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人生でいちばん大切な、聖バレンタインデーの思い出

下校途中、二人の女の子が、わたしに「チョコ、欲しい?」と唐突に訊いてきた。

なんだか恥ずかしかったが、甘い物は今も昔も大好きなので深くは考えず「うん」と答えたら、「5分待っててね」と言って、帰るのとは逆方向へ走って行き、本当に5分で戻ってきた。

二人は、チロルチョコをひとつずつくれた。

わたしがもごもごと御礼を言うと、「いいえ。また明日ね!」と言って、今度は家の方向へ走り去った。

小学3年生の聖バレンタインデーだった。

わたしは、幼稚園児の頃から小学5年生くらいまでずっといじめられっ子だった。

この前年、わたしは同級生たちから苛烈な暴行を受けたのをきっかけに、登校を長期間見合わせた。

三学期制だったのだが、二学期はほとんど登校しなかった。
(このあたりの話もいずれ書こうか)

登校するようになっても、クラスでは浮いた存在だったが、そんな中でもわたしに優しく声をかけ、何かと助けてくれた三人の女の子たちがいた。

チロルチョコをくれたのはそのうちの二人であった。

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「遺失物事務所歳時記」「児童養護施設のドタバタ日記」ほか、生活の中で面白いと思った事を共有します。詳しくはプロフィール記事をご覧ください。

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