年収いくら稼げば、満足ですか?
「あなたは年収いくら必要ですか?」
先日友人と話をしている中で、一体年収いくら稼げば満足できるだろうか?という話が話題になりました。
最低1000万円だ、億は貯金が欲しい。そのためにあれやるべき、これやるべきってかなり議論は白熱していましたが、僕はかなり白けてその話を聞いていました。
というのも、僕は年収ってものはあまり意識しなくても良いのではと考えているからです。
もちろん昔は最低1000万円は欲しいとか、貯蓄で1億は持っておきたいとか思っていましたが、経験の中であんまりそういうことは考えなくても良いのではと今は考えています。
その場で僕の経験をうんぬん語るような雰囲気ではなかったので、特に話しませんでしたが、ここでは僕がそう思うに至った理由について書いてみます。
とにかく稼ぎたかった
今は自分で会社を立ち上げていますが、以前は金融系の会社で働いていました。金融を選んだのは、給料が高いという理由だけでした。
給料の水準は個人の能力云々というのよりも、どの業界に入るかが一番大きな要因です。だから僕の場合は、金融をメインに就職活動をしていました。特に金融に興味があったというわけではありません。
どのくらい高いのかというと、大学新卒の平均年収が325万であったのに対して、金融の初年度は450万以上はもらえていた気がします。これが外資系となると、600万くらいはもらえていたのではないでしょうか。僕の記憶の中での話ですが。
残念ながら僕自身は外資系とはご縁がなかったものの、日系の金融会社にご縁をいただき入社するところからキャリアをスタートしています。
転職で収入アップを狙う
入社して5年くらい経つと仕事にも慣れ始めます。給料も順調に増えていたため、その頃から余暇に時間を割くようになり、毎日のように飲み歩いて一晩で数万円散財するみたいなことも少なくありませんでした。良いお店で飲食をすることに喜びを感じていたのかもしれません。
そうなると当然のことですが、給与水準の高いはずの金融でもお金が足りません。もっといいお店に行きたい。もっと良い服を買いたい。お金に困らない生活がしたい。そんなことを思い始めます。
同じような仕事をするのであれば、より待遇の良いところを目指したくなるのは当たり前のこと。たかだか5年程度の業界での経験値でしたが、さらなる高待遇を求めて、転職に興味を持ち始めます。中でもやはり外資金融。外資に行けば年収1,000万超えも夢じゃありませんでした。
周りの先輩たちも次々と外資金融に転職する。「あの人どこぞの外資に転職したんだって」「年収2倍になったらしいよ」などという話を聞いて自分もいつかはと当たり前のように考えていました。
引っ越しで価値観変わる
仕事とは全く関係ないですが、ちょうどその頃に結婚&引越しを経験します。
それまでは勤務先の東京丸の内から電車で30分以内を条件としていたのですが、妻との兼ね合いから結果的に神奈川県の平塚市に引越しをしました。
平塚の場所がわからないという方がいるかと思うので、説明を加えると東京駅から東海道線で一時間程度。距離にして60Km強です。
通勤できない距離ではありませんが、気軽に行けるという距離でもありません。平日は否応無く通いますが、週末わざわざ都内に足を運ぼうという気にはならないくらいの距離感です。
平塚暮らしになってから、僕の生活は徐々に変わっていきました。例えば、都内にいるときは、休みのたびにショッピングに出かけていました。平塚に越してからは釣りなど自然遊びがメインに変わりました。
服装もスーツやジャケットから短パンTシャツにといった具合で楽なスタイルが定着していきました。
意識したわけではありませんが、あまりお金を使うことがなくなっていったのです。
すると「今の年収でも十分幸せなんじゃないか」と考えるようになります。もちろん収入を求めて外資へ転職したいという気持ちも無くなっていました。
7万5000ドル(日本円で825万円)で頭打ち
ちょっと古い研究ではありますが、米国のプリンストン大学のダニエル・カーネマン氏の研究によると、収入が増えるにつれて生活の満足度も向上しますが、その相関性は世帯年収7万5000ドル(日本円で825万円)でほぼ頭打ちになるそうです。
世帯年収で825万円というのは、共働き世帯であれば手に届かないような遠い数字ではありません。
僕自身が平塚に越して、価値観が変わったのもまさにちょうどそのくらいの年収レンジにいた頃でした。
もしかすると既に多くの家庭でお金による生活満足度が頭打ちになっているかもしれません。
在宅勤務で家族との時間が増えて幸せを感じるようになったと言う声がそこらじゅうから聞こえてきます。
これはまさにお金以外の何かが私たちの生活の満足を高めると言う兆しなのではないでしょうか。
今こそ自分を見つめ直す最高の機会だと思います。
キャリアアップ=年収アップという当たり前から一歩離れて、自分にとって大切もの、好きなもの、喜びを感じるものを見つめ直してはいかがでしょうか。
【おとなの新路相談室】やっています。