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小泉進次郎氏のブレーン・竹中平蔵氏と解雇規制

 「就労形態の多様化」「雇用の流動性」という言葉が使われているが、その本質は「労働者使い捨て」「クビ切り自由化」である。グローバリストと経団連の強い意向を受け、政府の諮問会議などを舞台に労働分野の規制緩和を叫んできたのが竹中平蔵氏らである。そして、雇用が流動化することによって儲かるのが、竹中氏が会長を務めていたパソナのような人材会社である。
 2014年5月10日に放送された「激論コロシアム」(テレビ愛知)において、三橋貴明氏は竹中氏に対して、政府の諮問会議などで民間企業の経営者が自分の会社の利益になるような提案をするのはおかしいと批判した。さらに三橋氏は、パソナ・グループの会長である竹中氏が諮問会議などの場で労働規制緩和について議論することは問題だと指摘すると、竹中氏は「私はそれに関して何も参加してないんですよ」と語った。しかし、これは明らかにウソだ。産業競争力会議において、竹中氏は労働規制緩和に関して次のような発言をしていた。

●「第4回産業競争力会議」(2013年3月15日)
 「労働移動型の解雇ルールへのシフトは大変重要。判例に委ねられているのは、ルールとして不明確であり、明文化すべき。金銭解決を含む手続きの明確化することが必須である。早急に議論を煮詰めていくことが必要である。雇用調整助成金を大幅に縮小して、労働移動に助成金を出すことは大変重要。是非大規模にやって欲しい。今は、雇用調整助成金と労働移動への助成金の予算額が 1000:5くらいだが、これを一気に逆転するようなイメージでやっていただけると信じている」

●「第7回産業競争力会議」(2013年4月23日)
 「厚生労働省関係では解雇のルールや雇用のルールは大きな問題」
(武田薬品工業社長の長谷川閑史氏は以下の発言を受けて。「3月 15 日の産業競争力会議で取り上げた解雇ルールの明確化に関しては、一貫して求めるものである。その際の民間議員ペーパーに記載してあるとおり、労働移動を円滑に、円満に行うための提案であり、あくまでも、雇用者側と被雇用者側の意見が合わず、裁判まで行った場合の最終的な選択肢として、金銭的な解決をあらかじめ示しておくことも合わせて確認・要望をしておきたい」)

●「第15回産業競争力会議」(2014年1月20日)
 「本日は雇用・人材分科会主査の長谷川議員がご欠席であるが、分科会で議論してきた問題として、特に大きな3つの点に正面から取り組まなければならない。1つは外国人労働の問題、これが第一。2番目は雇用解雇ルールの明確化の問題。3番目が成果主義を含めた自由で多様な働き方。そういったものが明確に出るような改革にならなければならないわけで、今検討されている法律の中では、それが明示的に織り込まれるかどうかは全くわからないという状況なのだと思う」

 しかも、竹中氏は労働政策を決めるしくみ自体を歪めてきた。『月刊日本』(2014年6月号)のインタビューで、法政大学大原社会問題研究所名誉研究員の五十嵐仁氏は次のように指摘している。

 〈規制緩和は多様な働き方ができるようにすることであり、労働者にとってもメリットがあると説明されています。しかし、仮にそうであるなら、なぜ労働者の側から規制を緩和してほしいという要望が出てこないのでしょうか。
 労働分野の規制緩和は、これまで一貫して経営側から提案されてきました。それは、労働者を「使い捨て」にできるようになるからです。実際には、労働者にとってメリットがあるわけではなく、雇用は不安定になり、賃金が減少していくことになるでしょう。
 労働政策に関する重要事項を審議する労働政策審議会は、労働者を代表する者、使用者を代表する者、公益を代表する者の三者で構成されています。これは国際労働機関(ILO)が示している基本的な枠組みで、当事者である労働側にとって不利益な政策を決められないようになっているのです。しかし、この三者構成原則を無視し、労働側の抵抗を突破するための仕組みが作られました。労働側を排除して経営側の意向を取り入れる形で政策的な大枠を決め、その後に労働政策審議会に降ろすというやり方がとられるようになったからです。
 すでに小泉政権時代に、経済財政諮問会議で労働の規制緩和が議論され、「骨太の方針」が出されるようになりました。従来の労働政策審議会や国会での議論をバイパスして諮問会議で大枠を決めてしまったのです。
 清水真人氏の『経済財政戦記』には経済財政諮問会議での竹中平蔵慶応大学教授の手法が書かれています。まず、事前の「裏戦略会議」で入念に仕込んだ民間議員ペーパーで切り込み、議論が二歩前進、一歩後退しながら熟してくると「竹中取りまとめ」で後戻りできないようピン留めし、最後は「小泉裁断」で決着させるというやり方です。この民間議員ペーパーを起草していたのが、政策研究大学院大学教授の大田弘子氏でした。
 竹中氏は小泉内閣で規制改革を進めて人材ビジネスを拡大させ、人材ビジネス会社であるパソナが急成長した後に自ら会長として乗り込みました。「政商」というか「学商」というか、まったく恥知らずだと思います。経営者と政治家と御用学者が労働者を食い物にしている。ビジネス・チャンスを拡大して利権に食らいつく「悪徳商人」そのものです〉

 自民党議員、自民党員は、小泉進次郎氏がこの「悪徳商人」に操られていることを認識すべきではなかろうか。

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