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蘭1部リーグから8部までの給料事情を取材。オランダ人選手を守る外国籍ルールとは
今回は、元プロサッカー選手であるムスタファ氏が監督を務めるVV Groningenの取締役会メンバーお二人に、オランダリーグの給料事情についてトップカテゴリーであるエールディビジからアマチュアクラブまで伺った。なぜオランダリーグが設定する外国人選手に対するかなり厳しい年棒ルールからアマチュア選手の給料事情まで詳しく教えて頂いた。
エールディビジ・オランダ1部の給料事情
エールディビジはオランダのトップリーグであり、アヤックス、PSV、フェイエノールトなどの強豪クラブが所属している。これらのクラブはチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグに定期的に出場し、国内では資金力があるため、年俸100万ユーロ以上の選手も多い。しかし、中小クラブでは数万~数十万ユーロの選手もいる。エールディビジの平均年俸はおよそ35万ユーロ(約6000万円)であり、クラブによる差が大きい。
一方で、外国人選手には厳しい最低年俸規定があり、オランダ国籍を持たない選手と契約する場合、クラブは規定以上の年俸を支払う必要がある。
「第三国(オランダ国外)出身で20歳以上のプロサッカー選手の年俸は、エールディビジの平均収入の少なくとも150%。18歳および19歳の選手の場合は、エールディビジの平均収入の75%以上。」
2023/2024シーズンにおいて、外国籍の20歳以上の選手の最低年俸は50万408ユーロ(約8000万円)、18歳・19歳の選手は25万204ユーロ(約4000万円)となる。
この規定は、オランダに来る外国人選手が一定の実力を持ち、エールディビジのレベル向上に貢献できることを保証するために設けられている。単なる若手の育成目的ではなく、即戦力として評価される選手のみがオランダでのプレーを認められる仕組みになっている。
オランダリーグは若手育成に優れたリーグとして知られているが、「安価な戦力として外国人選手を大量に獲得することを防ぎ、オランダ国内の若手選手の成長機会を確保するため」にこの最低年俸制度を導入している。このルールによって、クラブは外国籍選手を獲得する際に慎重になり、本当に実力のある選手のみが契約できる環境が整えられている。もし外国人選手が低賃金で大量に獲得される状況になれば、オランダ国内の選手が試合経験を積むチャンスが減ってしまう。そのため、オランダ国内の選手育成と外国人選手の質の維持のバランスを取る施策となっている。
そしてこの厳しいルールがある中で、決して裕福でないFCフローニンゲンが堂安選手や板倉選手を獲得したというのは、彼らへの期待の表れだという。外国籍選手との契約はアヤックスやPSV、フェイエノールトなどの資金力のあるクラブ以外にとっては、大きな投資であり、外国籍選手はクラブの主役を張れるような存在にならなくてはならないのだ。
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エールステ・ディヴィジ・2部の給料事情
エールステ・ディヴィジ(2部)は、エールディビジへの昇格を目指すクラブが集まるリーグであり、オランダ1部クラブのリザーブチーム(Jong Ajax、Jong PSVなど)も参戦している。若手選手の育成リーグとしての側面も持つ。
当然ながら、2部リーグの給与は1部よりも大きく下がる。また、「1部と2部を行き来するクラブ」と「2部と3部を行き来するクラブ」とでは、さらに収入の差が開くという。平均年俸はおよそ3万〜10万ユーロとなり、大金を稼げるわけではない。さらに前述した外国人最低年俸規定は適用されるため、2部リーグではオランダ国内出身の選手が多くを占め、外国人選手の数は少なくなる。
3部から8部の給料事情
3部リーグではほとんどの選手がプロ契約を結ぶものの、年俸は数万ユーロ(数百万円)とさらに厳しくなる。そして、4部リーグではほとんどの場合、給料は出ない。まれに給料をもらう選手がいても数百万円程度だと言う。むしろ、クラブの運営費として選手が部費を支払う必要がある。
例えば、8部リーグのvv Groningenでは年間約200ユーロ(約3万円)の部費を選手から集め、クラブ運営に充てているという。部費は多くのカテゴリーで一貫して年間数万円程度だが、給料は出ない。
多くの選手が働きながらサッカーをしていて、上を目指す選手は移籍の為にオランダ各地の下部リーグを転々としながら先々で仕事を見つけ生活していく選手が多いそうだ。オランダのサッカー界では、サッカーで生計を立てられるのは3部リーグまでであり、3部リーグでも厳しい現実があるのが実情だ。
取材先
VV Groningen
Board member