入ることもありますし、割と皆関心がある人たちなので、ある意味様子を伺いながら、というところもあると思います。
――なるほど。選挙のあるなしに関わらず、普段から政治のお話はされますか。
Aさん:普段から割とするので、あまり変わらない感じです。特に家族なんかはニュースを見ながら「これがおかしい」みたいな感じで話すことがあります。確かに、政策立案系のサークルなので、友達と社会・環境問題について話すことは勿論あります。けれども、具体的に、政党についての話は普通の人達よりは多いかもしれないですけど、そこまで頻繁にするというわけではないかなと思います。
現在の政治は苦しいイメージが先行している
――「熱心な支持者ではないが、立憲民主党を支持している」というご回答を頂きました。この経緯をお聞かせ下さい。
Aさん:基本的にはリベラル、というか多様性みたいな点を重視しているのかなというところです。あと、今はブレているかも知れませんが、連合が基本的な支持基盤だと思うので、労働者やあまり強くない立場にいる人を代弁するという形の政党という点が望ましいのではないかと思っています。無党派と回答しようとも思ったのですが、基本的にはそういった理由です。
――立憲民主党を支持し始めたのはいつ頃でしょうか。
Aさん:政治に興味を持ち始めたのが小学校5,6年生の頃と言いましたが、その時ちょうど民主党から自民党政権に移りました。その頃から、実際にできたかどうかはともかく、民主党が理想としていた政治が望ましいのではないかと思っています。
――現在の政治については「やや不満である」ということですが、その根拠をお聞かせ下さい。
Aさん:あまり明るい未来を描けていないというか、苦しいイメージが先行しているなと。あと最近だと、不祥事など信頼が揺らぐような事が起こってきたのも要因の一つかなと思います。
――大学生という立場において、今の政治に求めることや、自分達ができることなど思いつくことはありますか。
Aさん:例えば、選挙を手伝うボランティアをやったりということなのかなと。実は僕自身も、何度かやったことはあります。あとは、僕自身は行ったことはありませんが、「若い人の声をもっと聞いてくれ」みたいな運動も、テレビなどのメディアに取り上げられたりすると、すごく有効だと思います。
広告の効果は限定的
――「投票へ行こう」という広告について、それぞれの3つの内容(①芸能人出演VTR②ポスター③SNS)についてどういった印象を受けましたか。
Aさん:例えば、芸能人の方々のメッセージが集められた動画というのは、「VOICE PROJECT」でしたよね。僕はそれを見た時、どの方も凄く有名な方だったし、今までそういった活動を全員がされてきたわけではないと思ったので、率直にすごいなと感じました。
ポスター類はいわゆる選挙管理委員会とか、総務省とかが貼っているものだと思います。それ自体は、それを見て投票に行こうとする人がいるかは分かりませんが、選挙があるということを知らせるのには、意味があることだと思います。その日付とかも書いてあるので。選挙があれば行くつもりという人を呼びかけるのには良いのかなと。
SNSは凄くまとまりが良くて見やすいのですけど、これは投票に行こうとしている人に向けて有効であると思います。例えば政策の比較とかですね。「こういうところで期日前投票ができますよ」という呼びかけはよく見ました。僕自身は面白いと思いましたが、元々行こうとしている人に向けられたものだと思います。芸能人の方々によるものも、「行こうかな」と思っている人に対して「あ、行かなきゃ」と思わせる効果はあると思うのですけれど、そこが限界だと正直思いました。
画像は、Aさんが言及した「VOICE PROJECT」の動画のサムネイルです。多くの人がこの動画を見たことがあるかと思います。この動画は2021年秋の衆議院選挙に向けて制作されたものですが、現在、2022年7月に予定されている参議院選挙に向けた新たな企画が進行中です。
大学2年生 Bさんが考える政治・選挙
Bさん
早稲田大学政治経済学部2年生(2022年4月現在3年生)
土屋ゼミ10期生
※インタビュー日:2022年3月9日 @オンライン(ZOOM)
高校の部活動がきっかけで政治関心を持つ
――大学までの環境が政治関心に作用していないか、という点を聞きたいと思っています。部活動は中学・高校で何をされていましたか。
Bさん:中学校の頃はテニスをしていました。高校の頃はクイズとかディベートとか、そういうことをしている部活に所属していました。
――なるほど。大学選びの際、何を基準に選ばれましたか。
Bさん:経済に結構興味があったので、政治と両方が学べる政治経済学部がいいかなと思っていました。
――政治に対する関心というのは具体的にいつ頃から持ち始めましたか。
Bさん:高校の部活動で、参議院選挙の出口調査みたいなものを地元の新聞社と共同でやったことがありました。出てきた人に、「どの党に入れたんですか」とか「どういう政策を主に重視して決めましたか」というアンケートを、フィールドワークのような感じで行ったので、その頃から関心を持ち始めたかなという感じはあります。
――政治経済学部に実際に入られて以降、ご自身の政治関心に変化はありましたか。
Bさん:コロナ禍以降、コロナと政治の繋がりなどが授業で扱われたことがあったので、より関心は高まった方であると思います。
――衆議院選挙については「家族の方々と話をした」と回答をしていただきましたが、具体的にはどういった内容のお話をされましたか。
Bさん:普段からあれこれ色々言っているんですけど、「どこの党が勝つんだろうね」とかそういう話を軽くした感じですかね。
――選挙以外でも、日頃から政治についてのお話をしているということですね。
Bさん:そうですね。コロナ禍の給付金とか、そういう話はしています。
――ちなみに、アルバイト、ゼミ、サークルでの友達とはそういうお話はあまりされないですか。
Bさん:あまりしないですね。
今の日本には魅力的な政党がない
――支持政党についての質問では、「無党派である」と回答頂きました。どういった経緯でご自身が無党派であるとお考えですか。
Bさん:一つは、そこまで魅力的な政党が今の日本にはないのかなと。全体的に魅力を感じないというか。
――野党も含めて、でしょうか。
Bさん:そうですね、ちょっと頼りないという印象は受けます。
――現在、政党の数は多いですが、その他の小規模の政党も同様にという感じですか。
Bさん:そうですね。一瞬NHK党と聞いた時はびっくりしましたけど。(笑)
――そうですね。 (笑)
Bさん:でも結局色々見ていたら「あぁ、そんなもんか」という感じでしたけどね。(笑)
――現在の政治には「やや不満である」とお答え頂きました。この点も、先ほどの話に関連していますか。
Bさん:そうですね。あまり魅力的なものもないし、どちらかというと場当たり感が強いかなと。特にコロナ対策などを見ていてもそう思います。
――その原因は、首相や大臣らのリーダーシップなのか、議員による不祥事なのか…
Bさん:どちらもじゃないですかね。
――例えば、河野太郎さんはTwitterなどをうまく活用していて、そういう意味では支持が厚いと思うのですが、そういった政治家の方々についてはどう思われますか。
Bさん:インパクトが強いし、意外としっかり有言実行でやられていたので、そういう人が少し起爆剤みたいな形で一人くらいいても良いのかなと思います。
広告はやらないよりマシ、というくらい
――「投票へ行こうという」趣旨の広告について、「見たことがある」とお答えいただきました。具体的に、Bさんが見られた広告の内容というのはどんな感じでしたか。
Bさん:僕たちが高校生の時は、選挙権が18歳にまで降りてきていたので、高校とかでも掲示がありました。あるいは、ラッピングバスとか、駅の掲示ですね。「○月○日投票日ですよ」みたいなポスターでしたね。
――ポスターを見て実際にどういう印象を受けましたか。
Bさん:「あぁ、この日が選挙なんだ」といった感じですね。
――次はSNS等の広告について。これはどういった内容でしたか。
Bさん:都の選挙委員会とか、国による「投票行きましょう」みたいな感じのバナー広告とかですね。
――そういった広告を見て行く中で、どういった印象を受けましたか。
Bさん:まあ特に普通の広告と変わりない、数ある中の一種類かなという感じで。(笑)
――投票に行かない人も年代を問わず一定数いますが、そういった人々に向けてこのような広告は効果的だとお考えですか。
Bさん:目には留まるのでしょうけど、結局関心がない人にとってはただの張り紙の一枚にすぎないという感じでしか見えていないと思うので…。一定の効果はあるとは思うのですけど、やらないよりはマシというくらいですかね。
――例えばその一環として、芸能人の方々が「政治に参加しよう」というメッセージを発信した動画があったと思います。そういった取り組みはあるものの、直接的には難しいとお考えですか。
Bさん:そうですね。あと、芸能人の方が動画をやるのは良いと思うのですが、芸能人が政治に色々言うことには賛否両論あるので、彼ら自身にとってはあまりやることのメリットがないんじゃないかなと個人的には思うところがあります。
Vol.3へ続く
将来は政治に関わる仕事がしたいというAさんと、高校の部活動がきっかけで政治に関心を持ち始めたというBさん。両名とも明確に自分の意見を持っていて、非常に聞き応えのあるインタビューでした。
続くVol.3の記事で、あと2人の早大生のインタビューを掲載します。
引き続きそちらもお楽しみ下さい。
[参考文献]
MOTION GALLERY. “【投票呼びかけ動画】2022年版をつくりたい。VOICE PROJECT#わたしも投票します”. MOTION GALLERYホームページ https://motion-gallery.net (最終閲覧日:2022年5月30日)
文責:土屋ゼミ9期生 押田真輝