地下鉄サリン事件から27年;我々は何を学び、何を忘れたのか
鉄道の遺失物事務所で仕事していて時々「怖いな」と思うのは、中身不明の包みが届くことである。
大抵はギフト包装であり、「誰かに手渡すため、又は誰かから手渡された贈物だろうから、むやみに開封するのは良くない」と思うのだろう。
申出があり返却するときに開封されていたら文句を言う旅客もいるだろうから、担当係員の気持ちはよくわかる。
しかしながら、爆弾でも、毒物でも、小さな包みに偽装できてしまうのである。
地下鉄サリン事件はどのように実行されたか、仕掛けはどんなだったか、サリンの入った袋を運んだ助役(後日、サリン中毒により災害死)や他の職員の機転と判断がどうだったか、若い係員がしっかり学んでいるのは、おそらく被災した東京メトロくらいだろう。
去年はオリンピック・パラリンピックがあり、今年はその警戒態勢が解かれており、どちらもテロリストからは恰好の狙いどきである。
相手の虚を突くのなら、都心のJR各線や地下鉄よりも、郊外から都心へ乗り入れる私鉄数社に同時に仕掛けるのが効果的だ。
列車の折り返すタイミングなどで係員が車内を点検するようにし、不審物があれば些細な物でも大袈裟なくらい慎重に対応するようにするのが望ましい。
ただ、これには数十億円単位の費用がかかるし、ダイヤ乱れも頻発するだろう。
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