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【期間限定☆1巻まるごと無料公開】ふしぎアイテム博物館「第4話 罪ほろ星」


「ない……」
 一年A組の教室で、わたし──海崎うみさきしずくはつぶやいた。
 ない。スクールバッグの中に入れていたはずの、ペンケースがない。
 登校して、一度中を開けたときには、たしかにあった。
 それなのに、ちょっとトイレに行っている間になくなっている。
 まただ。また、物がなくなった。
 ……最近、こんなことばかり。
 今日のペンケースのように、リップ、ハンカチ、水筒など、わたしの持ち物がなくなることが相次いでいた。
 それだけじゃない。
 うわばきに落ち葉が入れられていたり、たたんでおいたジャージがグチャグチャになっていたり、わたしの置き傘だけが廊下で広げられていたり。
 そう。わたしは、イヤガラセを受けていた。
 一つ一つのイヤガラセは小さなもの。なくなったものも、すぐに見つかることが多い。
 だからこそ、いったいなんの目的でこんなことをするのか、それがわからなくて、こわい。
 なによりも、この中学校には確実に、わたしにイヤガラセをする人がいる。
 その事実が、とてもこわかった。
「どうしたの雫」
 と、深空みそらがわたしの顔をのぞきみながら言う。
 深空──宍戸ししど深空はクラスメイトで、そして、わたしのいちばんの親友。小学生のときからずっと同じクラスだった。
「深空、それがね、また物がなくなってて……」
「えっ、また!?」
 深空の顔がつらそうにゆがむ。
 友だちを悲しませてしまって、わたしもつらい。
 でも、同時に、深空が心配してくれてうれしいと思う自分もいた。
「雫、授業とか大丈夫なの? ……あ、そうだ、あたしが貸してあげよっか?」
「うん、ありがとう」
 イヤガラセはこわい。
 でも、深空がいてくれるから、わたしは学校に通える。
 わたしには、心配してくれる友だちがいる。
「……それにしても、まったく、だれがこんなことっ!!!」
 深空の大声に、教室にいたクラスメイト全員がこちらを見た。
 その中には、わたしの苦手なクラスメイトもいて、その……かなり気まずい。


「ちょ、深空っ、もう少し静かにっ……」
「雫はムカつかないの!? こんなことされて!」
「ムカつくというか、イヤではあるけど……」
 でも、深空みたいに感情を出すのは苦手。
 ……こういうところが、イヤガラセの標的になる理由なのかな。
 わたしがちゃんと怒らないから、「コイツぜんぜん怒んないし、好きなだけイヤガラセできるぜ!」って思われている気がする……。
「ねえ雫、こっち見て」
 自分がイヤになって、下を向いてしまったわたしに、深空がやさしく呼びかける。
 顔を上げると、深空の目が、まっすぐわたしを見つめていた。
「あたしがついてるからね。あたしが、ぜったい守ってあげる」
 深空が、わたしの手をギュッと握って言う。
「……うん」
 わたしも、深空の手を握り返す。
 大丈夫。わたしには、深空がついてる。

 その日の放課後。
「ん?」
 本を借りに図書室に来たわたしは、そこで、見慣れないモノを見つけた。
 書庫と事務室の間の壁に、高級感あふれる木製もくせいの扉があったんだ。
 あれ? ここに扉なんてあった?
 こんな外国のお屋敷やしきとかにありそうな扉、一度見たら忘れないと思うんだけど……。
 なんとなく、わたしはその扉に近づいて、そっとドアノブに触れる。
 開けるつもりなんてない。なんとなく、そうしたってだけ。
 でも、それだけで、扉はあっけなく開いてしまう。
「……え?」
 扉の先は、長い通路になっていた。
 高い天井に、やわらかそうな絨毯じゅうたんと、やっぱり外国のお屋敷みたいな内装ないそう
 ふだんのわたしは、怪しい場所に自ら近づいたりしない。
 優等生だから──ではなくて、単におくびょう者だから。
 でも、わたしは、その通路に足を踏み入れていた。
「あ、あれ?」
 自分で、自分の行動におどろく。
 まるで、そうするのが当たり前みたいに、わたしの足は自然と動いた。
 やっぱりこの通路おかしい。勝手に入って怒られたくない。
 そう思うのに、わたしの足は止まらない。
 なんで……? どうしてっ……?
 不安に胸をさわがせながら、やがて、わたしは大きな部屋にたどり着く。
「な、なんなの、ここ……?」
 その部屋にはたくさんのガラスケースがあって、中にはさまざまなモノがしまわれていた。
 ガラスケースが置かれた台座にはプレートが付いていて、そこには文章が記されている。

名探偵めいたんていキャップ】
 かぶればだれでも、名推理を思いつく名探偵になれる帽子。

【勇気リンリン】
 鳴らせば鳴らすほど、その音色を聞いた人の心に、勇気がわき上がる鈴。

罪悪缶ざいあくかんジュース】
 このジュースを飲ませれば、相手はあらゆることに罪悪感を覚え、
 どんなことにもあやまってくれる。

「名探偵に? 勇気が? あやまってくれる?」
 ありえない内容に、とまどう。
 でも、いちばんとまどったのは内容じゃない。そのありえない内容を、わたしがウソだとは思えないこと。
 ここにあるモノはすべて一つ残らず、オーラとしか言いようがない、フシギな雰囲気を放っていた。
 たぶん、きっと、ここに書いてあるのは事実──そうとしか思えない。
 ……あらためて思う。ここは、なんなの?
 不安がピークになったわたしは、来た道を引き返すことにした。
 なんなのかはわからない。
 でも、確実にふつうじゃない。
 ここは、わたしがいるべき場所じゃない。

「ちょっとまってほしいなっ」

 ふり返ると、女の子が立っていた。五年生……いや、四年生くらい?
「帰るのは、ちょっとまって。せっかく来たんだし、もう少し見ていかない?」
 そう言って、女の子は笑顔をつくる。いかにもコミュ力の高そうな、人懐っこい笑みだ。
「……あの、あなたは?」
「わたしの名前はメイ。この博物館の館長──の助手をしているよ」
 博物館? 助手?
「あーそっか。うんうん、まずはこれを言わなくちゃ」
 メイさんはピッと姿勢を正して、
「ようこそ、ふしぎアイテム博物館ミュージアムへ」
 と言った。
 ふしぎアイテム……そうか、たしかに、ここにあるのは、フシギなアイテムだ。
「……あ、あの、メイさん、ごめんなさい」
 年下にも、敬語になってしまうわたし。
「わたし、ここに来るつもりはなくて……えっと、ここは学校じゃないんですよね?」
「そうだよ、博物館だからね。それにあやまることないよ。むしろ大歓迎だから。わたしも、ヤカタさまも」
「ヤカタ、さま?」
「うん。この博物館の館長、宝野たからのヤカタさま……あれれ? もしかして気になる? だったら、ヤカタさまに会ってみない? ヤカタさまも、お客さんと話したいらしいんだ」
「いや、ぜんぜん、気になってなんか……」
 むしろ、そんなどう考えてもふつうじゃない人、ぜったい会いたくない。
「あの、わたし、やっぱり、帰り──」
「力に、なれるかもだよ?」
「……え?」
「なにか、キミが悩んでいることがあったら、うん、力になれるかも。なんせ、ここにあるアイテムは、みーんなヤカタさまが集めたんだもん」
 力になれるって、それってもしかして。
 ここにあるフシギなアイテムを、使わせてくれたり……?
「だから、どうかな?」
 メイさんは「お願いっ」とでも言うように手を合わせた。
「……わかり、ました」
 結局、わたしはそう答えていた。
 わたしが人の頼みをことわれないタイプだったのもあるし、メイさんがいかにも良い子そうな雰囲気だったのもある。
 でも、いちばんの理由は、メイさんの「力になれるかも」という一言だった。
 もしかしたら、イヤガラセを、止められるかもしれない……!

 メイさんに案内され、わたしは館長室の中に入った。
「ごきげんよう」
 中にいた人が、すぐに声をかけてくる。
 黒髪に、黒いドレスを着たその人は、なんというか、ウソみたいにきれいだった。
 きれいすぎて、現実感がない。
 こんなこと思っていいかわからないけど、この世のものじゃないみたい……。
「館長の、宝野ヤカタよ。あなたは?」
「あの、うみゅ崎しじゅく、です」
 んでしまう。
 いちばん言い慣れているはずの自分の名前を。しかも、苗字と下の名前の両方。
 でも、それもしかたない。ただでさえ人と話すのは苦手なのに、こんな美人ならなおさらだ。
「ありがとう雫さん、私に会ってくれて」
 館長さんは、わたしが噛んだことには触れなかった。
 気づかってくれたというより、わたしが噛んだことなんてどうでもいい──そんな風に見えた。
 館長さん、ほんとうに、わたしなんかと話したがっていたの?
 この人とわたしは、なんというか、住む世界がちがう……。
「ほら雫ちゃん、ヤカタさまに、なにかお願いしてみたら?」
 メイさんの言葉に、館長さんが反応する。
「へえ? 雫さん、なにか悩みでもあるの?」
 館長さんにとって、わたしの悩みは、どうでもいいことではないみたい。
「えっと、その………………………………」
 だまりこんでしまうわたし。
 口下手だからというよりは、わたしがまだ、この館長さんを信用できずにいたから。
「ねえ雫さん」
 館長さんの大きな目が、わたしをじっと見つめる。
「話して」
 ゾクゾクゾクッと、体が震えた。まるで全身に氷を当てられたかのような、そんな感覚。
「わたし、イヤガラセを受けていて──」
 なぜだろう。口下手なわたしが、ペラペラ事情を話してしまう。
「……なるほど。それは、私の愛するアイテムの出番ね」
 館長さんは、どこかうれしそうにうなずいた。
「雫さん、あなたにアイテムを貸したいわ」
「でも、その、いいんですか……?」
「ええ、もちろん。むしろ、自慢のアイテムを活躍させてほしいって、こちらからお願いしたいくらい。……問題は、雫さんがどうしたいか、ね」
 え?
「雫さん、あなたがこまっているのはわかったわ。でも、あなたはどうしたいのかしら?」
 わたしが、どうしたいか……。
「うんうん」
 メイさんが話を引きつぐ。
「イヤガラセの犯人を突きとめたいなら『名探偵キャップ』、あやまらせたいなら『罪悪缶ジュース』がオススメだねっ」
「あっ、いや」
 わたしは首を横にふった。
「犯人を突きとめたいとか、あやまらせたいとか、そんな気持ちは、えっと、なくて……」
「へえ? そうなの?」
 館長さんが、じっとわたしの顔を見る。
「だって、こわいです。イヤガラセの犯人を突きとめたところで、その人に直接、『イヤガラセをやめて』とか『あやまって』とか言わなきゃいけないんですよね? それは、こわい、です」
 まただ。館長さんに見つめられると、言葉がスラスラ出てくる。
「『勇気リンリン』などのアイテムで、雫さんの気持ちを変えることもできるわよ?」
 わたしは首を横にふる。
「わたしはただ、イヤガラセをやめてほしくて。それと、ちゃんとばつを受けてほしくて……」
 そうか。そうだったんだ。口に出して、はじめて気づく。
 わたしは、イヤガラセ犯に、罰を受けてほしかったんだ。
「そう。それが雫さんの選択なら、尊重しましょう。メイ、あれを」
「りょーかいっ」
 メイさんはそう言って部屋を出ていき、そしてすぐにもどってきた。
 その手に、なにかを持ちながら。
「はい。ヤカタさま」
「ありがとう」
 メイさんから受け取ったなにかを、館長さんはわたしの前に差し出す。
「どうぞ雫さん」
 それは、星の形をした石だった。
 ただ、ふつうの石とちがうのは、赤く光っているということ。
 ピカピカ点滅をくり返す様子は、まるで生きているみたい。
「生きているのよ」
 わたしの考えを見かしたかのように、館長さんは言う。
「それに、これは石じゃない。星なのよ。『つみほろぼし』ってすてきな名前があるの」
「つみ、ほろぼし……」
「夜空の星に、願いをこめたことはある? 罪ほろ星にお願いすれば、罪を犯した人に罰を与えることができるわ。とても、大きな罰を」
 ウソとは、思えなかった。
 この石──いや、星にも、ほかの展示品と同じフシギなオーラがあった。
「雫さんはなにもしなくていい。ぜんぶ罪ほろ星がやってくれるの」
「……ありがとう、ございます」


 少しだけ迷った。でも、わたしは結局、罪ほろ星を受け取った。
 イヤガラセを止めさせたいし、犯人には罰を受けてほしいから。
 それに、そうすれば、深空を心配させずにすむから。
「あの、館長さん、ちなみに、大きな罰っていうのは……」
「聞きたい?」
「……いえ、やっぱりいいです」
 くわしく聞いてしまうと、また迷ってしまう気がした。
 罪ほろ星が勝手にやってくれるなら、わたしはなにも知らなくていい。
「──それでは、えっと、失礼します」
 罪ほろ星を受け取ったわたしは、そのまま博物館を出ることにした。
 館長さんはわたしともっと話したがったのだけど、やっぱりここは、わたしがいるべき場所とは思えなかった。
「ごきげんよう雫さん」
 館長室を出る寸前、館長さんはそう言って笑いかけた。
「罪ほろ星が、あなたの願いをきっと叶えるわ。そう、きっとね」
 気のせい、だろうか。
 そう、きっとね──その一言を口にしたとき、館長さんの顔から、笑顔が消えたように見えたのは。

 メイさんに送られながら、長い通路を抜けて、わたしは博物館から図書室へもどった。
 ふり返ると、書庫と事務室の間にあった扉は消えている。
 夢かまぼろしでも見ていたのかな──なんて思ったのだけど、スクールバッグの中には罪ほろ星が入っていた。
 ……うん。今日はもう下校しよう。
 わたしは図書室を出て、玄関へと移動し、靴箱を開けた。
「っ!」
 思わず、悲鳴を上げそうになる。だって靴の中に、こんもりと土が盛られていたから。
 ……大丈夫、おちつけ。
 胸に手を当て、深呼吸をする。
 大丈夫。そんなにショックじゃない。いまのわたしには、罪ほろ星がある。もうすぐ、こんなことは終わるんだ。
 とりあえず、うわばきのまま玄関を出て、靴の中に入れられた土を捨てることにした。
「なにあれ?」「土? 汚なっ」「ははっ、そんなこと言っちゃカワイソウじゃーん」
 声のしたほうを見れば、何人かの生徒がわたしを見ていた。靴から土をかき出しているわたしを見て、笑っていた。
 その内のひとりが、クラスメイトの岩田いわたさんだと気づく。
 わたしは、岩田さんのことが苦手だった。でもそれは、岩田さんのせい。
 岩田さんはなにかと、わたしに冷たい態度を取ってくる。
 どうやら、岩田さんの好きな男子が、わたしのことを好きらしい。それで、勝手にてきあつかいされてしまって。
 わたしはその男子のことを、とくになんとも思ってない。
 それを岩田さんにも伝えたのだけど「なにそれ、イヤミ!? わたしのことバカにしてるの!?」とさらに怒らせることになってしまって……。
 今朝も、深空が教室で大きな声を出したとき、思いっきりにらんでいたっけ。
 深空ではなく、なぜか、わたしのほうを。
 だから、もしかして……どうしてもそう思ってしまう。
 もしかして、この人が……。
「は? なに見てんの?」
 岩田さんが、キッとこちらをにらむ。わたしはすぐに、視線から逃げるようにうつむく。
 岩田さんが先に見てきたんでしょうなんて、言えるはずない。
 でも、わたしは頭の中に、罪ほろ星を思い浮かべた。
 罪ほろ星、これがあれば……!
「ちょっ! 雫、どうしたの!」
 と言いながら、けよって来たのは深空だった。
 部活中にたまたま通りかかったんだろう、深空はテニスのラケットを持っている。
「ちょっと岩田! あんた、雫になんかしたの!?」
 深空の大声に、下校中の生徒たちが「どうしたどうした」と集まって来てしまう。
「ちっ」
 岩田さんは不機嫌ふきげんそうに舌打ちすると、ほかの人たちを連れて逃げるように去って行った。
「雫、大丈夫だった?」
「うん、深空のおかげで」
「ねえ雫、やっぱり岩田が──」
「いいの」
 わたしは深空の言葉をさえぎった。
「いいの深空。きっと、もうすぐ終わるから」
 深空は「どういうことっ?」と興味津々にたずねてきたけど、なんとかごまかす。
 さすがに、あのすべてがフシギな博物館の話を、信じてもらえるとは思えない。
「よくわからないけど……なにかあったらすぐに相談して。雫には、親友のあたしがついてるからね。雫は、ぜったい、あたしに頼らなきゃダメ」
「うん、ありがとう深空」
 それから、かずに洗うべきという雫のアドバイスにしたがって、わたしは靴を持ち帰ることにした。
 代わりの靴は、深空の運動用のシューズを借りたんだ。
 ほんとうに、なにからなにまで、深空に頼りっきり。
 深空にも「やっぱり雫は、あたしがいないとダメね」と笑われてしまった。
 イヤガラセが終わったら、深空になにか恩返ししよう──そう思いながら、わたしは帰り道を歩いたのだった。
 そして、すっかり日が沈んで、辺りが暗くなったころ。
 罪ほろ星を手に持って、わたしは家の庭に立つ。
「お願いします。イヤガラセを止めさせてください……イヤガラセをした犯人に、罰を与えてください」
 わたしの願いに応えるように、罪ほろ星の赤い光が強くなる。
 ──とても、大きな罰を。
 一瞬、館長さんの言葉がよみがえる。
 それでも、夜空に向かって、わたしは罪ほろ星を放った。
 まるで、流れ星のように光の線を描いて、罪ほろ星はあっという間に夜空の向こうに消えていった。

 次の日の朝、目が覚めると、枕元に罪ほろ星があるのに気づく。
 赤い光は弱々しく、ゆっくりゆっくり点滅していて、わたしにはそれが、罪ほろ星が疲れているように見えた。
 きっと、わたしの願いを叶えてくれた……のだと思う。
 感謝をこめながら罪ほろ星をでたあと、わたしは学校へ向かった。
 イヤガラセの犯人がわかるかも──そう思うと、教室が近づくにつれて、胸がドキドキバクバクしてしまう。
「……ん?」
 外からわかるくらい、教室の中がざわついていた。みんな、ヒソヒソささやきあっている。
 でも、わたしが教室に入ると、みんなは一斉いっせいにこっちを見た。
 え? なんで?
 慣れない注目を浴びて、胃がギュッとしめつけられた。
 なんでわたしを見るの? わたしの顔に、なにか付いてる?
 なんで、みんなそんなに、気の毒そうな顔をするの?
「……ねえ、あんたっ」
 そう話しかけてきたのは、
「い、岩田、さん……!?」
「なによ、人の顔見て、そんなおどろかないでよ」
 岩田さんは、いつもと変わらない様子だった。
 どうして? 罪ほろ星は、罰を与えなかったの?
 ……いや、まさか、岩田さんは犯人じゃない……?
「あんた、その感じだと、もしかして知らないの?」
 知らない? なにが?
宍戸ししどよ。宍戸深空のことっ」
「み、深空?」
 そうだ。深空。深空がいない。
 いつもなら、こうして岩田さんにからまれていたら、すぐに助けてくれる深空が。
「やっぱり知らないんだ」
 岩田さんは、痛みをこらえているような表情で、こう言うのだった。
「あいつ、入院したの! 大怪我だって! 隕石いんせき衝突しょうとつ事故に巻きこまれたの!」

どうして、深空みそらさんは隕石いんせきの衝突事故に巻き込まれちゃったんだろう?
しずくさんにイヤガラセをした犯人はだれ?
よ~く読み返して、考えてみてね!

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◎感想ぼしゅう中!

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