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【スペシャルためし読み】マンガ好きもアニメ好きも集まれ!シリーズ最新刊『ジュニア空想科学読本29』から楽しい話題をためし読み!

全国のジュニ空ファンの皆さま! 大変お待たせしました。マンガやアニメを科学的に検証する爆笑シリーズ最新刊『ジュニア空想科学読本29』がついに発売!! ためし読みでは、いま話題のあのマンガのあの場面を検証するよ。

ジュニア空想科学読本29
定価: 880円 (本体800円+税)
発売日:2024年09月11日
判型:新書判
ページ数:208
ISBN:9784046323248
https://www.kadokawa.co.jp/product/322403000026/

『ちいかわ』の「無限白米湧きドコロ」は、どういう仕組みでしょうか?

 ワタクシは『ジュニ空』の第27巻に、『ちいかわ』を初めて読んだときに「不思議なグルメマンガだなあ」と思ったと書きました。でもよく読むと、そういうマンガではなかったと気づいて「草むしり検定」についての検証をしたんだけど、再び読み返したところ、やっぱり最初の感想に戻りました。『ちいかわ』は、とっても不思議なグルメマンガだ!
 なぜなら、この原稿を書いている時点で、コミックスは第6巻まで刊行されていて、これまでに登場した飲食物を数えると、なんと180種類。これだけでも充分にグルメマンガだよね。
 しかも、そのなかには「不思議な食べ物」がたくさん交じっている。地面から湧いてくるフエラムネや、空中に浮遊している酢こんぶや、お風呂ほどの大きさもあるパイシチュー(うさぎは、それに浸かってシチューをすすっていた)などで、筆者のカウントでは37種も! そのうち14種類は、最新の第6巻に登場していて、大きなマシュマロが低空にふわふわ浮き、伊勢名物の赤福が地面を埋め尽くし、洞窟の天井から純露(琥珀色の飴)が鍾乳石のように垂れ下がり、木の幹に出汁のサーバーが現れ、トランポリンもできる広大なカステラが出現し、おソバが地面から湧き、木の幹からソフトクリームも出て、ケチャップごはんが山と積まれ……。そして、空からおにぎりが降った!
 本稿では、これら不思議な食べ物のナゾについて考えてみたい。

◆でっかい食べ物が続々
『ちいかわ』世界の不思議な食べ物は、いくつかのグループに大別できる。
 まず「大きい」。鎧さんたちの身長を170㎝と仮定してマンガで測定&計算すると、ちいかわやハチワレの身長は53㎝。それと比較すると「かためのプリン」は、直径が上端72㎝×下端86㎝×高さ36㎝で、重さは720㎏。通常のプリン1個が90gだから、その8千個分だ!
「ホットケーキ」は、ちいかわの身長と比べると、直径1m72㎝、厚さ10㎝もあり、実物との比較から、重さは推定116㎏! 「巨 たこウィンナー」は高さが1m33㎝、直径が86㎝もあり、推定重量は785㎏、5万2300本分! 「カステラ」に至っては、マンガのコマに収まりきらないほど大きいが、横のサイズが5mあるのは確実で、厚さは40㎝。縦も5mとすると、重さはたぶん3・88t! みんなでトランポリンをしていたが、充分に可能だろう。
 これらは、ちいかわたちが暮らす地域の草原などに、ある日いきなり出現する、という印象である。ただし、うさぎが巨大ホットケーキにちょうどいい大きさの「フライ返し」を持っていたりするので、初めて出てきたわけではなく、繰り返し出現するのかもしれない。

◆無限白米湧きドコロの不思議
 興味深いのは、地面や木の幹から「湧く」ものがあることだ。
 たとえば、無限白米。炊飯ジャーが地面に埋まっていて、パカッとフタを開くと、炊きたてのごはんが入っている。全部食べても、フタを閉じてまたすぐ開けると、再びごはんが炊けている!
 一般的な炊飯器の場合、白米を炊くのには45〜60分くらいかかるから、これは驚異的だ。この「無限白米湧きドコロ」を見つけたのはモモンガで、一人占めするつもりだったが、すぐにうさぎに見つかり、うさぎはちいかわやハチワレに教えていた。こういうときに工夫をするのがハチワレで、炊飯器の白米に、持参したふりかけをかけて3人で食べていたが、次に炊飯器のフタを開けると、なんと最初からふりかけがかかっていた! あまりに不思議である。うさぎはカレーをかけていたが、何かかけると次回に反映されるとしたら、そりゃあそうするよね。筆者だったら「鰻丼」にします。うひょひょ、次回が楽しみ。
 他にも、お味噌汁の川が流れていたり、大量のケチャップごはんが湧いていたり、ツユに浸かったソバが湧いていたり……。ソバ打ちは、ソバ粉と強力粉をムラなく混ぜ合わせるところから始まり、艶が出るまで手のひらで押し続けた後、まな板の上で厚さ5㎜ほどになるまで木の棒で押し広げる……など手間がかかる。ソバ職人になるには3年かかるともいわれるけど、『ちいかわ』世界ではそんなモノが最初から湧いている! おソバ屋さんは商売あがったりでしょうなあ。

◆赤福が降ってきたら?
 そして、空中に浮いていたり、空から降ってきたりする食べ物もある。
 酢こんぶや巨大なピザの生地は空中に浮いていて、ちいかわがジャンプしても届かなかった。重力はちいかわたちには働いているが、食べ物にだけ働かないのだろうか!?
 不思議だったのは、空からおにぎりが降ってきたことで、これにはハチワレも「はじめて見たッ…降ってるよ!! おにぎり!!」と興奮していた。ほとんどのおにぎりは塩むすびだったが、ちいかわのおにぎりには梅干しが入っていて、ハチワレが「当たりだよ!! それ!!」。ちいかわはやっぱりくじ運がいいですな〜。
 それはともかく、注目はおにぎりの落下速度である。ゆ〜っくり落ちてきて、だからこそちいかわやハチワレは、おにぎりが地面に落ちる前にキャッチすることができていた。
 まことに不思議だ。空気中を落下する物体は、重力に引かれて速度が上がると、空気抵抗も強くなる。やがて空気抵抗が重力と等しくなると、「終端速度」と呼ばれる一定の速度で落ち続けることになる。120gのおにぎりの場合、終端速度は時速135㎞。だが、作中のおにぎりは秒速1mくらいで落ちてきた印象だ。
 しかしこれ、時速135㎞などで降ってきたら大変であった。高校野球の投球なみの速度であり、おにぎりとはいえ頭にでも当たったら、脳震盪くらい起こすかもしれない。
 なかでもキケンなのは、伊勢名物の和菓子「赤福」である。鎧さんが「降ったなー 赤福」と言っていて、あたり一面が赤福に覆われていた。これもおにぎりと同じように、ゆっくり降ってきたことを祈りたいが、地面に積もっていたところを見ると、誰も空中で受け止められなかったということ?
 だが、受け止められないのも無理はないと思う。赤福はお餅をアンコで包んだ和菓子で、マンガの描写から、降ってきた赤福1個あたりの直径は42㎝もあると推測され(実際の赤福は4〜5㎝)、すると重さは43㎏にもなる! こんなのが普通の重力で落ちてきたら、終端速度は時速720㎞! 衝突の衝撃は1tの乗用車が時速150㎞でぶつかったのと同じ。ヒジョ〜に危ない。

◆何もかも涸れてしまった!
 こんなふうに、いろいろな食べ物が湧き出す『ちいかわ』世界だけど、このステキな状況は、いつも安泰というわけではない。第6巻ではオソロシイ展開があった。無限白米が出なくなり、出汁サーバーもフエラムネも涸れてしまったのだ! 他のあらゆる食べ物も出なくなったようで、ラーメン店などには長い行列ができた。この事態に『ちいかわ』世界の人々は「湧いてわ〜いて」と祈りながら踊るようになり、ちいかわたちもその輪に加わった。
 その甲斐あってか、やがてメロンパンが湧き、他の場所でも食べ物が湧き始めるなどして、食糧事情は以前と同じようになった。ハチワレは「『踊り』のおかげってうわさもあるケド どうなんだろ」と言っていたが、確かに気になるところである。
 実は、再び食べ物が湧き始める直前、キメラの「あのこ」を討伐に行ったモブかわたちが、ぜんぜん敵わなくてつかまってしまい、しばらく経ったら誰の姿もない……というエピソードがあったのだ。あのこは、何かを食べて満足したような表情だったけど、いったい何を食べたのだろうか? そして、マンガではその直後からまた食べ物が湧き始めた……。これはいったい何を意味するのだろうか?
 かわいく見えて、コワさがつきまとう『ちいかわ』世界から、ますます目が離せません……!


今回の疑問はどうだった?
『ジュニア空想科学読本29』には、ここにのせていない疑問が【27個】のっているよ。
たとえば、
・『薬屋のひとりごと』の猫猫は、体を毒に慣らしていますが、そんなことができますか?
・『幼稚園WARS』で、猪本ナツキは金魚すくいのポイで銃弾を受け止めました。どんなテクニックですか!?
・『ヒロアカ』のトガヒミコは血を飲んで「変身」できます。どんな仕組みですか?
・劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』のすごいシーンを検証してください。
・『ハイキュー!!』で描かれた日向と影山による「変人速攻」は実践可能でしょうか?
など!
最新刊の目次をひらいて、いちばん読みたい疑問をみつけよう!


『ジュニア空想科学読本29』9月11日発売!

ジュニア空想科学読本29
定価: 880円 (本体800円+税)
発売日:2024年09月11日
判型:新書判
ページ数:208
ISBN:9784046323248
https://www.kadokawa.co.jp/product/322403000026/