プロローグ

 18歳から25歳ぐらいまでに本気の恋を経験していないと、
 きっとその先
 良い恋愛には気づけないと思う。

 そんなことを周りの人に言い続けてきた。
 それは自分自身のことを指して。
 私自身。

 専門学校は医療系だったので、大学に行くか、それ以上の費用が掛かった。だから、奨学金制度も利用して、さらに学強にも支障が出ると言われていたアルバイトもした。稼ぐために。
 とにかく調べて、自宅から安いルートで通学し、その途中の繁華街でのバイト。親はきっと心配しかなかったと思う。ただでさえ繁華街、それも終電で帰る日も多かったから。
 特に私鉄から地下鉄に乗り継ぐのに歩いた道中、よくいろんな人に声をかけられた。いわゆるナンパ、怪しさしかない飲みのお誘い、酔っ払いに絡まれたりもした。その中で、1人。私が断りきれなかった性格なのか、本気でやってみたいと興味を持っていたのか、風俗のスカウト?と言えばいいのか、お店の人によく声をかけられた。
 やはり、職業柄なのか、とても話の仕方が上手くって。ただの雑談だけする日もあれば、いつかはその店舗まで連れて行かれて、具体的なお仕事の話を聞いたこともあった。
 その時、私は18歳。初体験どころか、彼氏さえできたこともなかった。そんな私が、自分の身体をエサに男の人が喜んでくれるのだろうか、こんな自分が稼げるものなのか、本気で考えていたのかもしれない。
 こんな話は、その当時も今も誰にも話したことはない。
 専門学校では同じ年のマイという友達がいた。この子はキューティーハニーとか、ルパン三世が大好きな峰不二子とか、そんな感じの女の子。とにかく女性らしいスタイルで、スタイルを強調した服装もしてて、一緒に並んでても男性の目線は全部彼女が独占。私は引き立て役にもならないんだろうなと、思っていた。
 そんな私が、一人で歩く繁華街。こんなにもいろんな人から声をかけられて、それなりに楽しくお喋りしていたのが嬉しかったのかもしれない。


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