ビジネス団体BNIの全貌(動画連動記事)
はじめに
士業関係者も多く加入しているビジネス団体BNIですが、インターネット上では様々な情報が流れています。筆者が実際に3年間BNIに加入した経験を赤裸々に皆様にお伝えさせて頂きます。
BNIとは
BNIとは1985年にアイヴァン・マイズナー博士により創立された世界最大級のビジネス・リファーラル組織で、加入しているメンバーがお互いにリファーラル(紹介)を提供し合うことによりメンバーのビジネスを助け合うということを目的としています。
BNIが異業種交流会なのかリファーラルマーケーティングを行う場なのか、様々な意見がありますが、ビジネス団体であることは間違いありません。何をやっているか簡単に言うと「自分にとっては役に立たない人脈でも、他のメンバーにとってみれば役に立つ人を知っているならば、他のメンバーに紹介して相互に助け合いましょう。」という団体です。
どのような人向きか?
例えば、健康食品を製造販売している方がいるとします。私の父は大学の名誉教授ですが、基本的に見ず知らずの方がそのような役職の方にアポイントを取って会いにいくというのは至難の業です。ところが、息子である私が父に「この人に会ってほしい」と言えば、難なく会えることは想像できると思います。
父は補助金の申請では特に関係がありませんが、健康食品を製造しており自社製品に権威のある方のお墨付きが欲しいと考えている方には大いに関係のある人物ですので、ここにBNIに加入するメリットがあるわけです。
加入直後の流れ
基本的に加入するとチャプターという支部に所属することになります。私は3年間、東京都の新宿を拠点とする「新宿フェニックス」というチャプターに加入しておりました。このチャプター(支部)の上にはリージョンと言ういくつかの支部を束ねる管理地域があります。新宿の場合は新宿・渋谷・多摩東西エリアが同じリージョンとなっています。
会費
まず、ビジネス団体ですので会費を支払うことになります。毎月徴収される月会費はチャプターによって多少違うようですが、年会費も含めて2024年9月現在では概ね年間で25万円程度(初年度は入会金がプラスで5万円必要)かかります。
活動内容
次にメンバーは毎週1回決められた日時にミーティングに参加することになります。(このミーティングを定例会と呼んでいます)この定例会は各チャプターにより日時が異なります。
Aチャプターでは月曜の朝集合、Bチャプターでは金曜の夜集合など違いますので、加入する場合はご自身の都合に合っているかを確認してから入会をしてください。
ちなみに半年で3回までの欠席は認められますが、4回目の欠席をした時点で強制的に退会となります。
また、欠席する場合は自分の代理人を出席させるように言われます。
また、この定例会中にメンバーは30秒程度のプレゼン時間を与えられます。プレゼン時間についてはチャプターの人数により前後しますが、概ね30秒程度が最も多いです。
この30秒の間に「〇〇という人を紹介してください」とメンバーに伝えます。
例えば建設業の方をご紹介してください、小学生の子供がいる方を紹介してください等です。
これは自分の取り扱っている商品やサービスを最も買ってくれそうな方を各メンバーに覚えてもらい紹介を生みやすくする仕組みです。
また、メンバーはカテゴリーという「職種」が限定されます。
これはメンバー内でビジネスが競合しない制度となっており、例えば保険商品を取り扱う方であれば「損害保険専門」、「自動車保険専門」など職種が限定されます。
自分の職種を超えた話を定例会中に話すとカテゴリーの侵害ということで後に注意を受けることになるのでお気をつけください。
よく聞かれる内容など
BNIはポイント制?
BNIは完全に個人成績がポイントで表示されます。トラフィックレポートという個人の点数表が毎月配布され0~100点で表示されます。
0点が低く100点が最高で、100点になると「100点メンバー」として表彰されます。灰色・赤色・黄色・緑色で区分され灰色が一番悪く、緑色(70点以上)が一番良いという形です。
BNIは年単位の更新となり、各チャプターで更新出来る基準が定められております。私のいたチャプターではレッド以下(おそらく50点未満)は更新基準を満たせず更新されないという基準がありました。
BNIって仕事になるの?
端的に申しますと、仕事にはなります。特に創業間もない方や、今まで経営者という立場の人を誰もしらないというのであれば、加入するメリットは大きいと思います。それでは「なぜ、辞めたのですか?」という疑問が湧くと思いますので、以下に実際に私が感じたBNIのデメリットをお伝えさせて頂きます。
BNIのデメリット
・運営は手弁当
自分で年会費と月会費を支払いますが、運営に関しては全て自分たちで運営を行うことになります。
会の中で役が決まっており、全てのメンバーに何かしらの役が与えられます。これが正直手間です。
ミーティングの日以外でも毎週集まったり、どこそこで打ち合わせをしたりします。定例会の前には打合せを1時間程度行います。
定例会が終わった後にも30分から1時間程度のミーティングが開かれます。また、半年に一回必ず役がシャッフルされることになります。
ジョブローテーションに近い制度ですが、正直これが面倒で、また拒否権もありません。
こういった本業以外の「手間」が発生致します。
・あやしい職種も存在する
私のような資格業の場合、基本的に名前等は国に登録されているので問題ないのですが、中には無資格者なのに資格業が必要なビジネスをやっていることもあります。
これは入会時に信用照会という制度があり、入会者の知人2名に連絡を取って「この人は大丈夫か」という確認が済んで、入会金等を払ってしまえば誰でも加入出来てしまうことが原因です。
私が実際に見た人で他チャプターの方ですが「助成金コンサルタント」・「許認可コンサルタント」という方がおりましたが、いずれも社会保険労務士や行政書士の登録はされておりませんでした。
社会保険労務士事務所や行政書士事務所に直接雇用されている方であれば問題ないのですが、そうでない場合はどのような形で運営しているのか疑問です。
また、無資格者でコンサルタントと付ければ何でも出来るのであれば国家資格を取得する意味は形骸化するでしょうし、法的にも問題があるのではないでしょうか。
・1to1(ワンツーワン)というミスマッチになると1時間を無駄にする制度
人を紹介し合うという団体ですので、加入すれば100%必ず誰かを紹介されます。
プレゼンで話をした自分の求める人であればいいのですが、中には全く関係の無い人も紹介されます。
なぜ、そのような事が起こるかというと、メンバーは毎週1回の紹介を出せない場合は強制退会となってしまうため、無理やりにでも誰かを紹介しようとする動きがあります。
(この場合の決まり文句が「協業出来る」が多い)
仕事にもならない且つ話をしたいとも思わない方と1時間話すというのは非常に非効率で苦痛です。
また、定例会中にビジターというゲストを呼ぶことをメンバーは義務付けされます。
この誰かの呼んだビジターから「この人と話をしたい」と申出を受けると、半ば強制的に知り合いにさせられます。
こちらには拒否権は無いと思ってもらって間違いないです。
そのため、ここでも場合によっては時間を無駄にすることになります。
・半ば強制のイベント参加
通常の定例会以外に「フォーラム」というイベントに半ば強制で参加させられることになります。
開催時間の多くは18時-21時位の時間帯が多く、2ヶ月に1回程度行われています。
このイベントに参加しても、ここで仕事に繋がる可能性は低いです。また、イベント内でメンバーどうしのワンツーワンを推奨するため、ここでも無意味なワンツーワンが発生します。(「今度ワンツーワンしましょう」と誘われて、そこから更に別の方を紹介されるという“たらい回し”現象が発生する)
イベントで3時間を無駄に過ごし、無意味なワンツーワンで数時間をさらに無駄にすることも多々あります。
・半ば強制の勉強会参加
フォーラム以外にもトレーニングという勉強会のイベントに半ば強制で参加させられることになります。
勉強会の時間は日中に2時間程度使用することが多いです。勉強会の内容で特にプレゼン関係についてはBNI以外の場面でも発表出来るような組み立て方を教えて頂けます。
半面、こちらのイベント内でもメンバーどうしのワンツーワンを推奨するため、無意味なワンツーワンが数多く発生します。
トレーニングで数時間を無駄に過ごし、無意味なワンツーワンで数時間をさらに無駄にすることも多々あります。
フォーラムと違い、このトレーニングはBNIの年更新をするための必須条件になっております。
最低でも6回程度のトレーニング受講をする必要があります。さらに3月と9月にはメンバー全員がTLT(チームリーダーズトレーニングの略)というオンライン上で10~20時間かかるトレーニングの受講を義務付けられます。
この辺りの手間もデメリットとなります。
手間であればやらなければいいのでは?
基本的に個人に拒否権が無い団体ですので、拒否をすればチャプター内で村八分となり、リファーラル自体が発生しない可能性が高く、在籍している意味を感じないと思います。
BNIを続けている人って?
・ここまでの事は、私が実際に体験したことですが、実際にBNIだけで仕事になっている方も沢山おられますので賛否はご自身でご判断ください。参考までに私が加入した時の正確なチャプターメンバー数は覚えておりませんが約60人であったことは間違いありません。
入会後3年経過した時点で私よりも長く在籍している方は18名でした。
そのため、仮に私の入会時にメンバー数が60人だったとして考えると、在籍3年以上の方は全体の30%しかおらず、70%の方は3年以内にBNIを退会しているのが現状です。
まとめ
BNIは、ビジネスリファーラル組織として、その特性を活かしてメンバー同士が互いにビジネスの成長を支援し合うことを目的としています。特に士業関係者を含む幅広い業種の方が加入しており、異業種交流や紹介を通じたビジネスの拡大が期待できます。
一方で、運営の手間や強制的なイベント・勉強会への参加、無資格者の存在など、様々なデメリットも存在します。特に、メンバーに課せられる役割や定例会以外の集まりが本業に影響を及ぼすことも少なくありません。
実際にBNIに加入する際は、自身のビジネススタイルや目標に照らし合わせ、慎重に検討することが重要です。加入後の運営や活動に対する理解と覚悟が求められます。BNIが提供するメリットとデメリットをしっかりと把握し、自身にとって最適な選択をすることが大切です。
以上を踏まえ、BNIへの加入を検討している方々にとって、この記事が参考となることを願っています。