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仕事で「自己実現」なんて勝ち組だけの話でしょ。

「仕事で自己実現なんて、要するに勝ち組の話でしょ。」

とある飲み屋で、僕の仕事内容を聞いた男性が口にしたことでした。

その男性とはその日がお初だったため、自己紹介がてら仕事内容や価値観を話ししたところに上記の一言。

念の為に僕の会社の事業を説明すると、おとな向けの職業体験とオンラインのキャリア相談を主軸の事業としています。両方のサービスに通じるのは、仕事に自分らしさ、自由、楽しさ、やりがいを求めるサポートです。まさに仕事を通じての自己実現を全面押ししている会社なのです。

僕の仕事や会社を全面否定されたようなもの。その場ではムッとしましたが、飲みの席であり彼も酔っ払っていたのでその場は特に気にせずに話を進めました。

仕事に「やりがい」は不要

彼曰く、飲食店は給料が非常に低いので、今はとにかく給与を増やすことが一番大切。仕事を通して自己実現なんてことよりも、とにかく与えられた仕事を覚えて昇給することが大事なのだとか。

飲食で無くとも他に給料が高くて割りのいい仕事があるのであれば、すぐにでも転職したいとも言っていました。

できることならば副業で少しでもプラスアルファの生活費を稼ぎたいけれど、飲食店に勤めていて仕事がシフト制なのでスケジュールが固定せず始めることができないと。

要するに、仕事はあくまでもお金を稼ぐための手段でしか無いので、やりがいなんてものはそもそも不要だと考えているようでした。

確かに金銭的な安定が得られない中では、稼ぎにこだわりたくなるものです。そこから「仕事にやりがいを求めるなんて勝ち組だけでしょ」という発言に繋がったのはごく自然な流れなのかもしれません。

皮肉な結果

一方で、僕の周りには仕事に「やりがい」や「楽しさ」を求める人が多くいます。

彼らにとっては仕事はある種のゲームや遊び、趣味みたいなもの。だから頼まれずとも自ら主体的に仕事に挑みます。喜んで周辺情報を集めたり、必要な知識を身に付けていきます。副業をするにしても、自分がやりたいことを中心に仕事を選びます。

仕事が楽しくて仕方ないから多様な経験を積み上げていくし、そこから知識も吸収していく。だから彼らは結果的に仕事の成果をあげ、金銭的にも余裕が生まれる事が多いのです。

皮肉なもので、お金を欲して我慢して働く人たちよりも「やりがい」や「楽しさ」を求めて働く人たちの方が結果的にお金を手に入れているのです。

「勝ち組だけでしょ」とか言ってる場合じゃない

仕事にやりがいを求める人たちを「勝ち組」、自分とは別世界で生きる人と区別していた飲み屋の彼。本人は気付いていないようですが、「やりがいを求める人は勝ち組」と他人事化してしまっているその考え方こそが、自身の成長や人生の可能性を狭めているのです。

どんな仕事にも楽しい部分、やりがいを感じる部分はあるはずです。もし今の仕事に「やりがい」を感じないのであれば、その仕事に対する認識をもう一度見直してみた方が良いのです。

仕事の「やりがい」や「楽しさ」と言うのは、仕事の内容に左右される部分はもちろんあります。しかしそれよりも本人が仕事をどう認識するかという認知の影響の方が大きいと思うのです。

繰り返しになりますが、自分の中で仕事に「やりがい」を求めるのは勝ち組の特権と決めつけてしまうことはとても残念なことです。その認識が巡り巡って自分の首を絞めている。僕はそんな気がしてなりません。


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たなか つばさ@仕事旅行社
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