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Web写真展「ナチュール」
横手市での地域おこし協力隊活動もいよいよ終わりの日を迎えようとしています。8月から活動の集大成として、横手市園芸振興拠点センターに続き、朝倉地区交流センター・あさくら館での写真展を開催しています。
今回は、より多くの方にご覧いただきたく、Web写真展を用意しました。
どうぞお楽しみください!
プロローグ
こんにちは、横手市地域おこし協力隊の吉成翼です。お陰様で無事、今年の9月末をもって退任を迎えます。
12年ぶりに、改めて住む。
私が見ていた景色はみなさんと同じ。しかし、私に映る世界は本当に色鮮やかで、雪の白も、星空の黒も、それはそれは有彩色でした。
横手を見る。ちゃんと見る。そうすると、その風景の先にいる人が見え、その人に会いたいと思う。そして会いに行きました。
そうして出会い、関わってくださったみなさんには、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。
そんな人生のご褒美のような出会いを準備してくれていた故郷。
さて、今回、活動にピリオドを打つ前に、私が魅せられた横手に在る彩りを、あなたと共有させてください。
彩りと言っても印刷された色だけではなく、そこに映る人から感じられる色だったり、映りきらなかった景色のその先の空間を想像してみたり。ぜひ目の前の写真と一歩距離を置き、その距離感を楽しんでくれたらと思います。
今一度、黒子たちに焦点を当て、横手の地から、何かを、誰かを、想う、思い出すきっかけになれば嬉しいです。
ナチュール
ナチュール(Nature)は、フランス語で「自然体」を意味する言葉です。
フランスは自分らしさを大切にする国で、素朴なライフスタイルを好む人が多いようです。
10年前、フランスを訪れた時のこと、タクシーのラジオから流れるフランス語がやけに秋田弁に聞こえてきては、横手の風景が脳裏をよぎり、ひとりニヤついたことを覚えています。
さらには、街角で会う人々が気兼ねなく話しかけてくる感じが、横手での暮らしと重なり、私を解放し、ここでの生活がバカンスのように感じるのです。
展示写真
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真夏の暁に夏丸チッチェ(スイカ)を収穫する藤原さん。陽が昇る前はこんな日でも涼しいこと、また、農家さんと生きている時間が違うことを実感した日でした。
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置いては一歩、置いては一歩。まるでそれはアンダンテ。
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色々な作物の姿を見てみて、愛くるしいと思ってしまう落花生の子葉。大きく葉を広げた姿も好み。
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昨年度までの農業研修生の瀧澤さん。『俺のトマト』への愛情が、こちらにまで伝わってきては、人生2度目の子育てを迎えているようでした。
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黒沢観光わらび園の野焼き作業。おいしい蕨(わらび)のためのひと手間は、テンパリングと同じですね。
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日に日に赤くなる大玉トマト。夏バテの体に沁みる味。
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ゴミ箱の中を撮影。色鮮やかで美味しそうでもこれはゴミ?ちがう、護美。だけど、誰がそうさせてしまったのか?
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昨年度までの農業研修生の平野さん。朝晩休みなく、ひたすら収穫。最盛期となるときゅうりも畑ではなく、林になります。
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ホップ農家の美頭さんの一張羅は、パッと目を引く赤い薔薇のシャツ。鮮やかなホップにも美頭さんのハッキリとした目鼻立ちにも負けない赤い薔薇。
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ひたむきとはこのこと★枝豆を一所懸命に抜き取る躍動感のある一枚が撮れました。かわいい。
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亡き祖父の跡を継ぎ、弟と家業を継ぐ佐藤さん。口数は少なく、表情も変えない園主(祖父)でしたが、 胸の内は熱く、優しさは溢れ出ていました。 園を守る孫の目つきを見れば、天国のじじもきっと安心するでしょう。
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大好きなシャインマスカット棚が一面に広がる。広い空とのコントラストがもう美味しい。 今年も爆買い予定です。
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大きな株を彷彿とさせる一枚になりました。芋づる式とはまさにこのこと★
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酷暑を乗り越えた。人間だけじゃなく、それは作物も同じ。食味が良くないと話される農家さん。それでも大切に育てあげた証。外作業を続けてくれた真っ赤な結晶。
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想像以上に残暑厳しい中での収穫作業。もはや秋を迎えずして冬将軍が到来する勢い。それでも畑を見て季節を感じられる田舎の暮らしは、なんとも人間らしく、心地いい。
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横手味噌と職人。地元に帰ってくるまでは、横手市がこんなにも発酵食品に溢れているとは知りませんでした。様々な知見が広がり、脳みそも健康になりました。
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おせち料理を作る様子を見るのは、これが最初で最後だったかも。割烹着が似合う母さんたちがなんとも愛くるしい画。
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見知らぬ人が来ると獣医と勘違いして、じっと私を凝視してくる彼女たち。かわいいをやたら連呼した一日。
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佐藤シンビジウム園。四六時中お花に囲まれると、心を豊かにしてくれるんですね。園主の笑顔にも惹かれますが、背景にいるご家族みなさんの笑顔が本当に最高で、思い返しても心があったまります。
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阿櫻酒造の杜氏の手。照井杜氏自ら酒蔵を案内してくれたときは、歩く速さが想像以上のスピードでした。原料にこだわりを持ちながらも流行りへの関心は強く、お客様の声にはしっかりと耳を傾け、それを酒に反映していく。杜氏のさっぱりさが、会社全体の雰囲気を良くしているのを感じました。
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ここ、センターから見る夕日。この雑木林にはカモシカがいるときもありました。綺麗な空や作物が織りなす緑に囲まれたオフィスは、羽田空港から見えていた空や都会の景色よりもずっと、空気が澄み、静かで、最高のデスクでした。
センス・オブ・ワンダー~風土を紡いでくれていたのは優しさでした~
2023年/5人の若手農家に通い続け撮影、編集した横手市のイメージムービー
エピローグ
いかがでしたか。住んでいると当たり前すぎて、なかなか見えない優しさや温かさ、粋さ。それは、生き物たちの本来の姿であり、自然が織りなす彩りや表情は、自由さを象徴しているようにも思います。
食、農というフィルターを通し、生きることを体現できる横手市。「親ガチャ」ならぬ「環境ガチャ」があるならば、日本に生まれたことはもちろん、ここ、横手で育ったことは言わずもがなツイている、ツイていた、と感じます。
自己紹介
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~最後に~
この企画をもって、地域おこし協力隊としての活動に幕を閉じます。
12年ぶりのここでの生活は、挑戦の3年間でした。協力隊として地域を盛り上げるために何が出来たかと問われると、非常に難しいです。確かに色々やってみました。でも、その答えってすぐに出るものでもないような気がするんです。しかも、それって私が答えるものなのか…?関わってくれた方々が私を見て何を感じるかでは…?でも、その問いから逃げるのも好きじゃないので、自分なりに考えてみました。
横手市民の多くが関わる農業。地味な作業が多い手仕事を写真に収め続けることで、農家さんのモチベーション向上に繋げることができたと思います。さらに、農繁期で忙しい農家さんは自身を撮影する暇などなかなかありません。そういった作業風景を私がカメラで捉えることで、今まで撮られてこなかった地域の新たな魅力をソトからの目線で発信することができたと思います。私は、ポーズして!そのまま止まって!などという指示は一切出しませんでした。それは、ありのままの姿を撮影したかったから。自然体が一番カッコいいと思うからです。そんな美しさに気付くことができたのも、協力隊という仕事だからこそだと思います。こんな画が欲しいからこう撮る、こう言わせたいからこう聞く。ゴールを決めて準備をするのは、仕事として当たり前ですが、協力隊には恐らくそれは求められていない。だからこそ、見えてきた新しい世界だと、私は感じています。継続できそうなオモシロイことは見つけられたし、退任してもワクワクを見つけては、発信をする予定ですので、ぜひインスタのフォローをよろしくお願いします!(zine最終号より)
幼少期から今も変わらず思うことは、当然のことかもしれませんが、この町の大人はよく笑っているということ。いつも笑顔で声をかけてくれる地域のみなさんのおかげで、充実する日々を送らせていただきました。その時に思うのは、私はやっぱり人が好きだということです。
これからもここで、たくさん笑って暮らせると確信しています。
本当にありがとうございました。
横手市地域おこし協力隊 吉成翼